液体の天然ゴム・ラテックス。有機溶剤を不使用の水性接着剤も

掲載開始日:2014-07-18 00:00:00.0

混ぜてよし、そのまま使ってもOK 液体の天然ゴム「ラテックス」 ラテックス専門の研究開発企業 レヂテックス

「伸びて、粘って、くっついて」柔らかさと強度を両立する自然素材の天然ゴム。石油由来の合成ゴムにはない伸びやかな柔軟性が特長です。天然ゴム単体でも様々な分野で活躍していますが、化成品に混ぜて使えばより可能性が広がります。

天然ゴムの樹液「ラテックス」を改質して産業用に供給する液体天然ゴム専門メーカー・レヂテックス(神奈川県厚木市)。天然ゴムの特性を利用し、有機溶剤を使わない水性接着剤や粘着剤の自社ブランド品の開発、ユニークなラテックスを化学メーカーに提供しています。その取り組みを聞きました。(聞き手:イプロス編集部)

水性接着剤・粘着剤「REGITEXシリーズ」データシート

今回紹介する技術と製品

水性接着剤・粘着剤「REGITEXシリーズ」データシート

天然ゴムラテックスや合成ゴムラテックス、樹脂エマルジョンを変性加工した水性接着剤・粘着剤「REGITEXシリーズ」。
紙加工用や繊維加工用、粘着加工用、木材加工用を用意。「小ロット開発」「大量注文」「異質物質の接着」「新商品開発」など、ニーズに合わせたカスタマイズも行っています。

この記事で紹介した製品の関連資料がダウンロードできます。

伸びて、粘って、くっつく天然ゴム。乳化液状態の天然ゴム・ラテックス

菅井 敬 社長

――天然ゴムはどんな特長がありますか?またラテックスとは何ですか?

天然ゴムはゴムの木の樹液を主成分とする物質で、とても柔らかくて強度がある自然素材です。伸び率は1000%と言われ、粘り気があってモノと密着しやすく、天然ゴム同士を圧着すると強くくっつく自着性もあります。柔軟性に優れ、-60℃の極寒環境でもその特性を発揮できます。また、天然なので環境負荷を与えないというメリットもあります。

こうした優れた特性によって、昔から靴や革製品、衣服など装飾品の素材や接着剤として広く使われてきました。また環境の変化に強いことから、大型自動車や飛行機、建機などのタイヤは、合成ゴムではなく、いまだに天然ゴムリッチで作られています。

ラテックスは、こうした天然ゴム成分を液中に分散した乳化液状態の「液体天然ゴム」のことを指します。当社は世界でも数少ないこの液体天然ゴムラテックス加工メーカーで、ラテックスを変性させる技術を持っています。

天然ゴムラテックス専門メーカー。有機溶剤系接着剤に代わる水性接着剤

有機溶剤系に代わる水性接着剤を開発

――御社の概要について聞かせてください。

当社は、同じ勤務先でラテックスを担当し、製造販売していた4人のメンバーが勤務先の廃業に伴い1992年に創業しました。ラテックスからオリジナルの接着剤とゴム成型品などを開発・製造し、またラテックスを素材として化学メーカーに販売しています。

――オリジナル製品にはどんなものがあるのですか?

「水系接着剤」を中心に、さまざまな接着剤や粘着剤を製造しています。

水系接着剤は、その名の通り水を溶媒としてゴム成分を配合してできた接着剤です。一般的な接着剤は有機溶剤を使っているのに対し、当社の水系接着剤は有機溶剤を一切使っていません。有機溶剤系と同等の接着力で、引火しにくく、VOCガスが発生しないので安全です。有機溶剤系の接着剤のように保管や使用など防災上の管理の手間がかからず、作業者への負担も減らすことができます。天然素材なので石油資源をムダにすることも無く、CO2の増加もありません。

ハガキ向け接着剤でシェア60%!サッカーW杯の公式ボールにも採用

シェア60%のハガキ向け接着剤

――水系接着剤はどんな用途で使われていますか?採用実績を教えてください。

布や木材、紙、革など、空気が通って水が蒸発しやすい素材に対して親和性が高く、靴やカバン、衣服、家具など、普段身に着ける装飾品や日用品に昔から使われてきました。

具体的な例で言えば、役所や銀行などから送られてくる、内側がピッタリ接着されていて剥がさないと中を見られないハガキ。そこに使われている接着剤は、ほとんどが当社の製品を使用していて、シェア60%程度を持っています。

サッカーのワールドカップの公式ボールにも当社の水性接着剤が使われました。もともとサッカーボールには有機溶剤系の接着剤が使われていましたが、子供に夢を与えるスポーツの道具に、環境に害のある接着剤が使われているのは良くないということで、当社の水性接着剤が採用されました。もちろん性能面での評価も高いものでした。

また、自動車のワイヤーハーネスの保護テープにも水性粘着剤が使われています。有機溶剤の臭いが車内に入ったら快適性を損なうということで、水性粘着剤が選ばれました。

当社は中小メーカーの特性を活かし、一斗缶からコンテナまでお客様の要望に合わせた接着剤のオーダーメイドも受け付けています。いま取引のあるメーカーは300社ほどあり、そのほとんどがオーダー品です。

昔は大手メーカーも品目やグレードが数多くありましたが、最近は量産品以外の製造を止めてしまっています。そうしたお客様のために当社が対応しています。

超低アンモニア天然ゴムラテックスなど、高性能ラテックスを開発

自然素材の粉塵防止剤など
新製品開発を進める


天然ゴムの可能性を追求していく

――素材として天然ゴムのラテックス販売も行っているのですね

天然ゴムのラテックスには、伸び率や粘りなど合成ゴムよりも優れた特長がいくつもあります。添加剤として使えば、合成ゴムではできなかった特性を付けたり、劣っていた部分を補強して新しい製品づくりに役立ちます。

例えば、超低アンモニア天然ゴムラテックス「ULACOL(ウラコル)」は、いま多くの問い合わせがあるヒット製品です。

通常の天然ゴムラテックスの場合、アンモニアを0.7%含むのが一般的で、低アンモニア製品でも0.3%と言われます。それをウラコルでは約0.1%まで減らし、アンモニア臭がほとんどありません。建材や繊維用の接着剤の原料として、いま注目されているようです。

――これからについて教えてください。

天然ゴムラテックスの用途はまだたくさんあると思っています。接着剤や粘着剤のほか、マスカラやカツラといった化粧品や装飾品、子供向けのおもちゃ、特殊メイクなど、天然素材だからこそ使えるケースが多々あります。まずは、そうしたニーズを見つけ、お客様と共同開発していきたいと思っています。

世の中の接着剤は皆同じではありません。中身の成分によって違いがあり、それらをうまく使い分ける必要があります。硬くなって固定するだけが接着剤ではありません。接着剤に対して困り事や課題があれば、ぜひ当社に声をかけて下さい。

また素材としても、天然ゴムラテックスを使えば今までにない製品ができる可能性があります。天然ゴムを使ってみたいという方、化学合成ゴムラテックスや樹脂エマルジョンを自社の仕様に合わせて使いたいという方も、ぜひお気軽に相談してほしいと思っています。

この記事で紹介した製品の関連資料がダウンロードできます。

取扱会社

株式会社レヂテックス

水性のラテックスを変性ブレンドした水性接着剤や粘着剤、成形品の製造販売。 ○天然ゴムラテックス系接着剤 ・水性接着剤 ・水性粘着剤 ・成型品 ○合成ゴムラテックス系 ・水性接着剤 ・水性粘着剤 ・成形品 ○樹脂エマルジョン系 ・水性接着剤 ・水性粘着剤 水性製品についてご相談承ります。 お気軽にご相談下さい。

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