樹脂の有効活用で軽量・長寿命を実現！イグス北川社長インタビュー

北川 邦彦 社長

当社は、動くものに対して「エネルギーを供給するシステム」と「プラスチックを使ってコストを下げて寿命を延ばすこと」を事業の根幹に据え、主に可動ケーブルやケーブル保護管などのエネルギー伝達に関する製品と、樹脂ベアリングなど動力伝達に関する製品の製造・販売を行っています。これらの製品と技術によってお客様の要望やリクエストを具現化し、コストダウンや効率アップのサポートをしています。
プラスチック素材から開発・製造しているのが技術的な強みで、熱したはんだごてを当てても、火花が飛ぶような環境下でも使えるようなプラスチック素材でできた製品も多数ラインナップしています。

ケーブル損傷・断線を防ぐケーブル保護管
電力・動力・データ供給を守って産業機械やロボットなどの安定稼働を確保

日本市場で売り上げに占める割合が大きいのが、機械の命綱でもあるケーブル保護管「エナジーチェーン」と産業機器用ケーブル「チェーンフレックス」です。エナジーチェーンは摩耗や粉塵に強く、機械が動き続けるのに欠かせない電力や動力、データを絶えず安全かつ確実に供給します。エナジーチェーンは、産業機械や工作機械、重機や建機などに広く使われており、特に倉庫や港湾のクレーン用の大型のものは非常に好調に推移しています。チェーンフレックスは細くて軽い、切れにくいのが特長で、システム全体の軽量化に効果的です。

無給油でメンテナンスがいらない樹脂ベアリング
金属ベアリングからの代替として期待大

動力伝達部に使う樹脂ベアリングは、これから力を入れていく製品の一つです。樹脂ベアリングは金属ベアリングと異なり、油を差すこともメンテナンスもいらず、無給油でドライなまま使うことができます。樹脂は軽くて耐薬品性にも優れるので、食品機械や医療機器では酸・アルカリで洗浄することもできます。また、自動車においては軽量化につながり燃費効率を上げることもできます。

ベアリングは用途が広く、動くものすべてが対象です。海外では樹脂ベアリングは当社の売上の半分程度を占めていますが、日本ではまだまだ。金属ベアリングの置き換えなど樹脂ベアリングを取り巻く市場は大きく、ケーブルやケーブル保護管と並ぶくらいまで伸ばしていきたい分野です。

世界で最も厳しい品質・納期が求められる日本市場
その日本からの要望を具現化した製品を作り、世界へ展開するのが目標

日本のマーケットは厳しい品質と納期を求められるため、すべてにおいてテストベンチといえます。日本で売れるものは世界でも売れると思っています。毎年クリスマスの時期には、クリスマスウィッシュとして世界中のお客様からこんなものがあったらいいという要望を聞き、それを製品化してドイツの展示会で発表するという恒例の年間行事があります。今まで採用されてきたのはほぼ全て欧米からの要望でしたが、当社としては日本のお客様からいただいた要望を具現化した製品をもっと生み出していくことが目標です。

日本は本国ドイツよりも経済規模が大きいのに当社製品の浸透度は依然ドイツ国内よりも低いままです。樹脂ベアリングは金属ベアリングからの代替として、ケーブル保護管は鉄工所や発電所、産廃や港湾など既存製品の買い替え需要を狙って営業を強化していきたいと思っています。

日本発の製品づくりを目標