一度に4つの直線運動の誤差成分が測れる!真直度測定機
掲載開始日:2014-04-21 00:00:00.0
「真っ直ぐ動く」
加工機械にとって当たり前の話ですが、ものが動けば必ず微妙な横揺れやねじれが発生します。必ずしもすべてが真っ直ぐ動くという訳にはいきません。そこで、真っ直ぐな動きに近づける、それを維持するために大事なのが、真っ直ぐに対する狂いの大きさ、いわゆる「真直度」の測定です。
中央精機(東京都千代田区)のストレーターは、たった1回の測定で垂直と水平、ヨーイングとピッチングの4方向の誤差を同時に測れる真直度測定機。直定規やレーザー干渉計の代替に最適で、加工機械やロボット業界から注目されている装置です。
今回紹介する技術と製品
真直度測定機ストレーター
ストレーターは、直線運動の4つの誤差成分(水平・垂直・ヨーイング・ピッチング)を同時に測定できる真直度測定機です。可視光LD光源の採用で測定ポイントが直接見え、測定のためのセッティングが容易。検出ブロックにも微調整機構を採用し、測定のためのセッティングをさらに容易にしています。
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「真っ直ぐ動く」はものづくりの基本。ステージ専門59年で培ったノウハウを凝縮
技術本部 技術部 安原 寿規 氏
Q.ストレーターの開発の経緯を教えて下さい
当社はXYステージをはじめ、精密位置決め装置を専門とするメーカーです。ステージは設計通りに真っ直ぐ動き、正確な位置でピタッと止まるのが絶対条件。当社はその技術を1955年からずっと積み重ねてきました。
ステージはスタートとゴールだけが正確な位置になるのではなく、その軌跡も図面通りでなければなりません。しかし、ものの動きと揺れはセットです。軌跡で発生するズレをいかに最小限に抑えるかが技術の核となります。そのズレの大きさ、真直度を測るために作ったのがストレーター「TC-2」で、もともとは社内用に開発して長年使ってきた製品です。
レーザー干渉計に代わる先端技術!1回の測定で4つの要素を同時に測れる
Q.これまで真直度はどうやって測られてきたのですか?
まず物体が直線運動をして動いた時に発生する誤差成分は6つの要素があります。上下のズレを意味する「垂直」、横の「水平」、物体の中心から上下方向に回転する「ピッチング」、同じく横方向の振れ「ヨーイング」、さらには位置の変位とローリングです。
真直度の測定で重要なのが垂直と水平、ピッチングとヨーイングの4つの要素です。これまでは、主に直定規とレーザー干渉計が使われてきました。
直定規は、真っ直ぐな長い定規を当てて軌跡の狂いを測定するというアナログな方法です。最も手軽な方法ですが、測定者の技術レベルによって誤差が発生したり、測れる距離が定規の長さに依存したり、長い定規の保管が大変だったりと問題がたくさんありました。
それに代わって使われてきたのがレーザー干渉計です。波長が安定しているHe-Neレーザーを使って高精度に変位を測ることができます。これまで20年ほどは真直度測定と言えばレーザー干渉計がスタンダードでした。
Q.ストレーターとレーザー干渉計の違い、ストレーターを使うメリットは何ですか?
レーザー干渉計の唯一の難点は、1回でひとつの要素しか測れないことです。ひとつの要素の測定といっても、実際には短時間で簡単にできる作業ではありません。測る要素によって段替えをして調整が必要となるなど、かなりの技術と手間、時間がかかります。その間、機械は稼働停止した状態、タイムロスを発生させています。
それに対し、当社のストレーターは、1回で4つの要素を測ることができ、真直度測定にかかる時間とコストを大幅に節約できます。
今回、新たに製品化しました真直度測定機ストレーター「TC-3」は、素早く正確に真直度測定ができるように開発しました。例えば、レーザー光源は、これまでHe-Neガスレーザーを使っていましたが、TC-3では半導体レーザーを採用しました。ガスレーザーは安定させるのに時間がかかり、電源に工夫が必要です。半導体レーザーなら立ち上がりが早く、また、He-Neと同じく赤色の可視光なので短いセッティング時間で測定を開始できます。
従来23kgあったものを10kgまで軽量化。全体の大きさも半分程度までコンパクト化し、使い勝手が良くなっています。
また、測定距離も500mmから2500mmに拡大したことで、光学機械を中心に測定対象を広げることができました。価格はレーザー干渉計と同程度に抑えています。
工作機械メーカー、ロボットメーカーなども注目。直線運動の高度化に不可欠な測定装置
Q.実際にどんなユーザーが使っていますか?
当社のようなステージメーカーはもちろんのこと、リニアガイドメーカーや、ステージを部品として使って装置を作る工作機械や各種の加工機械、製造装置、検査装置などのメーカーに使っていただいています。メンテナンス用途として設備メーカーからも問い合わせが来ています。最近はロボットメーカーとも話をしています。
ストレーターは、図面通りに動かすために必要な測定装置ということで、直線運動がある機械を作っている、直線運動をする部品を使っている方々にはすべてお役に立てる装置だと思います。1回で4つの要素を測れる機械は他にありません。将来的には5つ目の要素、測長の機能を入れたものも出す予定です。出張デモも行っていますので、お気軽にお声掛け下さい。