工場でのスマートグラス活用最前線!ダウンタイムの最小化に挑む
掲載開始日:2016-06-20 00:00:00.0
ウェアラブル端末、とりわけスマートグラスの登場は、従来のコミュニケーションの形に一石を投じつつあります。「持つのではなく、身につける」。それによる自由度の拡大は、ハンズフリー作業をはじめ、ビジネス分野において早速大きなメリットを生み出しています。業務用スマートグラスとそのシステムソリューションをいち早く活用して自社工場を効率化しつつ、さらにその仕組みの提案を行っているJMACS(大阪市)に、その活用法や導入メリットについて話を聞きました。
今回紹介する技術と製品
スマートシステムソリューション
スマートグラス『nvEye's(エヌヴィ)』
作業員が遠隔地にいる管理者と作業員視点の映像をリアルタイムで共有することが可能に。作業員と管理者がコミュニケーションがとれるため、 トラブル時の柔軟な対応や、動作にあわせてマニュアルを表示しながら作業手順を実行させることで、ワークフローの効率化が可能になります。
この記事で紹介した製品の関連資料がダウンロードできます。
ダウンタイム削減のためのコミュニケーションと、
ハンズフリーによる作業効率アップ。工場で活用されるスマートグラス。
常務取締役 製品戦略本部長 浦井 清一 氏
昨今、各所でその活用について話題にのぼる「スマートグラス」。工場におけるその導入目的は主に「現場作業者と遠隔地の管理者との円滑なコミュニケーション」と「ハンズフリーによる作業効率アップ」です。
例えば工場のラインが停止した際、最速で復旧しようとすれば、現場の作業員が対処できるのが最も理想的です。しかし実際には、作業者が自身の判断で解決できるケースばかりではありません。その場合は、オペレーターをはじめとした管理者が駆けつけて対処することになります。もちろんその間、ラインはダウンしてしまいます。
ではもし、遠隔地にいる管理者が作業者に的確な指示を出し、作業者がその通りに作業できればどうでしょう?ダウンタイムは必ず短縮できます。同じことは携帯型のカメラなどを使っても行うこともできますが、それでは片手がふさがってしまいます。そこでスマートグラスの活用です。これにより、常にハンズフリーの状態で、作業性を損なうことなくコミュニケーションができるようになります。スマートグラスが注目される最大のメリットはそこです。
「管理者がリアルタイムで的確な指示を出し、作業者がそれに応え的確に作業する」。
この仕組みをいかに使いやすく作るかが、スマートグラスを工場で有効活用するためには重要です。
ポイントは『装着安定性』『両眼視聴』『相互通信』。
遠隔地の管理者から作業者への的確な指示がスマートグラスに映っている。
工場でスマートグラスを有効に使う、という課題に対して、当社が考えるポイントが3つあります。それは、『装着安定性』『両眼視聴』そして『相互通信』です。当社は電線やケーブルの開発・製造を手がけるメーカーでもあり、自社工場を持っています。この3つのポイントは、当社が自社工場で“実際に”スマートグラスを活用する中で導き出した、実体験に基づくものです。
まず『装着安定性』。スマートグラスには、「作業者が見ている光景を管理者に伝える」役割と、「管理者からの指示を表示する」役割があります。スマートグラスを頭部に装着した際に、これがブレてしまうと、その両方に悪影響が出ます。管理者と作業者の双方で見えているものが異なる…管理者からの指示が見えない…など、これでは作業効率が上がるはずはありません。
そして『両眼視聴』。スマートグラスには、管理者からの指示が画像や文字、矢印など様々な形で表示されます。時には細かいマニュアルを見ることもあります。それらの指示・画像が小さく見づらいと、意図が的確に伝わりません。「表示されれば良い」という訳ではないのです。大きく表示する、それも両眼の視野いっぱいに。このくらいやる必要があります。もちろん、スマートグラスはシースルーなので、作業対象もしっかり視認できます。
そして最後に『相互通信』。これも正確な情報のやりとりに重要です。管理者からの一方通行の指示では、現場の状況が正しく伝わりません。双方向のスムーズな情報交換が重要です。
それらの条件を満たすスマートグラスが、エプソンの業務用スマートグラスBT-2000でした。そこに当社が工場での活用における最適なシステムソリューションを開発し、組み合わせたのが、『nvEye's(エヌヴィ)』というサービスです。
工場内作業に特化したシステムソリューション
『nvEye’s(エヌヴィ)』。
(動画)遠隔地の管理者が作業者へ指示を送る様子
スマートグラスとそのシステムソリューションが一体になった『nvEye's(エヌヴィ)』を導入することで、工場内の作業者と管理者の業務は一変します。
まず、スマートグラスに搭載されているカメラの映像は、Wifiとネットワークを通じて、遠隔地のPC・タブレット・スマートフォンでリアルタイムに確認できます。同じ工場内はもとより、工場と本社間をつなぐなど、距離的な制約はありません。そして管理者は、適宜作業者にマニュアルやテキスト、そして時には手書きでの指示を送ることができます。これらがストレスなく、本当にかんたんにできてしまいます。
結果としてのダウンタイムの短縮、作業効率の向上、移動経費削減などの効果は言うまでもありません。当社の工場で言えば、年間のダウンタイムはおおよそ100時間相当でした。しかしこのシステムを導入し、問題発生直後に復旧対応をとることで、トータルのダウンタイムをおよそ50%削減できる見込みです。
その他にも、熟練作業員の作業目線を記録することによる人材育成や技能伝承への活用、動線記録・解析による現場改善への応用も期待できます。
実際に見れば、良さがわかる。ぜひ、工場見学にお越しください。
JMACS兵庫工場全景(兵庫県加東市)
おかげさまで『nvEye's(エヌヴィ)』は、半導体や自動車、FA系の工場で続々と導入をいただいています。
とはいえ、これから導入を検討するにあたっては、「スマートグラスをかけた時にどんな風に見えているのか?」「指示を出す際のインターフェースはどうなのか?」「的確に作業者の目線を把握し、正確に指示を出すことができ、それがしっかり伝わるのか?」など、その使用感についてわからないことは多々あるかと思います。
その価値を感じていただくにはやはり『実際に体験していただくのが一番』です。前述のように、当社は自社工場でスマートグラスを活用しています。ぜひ、工場見学にお越しください(兵庫県加東市)。もちろん、工場の効率化の相談についても、お気軽にお寄せいただければと思います。