グローバル企業が相次ぎ採用するIPC規格。海外進出には不可欠に

掲載開始日:2015-05-18 00:00:00.0

グローバル企業が相次ぎ採用するIPC規格。海外進出には不可欠に/はんだ付分野で業界トップ/ジャパンユニックス株式会社/※経済産業省ものづくり白書2013より

「IPC」という規格をご存知でしょうか?アップルやボーイング、コンチネンタルなど名だたるグローバルメーカーが採用する、電子部品や電子機器製造業における国際品質標準規格です。日本のエレクトロニクス産業がグローバル展開をするにあたり、IPCへの対応は不可欠になりつつあります。
今回、はんだ付分野で業界トップのジャパンユニックス(東京都港区)がIPC規格の国内総合販売代理店となりました(2015年2月)。最先端のはんだ付技術をはじめ、IPCの内容や国内企業のメリットなどについて話を聞きました。

リーマンショック以降、グローバル生産が加速。
IPC規格の重要性が高まる

テクニカルトレーナー
若林 敏夫 氏

IPCはもともと、グルーバルな製造業の発展を目的に1957年に設立されました。以来、電子機器業界やプリント基板設計・製造業者、電子機器製造企業などの発展に大きく寄与しています。

>>IPCについて詳しくはこちらから

そんな中、その存在感を飛躍的に高めた出来事がリーマンショックです。リーマンショック以降、大企業が世界的な生産体制の見直しや競争優位性を模索する中、世界のあらゆる場所で安定した品質の製品を生産できる規格が必要となってきました。

IPCは世界中の企業と共に、グローバルで統一化された標準規格を作成しています。エレクトロニクス分野でのグローバル生産を進める上で、IPCは不可欠なものとなっていったのです。

結果、今日では欧米の大手企業の多くがIPCに準拠するようになりました。そしてそれらのメーカーとビジネスを進めるにあたって、我々を含めた日本企業もIPCを理解することで、その取引がよりスムーズに進むようになってきているのです。

高い品質要求を課すグローバル企業

    IPC参加企業

  • Airbus/Apple/BAE Systems/ Boeing/Bose/Bosch/Continental/ Celestica/DuPont/Foxconn/ Flextronics/GE/Intel/Jabil/ Motorola/NASA/Plexus/Siemens/ UTC Aerospace Systems/WKK/3M/ デンソー/矢崎総業/ソニー/ パナソニック
  • 他多数(3,500社以上、IPCメンバーリストより抜粋)

当社は国内のはんだ付ロボット市場において7割のシェアを占める(経済産業省ものづくり白書2013より)一方で、欧米・アジアを中心に海外でも幅広く事業を展開しています。上述のリーマンショックを機にグローバル企業各社がIPC規格を採用する中、当社のはんだ付ロボットで生産される製品もIPC基準ではんだ付の品質を評価されるようになっていきました。

また、リーマンショックと同じタイミングで、自動車のエレクトロニクス化やデジタルデバイスの進化、再生可能エネルギーの拡大などが進行しました。
そしてそれに呼応する形で、高品質なはんだ付を必要とする製品や市場が急成長することにもなりました。

高品質なはんだ付は当社の最も得意とする分野。従来、はんだ付の主流が手作業だった多くの欧米企業から、その品質向上と自動化のための相談を数多く受けました。その要求に一つ一つ応える中で、当社のはんだ付ロボットの品質が認められていきました。

世界的権威の国立研究所が認めた最高品質のはんだ付

ある日、当社のはんだ付ロボット及びレーザーはんだ付装置について、計測学と物質科学の世界的権威であるイギリス国立物理学研究所(NPL)から「評価したい」という話がきました。それはそれでびっくりしたのですが、結果は「IPCの最高品質クラス3をはるかに超えるレベル」というものでした。クラス3とは、宇宙・航空分野で使用されるエレクトロニクス機器に要求される、最高の品質レベルです。200℃、1000時間という負荷実験にも耐えています。

IPCは、国などが定める国際基準ではなく、あくまで「民間の企業間」で作成されたものです。NPLのような政府系機関がその基準として民間で作成された基準を使うのはある意味、異例です。しかし逆に言えば、欧米の電子機器、プリント基板、はんだ付の分野では、それくらいIPCが浸透し、信頼されているということでもあります。 

英国立研究所による品質評価 IPCの最高品質クラスをクリア

日本で求められる品質は、世界で通用する技術を生む

マルチΦレーザーはんだ付システム

NPLの最高クラス評価について、当社が何か特別なことをしたわけではありません。
当社は日本の企業として、日本の製造業に育てられ、日本の企業の厳格な基準をクリアするために製品や技術の改善を行ってきました。それが結果的に、IPCで求められる最高品質要求クラスをクリアしていたというだけです。

今日、レーザーはんだ付はそのメンテナンス性や高い再現性から、微細部品はもとより高熱容量を取り扱う企業まで幅広く受け入れられています。当社はそのような市場で国内外の多くのお客様の声に耳を傾け、自動はんだ付の技術を磨いてきました。
当社で「マルチφ」や「フラッシュレーザー」と呼んでいる技術はその一例です(表1)。
これらに限らず、当社が誇る高度なはんだ付技術のほとんどは、お客様のご要望を具現化させたものです。

     【表1】ジャパンユニックス独自のレーザーはんだ付技術

  • マルチφ



    レーザー照射径を部品やランドサイズに合わせて最適化し、ポイント一つ一つに最適な条件ではんだ付ができる。レーザー照射径が固定され、大きなポイントには照射時間を長くして対応していた従来製品に比べ、全体速度をあげることができる。照射径の変更による生産タイムロスはほとんどない。                    >>マルチφについて詳しくはこちら
  • フラッシュレーザー


    従来のレーザーはんだ付の2倍の速度。表面実装や挿入部分がある場合に2工程に分かれるラインにおいて1台で両方のはんだ付が可能。スピードアップだけでなく、メンテナンス工数を減らしプロセス全体での生産性を向上させる。  >>フラッシュレーザーについて詳しくはこちら

新型の汎用自動はんだ付ユニットUPS5
上からコントローラ、はんだ付ヘッド、はんだ送り装置

また、2015年5月に発売を予定しているUPS5という製品は、シンプルかつ高性能なロボット化ユニットで「誰でも・どこでも、はんだ付ロボット化を可能にする」がキャッチフレーズです。
コントローラーとはんだ付ヘッド、はんだ送り装置で構成され、タッチパネルとExcelでのかんたん操作を実現しています。一般的に見ると「廉価版」に位置する製品ですが、新ヒーターを搭載し、価格、品質共にご満足いただける製品となっています。もちろん異電圧、多言語対応。これもお客様の声を具現化したものの一つです。

>>汎用自動はんだ付ユニットUPS5について詳しくはこちら

はんだ付で重視すべきは「品質」と「生産性」です。はんだ付自体の高品質を維持しながら生産スピードも高めていかなくてはなりません。この2つの両立は、日本のみならず世界中の多くの担当者が様々な状況で模索されているはずです。

ぜひ、その声を当社にお寄せいただきたいと思います。それに応える形で当社は次の技術開発へ歩を進め、ひいてはエレクトロニクス業界の発展に貢献していきます。

日本企業が今後、世界でMADE IN JAPAN を売るために

日本の製造業は今、しばらく続いた円高不況から脱却しつつあります。そして今後は円安に伴う国内生産回帰により、輸出力が高まっていくことも想像に難くありません。輸出を通じて世界中のメーカーとの取引が拡大していく中で、多くの日本企業が品質基準として「IPC」を耳にするはずです。
IPCを知れば、グローバル企業が求める基準がわかります。IPCを理解すれば、グローバル企業に自社製品の質を示せます。

当社は2015年2月にIPC規格の国内総合販売代理店となりました。当社のホームページではIPC標準規格の一部を無料でダウンロード いただけるようにしています。
日本で、日本語で、そして無料でダウンロードできるのはおそらく当社だけだと思います(笑)。
ぜひ、多くの企業にご覧いただき、いつか必ず耳にするであろう「IPC」に触れ、世界が要求する品質基準を知っていただければと思います。当社はこれからも、日本企業の海外進出を「高品質の自動はんだ付技術」でサポートしていきたいと考えています。

>>2013年1月インタビュー「カーエレクトロニクス、車載部品に求められるはんだ付技術とは?」はこちら

取扱会社

株式会社ジャパンユニックス

・はんだ付け周辺機器の設計開発、製造、販売、輸出 ・はんだ付け自動機のFA、治具設計開発、製造、販売、輸出 ・はんだ付け周辺機器の輸入販売 ・その他精密機器の設計開発、製造、販売、輸出


成功事例