60℃で粘土に変化…4m下に落下の卵も無事…ユニークな樹脂開発
掲載開始日:2016-09-16 00:00:00.0
ゴムや塗料、発泡、プラスチックなどの素材として広く使われるポリウレタン樹脂。原材料となるポリオールとイソシアネートの組み合わせによって様々な性質のものが作りだせますが、そのパターンは数億通りとも言われています。そんなポリウレタン樹脂を中心にユニークな素材を開発しているのが株式会社ポリシス(浜松市)。60℃で粘土状になって冷やすと固まるプラスチックや、高さ4mから落としても卵が割れない樹脂ほか、オリジナリティあふれる製品について、話を聞きました。
今回紹介する技術と製品
ポリシスの樹脂開発製品
ウレタン素材にこだわりオンリーワンの樹脂開発を行うポリシス。同社の数ある素材の中から3つをピックアップしました。60℃で粘土状になり、冷めると固まるプラスチック「ハプラフリーレ」、卵を落としても割れずに跳ね返る超弾性体、2液を混ぜて2分で硬化するプラスチック「ポリキャスト」。ぜひ一度、ご覧ください。
この記事で紹介した製品の関連資料がダウンロードできます。
「こんな素材はできないか?」という相談から始まる製品開発。
代表取締役 毛利 俊甫 氏
当社はポリウレタン樹脂にこだわったオンリーワンの素材を開発しています。限りなく人肌に近い肌触りのウレタンゲル『ハプラプリンゲル』や、ゲル状からガラスに近い硬さまでのラインナップを持つ透明なポリウレタン樹脂『ポリクリスタル』、自己粘着性を持つ貼れる防振材『ハプラタックゲル』など、様々な特徴をもつ素材を取り揃えています。それらの素材が生まれるきっかけは、多くの場合、「こんな素材できないか?」というお客様からの相談です。
「ワーク固定台座」や「保護カバー」として活用が広がる。
60℃で粘土状になり、冷めると固まるプラスチック『ハプラフリーレ』
熱応答性ポリウレタン『ハプラフリーレ』
昨今、活用が広がってきているのが、熱をかけると粘土になり、冷ますとプラスチックに戻る熱応答性ポリウレタン『ハプラフリーレ』です。例えば、工場での製品組み立てで使用する「台座」は、従来、製品が変わるたびに金型から作り直す必要がありました。
しかし、ハプラフリーレを使えば、製品にくっつけて、温めて、冷ませば台座が完成。すでに大手の自動車会社などで導入されています。製品が変わるたびに台座を作り直すのは、大きな工数と費用がかかります。かんたんに、そして繰り返し使えるハプラフリーレの導入によって、数億円レベルのコストが削減できているとのことです。
卵を落としても割れずに跳ね返る!
反発力≧80%をもつ超弾性体。ポリウレタンフォーム&エラストマー。
高さ4mから卵を落としても、割れずに跳ね返る。
高い反発力で跳ね続ける。
『高反発ゲル』はいわゆるスーパーボールのようなものです。
開発にあたっては、低温時の反発力の低下や、反発力を上げた際の強度低下などが技術的な課題でした。
玩具やスポーツ関係などでの応用が期待されています。
2液を混ぜて、2分で硬いプラスチックに! 速反応型FRP代替プラスチック『ポリキャスト』
あるタイミングで、一気に硬化。
速反応型FRP代替プラスチック『ポリキャスト』
『ポリキャスト』は2液をまぜて2分待つだけで、硬いプラスチックに変わります。
用途としては、例えばマネキン製造です。従来、マネキンは職人が一体一体作っていて、生産スピードは1日に数体程度でした。しかし、ポリキャストを型に流し込む製法に変えることで、圧倒的な速さでの製作が可能になりました。結果として、マネキンの単価が7割近くも下がったと聞いています。
当社では他にも、様々な素材の開発を続けています。
例えば、「ガラスの代用となる、軽くて割れにくい、透明度の高いプラスチック」などは、太陽電池のカバーなどでの応用も期待できます。
今回、当社が開発した素材の一部をご紹介しましたが、ご興味のあるものがあればぜひお声がけください。
また、「こんな素材はできないか?」というご相談も、お気軽にお寄せください。