技術の力で環境問題に貢献。旭硝子の環境への取り組み
掲載開始日:2012/10/19
事業活動を行っていく上で“環境への取り組み”は避けては通れない大きな課題。環境配慮型の製品開発はもちろん、製造過程における環境負荷の低減、企業としてのCSRなど企業活動のすべてに関係してきます。そんななか旭硝子(東京都千代田区)は、本業である化学品やガラス製造が大量の資源とエネルギーを消費する事業であることを自覚し、それに対する勤めとして環境への取り組みを経営の最重要課題として積極的に取り組んでいます。化学品事業と板ガラス事業の取り組みについて、それぞれAGC化学品カンパニー 戦略企画室 濱谷 芳樹 主幹 と AGCガラスカンパニー GIPV事業推進プロジェクトチーム 播磨 幸宏 統括主幹 に話をうかがいました。
重曹やウレタン、耐候や耐熱性などに優れたフッ素化学品など環境製品に欠かせない化学品を開発
事業の柱の一つでもある化学品事業はスタートしてから今年で95年になります。化学品製造というと環境負荷が高いように思われがちですが、塩の電解を起点として苛性ソーダと塩素といった基礎化学品を作り、そこからフッ素やウレタンなど高機能製品までを一貫したライン、いわゆるケミカルチェーンとして素材とエネルギーを無駄なく使って環境負荷を抑えて製造をしています。
このケミカルチェーンのなかではさまざまな高機能素材が生み出されており、その一つが苛性ソーダから生み出される重曹です。当社の重曹の生産高は国内シェアナンバーワンで、キッチンや食品、入浴剤などの汚れ落とし用として民生でさまざまな場面で使われています。産業用にも環境負荷の低い洗浄剤や酸性の中和剤、磨き用の粉末などとして広く使われています。
また同様にケミカルチェーンから製造されるフッ素化学品は、フィルムや樹脂をコーティングとして熱や光、汚れに強く、はっ水やポリマーなどさまざまな場所で活躍し、さらにイオン交換膜技術や代替フロンなどで環境負荷を減らすことに一役買っています。

AGC化学品カンパニー
戦略企画室 マーケティンググループ
濱谷 芳樹 主幹
国内トップの複層ガラス、窓で発電する太陽光発電モジュール一体型ガラスなども

AGC化学品カンパニー
GIPV事業推進プロジェクトチーム
播磨 幸宏 統括主幹
板ガラス事業では、Clear、Control、Creationの3Cで環境に貢献しています。住宅や建築物のなかで最もエネルギーの出入りが動きが多いのが、窓などのガラスの開口部です。Clearはガラスに最も求められる透明度、Controlはガラスによって熱を制御することで、単に透明なだけでなく、ガラスで熱をコントロールすれば空調のエネルギー消費を格段に減らすことができます。
当社の『Low-Eペアガラス』は複層ガラスの片側ガラス面に特殊な金属膜をコーティングして断熱・遮熱性能を高めた複層ガラスで、新築物件にはほとんど採用されている国内シェアナンバーワンの製品です。現在の課題は既築物件への導入で、5千万戸と言われる既築物件にすべてLow-Eガラスが使われるようになると原発2基分のエネルギーに相当すると言われており、普及に力を入れています。
またCreationとしてガラスに太陽光発電モジュールを組み込んだ発電できるガラス窓『サンジュール』で、新たな環境貢献を進めています。住宅向けやメガソーラーなど屋根に載せたり、平面の広い場所に設置する太陽光発電が広がっていますが、ビルの窓や壁面といったなど垂直部分や、ちょっとした庇など、太陽が当たる部分はたくさんあり、サンジュールはそうした太陽光発電パネルが設置できないような場所にも取り付けられる発電システムとして様々な場所で導入が広がっています。
AGCグループとして環境問題への解決に注力。製造工程の省エネ化と環境製品の開発に積極的
当社はグループ全体のビジョン “Look Beyond” の価値観の一つに「エンバイロンメント(環境)」を重要課題として定めています。ガラスを作るためには多くの熱エネルギーを、化学品でも苛性ソーダと塩素ガスを製造するにも電力をたくさん使います。当社はエネルギーを多く消費する企業の社会的責任として、製造プロセスの省エネ化を進めており、すでに世界最高レベルの省エネ技術を確立し、自社工場への導入を積極的に進めています。
上記以外にも環境問題に貢献する製品開発を数多く行っており、太陽光発電パネル用保護ガラス「ソライト®」や
太陽熱発電用ミラー「サンミロックス™」、また化学品分野でも住宅⽤の断熱材と使われているウレタンなどがあります。
これらは普及が進めば進むほど省エネにつながり、地球規模での環境・エネルギー対策にも大きく貢献できると考えています。
製造プロセスの徹底した省エネ化と、環境関連製品の拡販の両面で、環境エネルギー問題にAGCグループ全体として技術力で貢献していきたいと思っています。