世界有数の製品数を揃える計測器レンタル。利益度外視の製品も

　当社は1978年に創業しました。創業者で先代の社長である私の父は建設コンサルタントから転身したのですが、当初はソーラー発電関連のビジネスを手掛けようとしていました。しかし、当時はソーラー発電が普及しておらず、誰も見向きもしない状況でした。そこで、かねてから関係のあった土木建築業界向けに測量機器の販売を開始したことが、今のビジネスの源流です。

　レンタルサービスを開始したのは創業から5年後の1983年。先代が「これからのニーズにはレンタルが合うんじゃないか」と考えたことからサービスが始まりました。というのも、土木建築業界では現場単位で資材や機材を調達するので、そのプロジェクトが終わったときに資産が残っているとそれを移動させ、保管しなければならないですし、場合によっては捨ててしまう。レンタルであればニーズに応じて柔軟に機材を利用でき、工期を短縮できればレンタル料も抑えられるので利益も上がります。

　インターネットでのレンタルを開始したのは2002年です。先代が「おい嘉之（現社長のこと）、アメリカではインターネットでものを探すらしいぞ」と。これをきっかけにレンタルサービスが拡大し、今ではレンタルサービスが売り上げの約95%を占めるまでになりました。また、土木建築以外の製造業のお客様にもリーチしやすくなり、工場の検査や製品開発の中で当社の取り扱い製品をご活用いただいています。

　また、最近ではお客様が保有している機器の校正や、不要機材の買い取りサービスを立ち上げるなど、単純な機器商社ではなく “サービス業としていかにお客様の利便性を向上させられるか”ということを主眼に事業に取り組んでいます。

　当社のレンタルサービスの特長は、取り扱い機器の種類がとにかく多いことです。国内全域をカバーしていて、これだけの種類を提供できる同業他社は世界にもないかと思います。ニーズが少なくて利益が見込めない特殊な機器でもお客様が必要とする可能性があれば購入しますし、先進的な技術も積極的に取り入れています。

　もちろん、機器はすべて信頼性の高いものを揃えており、使用時には校正済み。トレーサビリティも確立しているため安心して利用いただけます。また、品質マネジメントのISO9001も取得しています。

　導入当初はあまりニーズが高くなかったものの、後になって需要が高まった製品の例が放射線測定器です。当社は2010年12月に初めて放射線測定器を購入しました。正直なところ、最初は「こんなもの誰が使うんだろうか…」と疑問に思っていましたが、その3か月後に起きた東日本大震災により原子力発電所で事故が発生したことで多くのお問い合わせをいただくようになりました。どこにニーズがあるかわからなくても新しい技術に投資する当社の姿勢があったからこそ、震災後も迅速に対応することができ、今でもお役に立てているのだと思います。

　一方、汎用性の高い製品も扱っていますが、汎用品の場合はお客様の活動拠点から近い計測器レンタル業者から借りていただいたほうがお客様にとって便利だと考えています。ただ、地方を中心に事業を展開する業者では特殊なニーズに対応できない場合があります。そうしたケースでは当社からダブルレンタルという形で製品を貸し出すなど、地域密着型のレンタル業者と当社が連携することで全国のお客様の利便性を高めています。

　当社のサービスは土木建築業界からスタートし、製造業でも多くのお客様にご利用いただけるようになりましたが、まだまだ認知度が足りません。

　例えば、当社の新卒採用面接でも「（学生時代にサービスを）知っていれば絶対借りたのに！」と言ってくれる学生もいたりします。当社としては研究・教育機関の方々にもっと色々な機器を使っていただきたいですね。機材を購入しようとすると研究・教育機関では予算の確保が大変ですが、レンタルなら経費で利用できるので、研究開発に貢献できる機会は多いと思います。

　一般的に、販売とレンタルは市場を奪い合う、と考えられがちですが実はそうではありません。購入した商品が納品されるまでの代替として、あるいは実際に導入するまでのテストとして、販売とレンタルとのコラボレーションも増加しています。即納かつ短期間であっても、校正された計測器を使用できるというメリットから、レンタルには大きな可能性があると考えています。

　その中で計測器レンタルという業界自体の認知度もさらに上げていく必要があります。現状ではまだまだ普及していないので、異業種の企業ともアライアンスを組むことで計測器レンタルに足りない部分を補い、市場を広げていきたいと考えています。

　当社は国内の計測器の流通を担っていると自負しています。今後も、全国のお客様に対して利便性の高いサービスを提供し続けることで、日本の技術と経済の発展に貢献していきます。