樹脂成形金型の離型性を高める新コーティング。生産性の向上に貢献

掲載開始日:2017-06-26 00:00:00.0

樹脂成形金型の離型性を高める新コーティング。生産性の向上に貢献/ユケン工業株式会社

 鉄やアルミ、樹脂の成形用金型における「離型性」は、製品不良の削減や生産性の向上につながる重要な要素。今回、自動車関連を中心とした表面処理技術のプロフェッショナル、ユケン工業(愛知県・刈谷市)が新たに開発したのが、樹脂成形金型の離型性を追求したコーティング『Yコート タイプBLプラス』です。導入した企業からも早速、「変形や白化がなくなった」「離型剤塗布が廃止できた」「選別作業が低減でき生産性が向上した」などの評価を受ける新コーティングについて話を聞きました。

今回紹介する技術と製品

離型性に優れる樹脂成形用皮膜
Yコート タイプBLプラス

「Yコート タイプBLプラス」は、金属素地表面への特殊ディンプル加工により樹脂との接触面積を低減。これに耐食性・耐摩耗性・防汚性・離型性に優れた「Yコート タイプBL」を組み合わせることで、さらに高い離型性を実現しました。
離型不良を低減し、さらにはサイクルタイムを高めるなど、生産性のアップに貢献します。

この記事で紹介した製品の関連資料がダウンロードできます。

冷間鍛造金型、プレス金型のPVDセラミックコーティング加工で
国内トップシェア。
プラスチックメッキ受託加工は自動車部品の内外装で長年の実績

TL事業総括責任者 杉浦 健太郎 氏

 当社は、表面処理のリーディングメーカーとして、金属表面処理剤である洗浄剤やめっき光沢剤、防錆コーティング剤の開発・販売などを手がけてきました。更には、プラスチック素材への金属めっき加工や機能薄膜加工など、幅広い表面処理技術を提供しています。

 当社の強みは、薬品製造から加工まで幅広い表面処理技術をバックグラウンドにしながら、営業やサービス活動を通じてお客様と一緒に考える中で生まれたアイデアを、商品開発にフィードバックしていくプロセスにあります。

 当社の事業は大きくは3つの分野から構成されています。

 1つは「金型セラミックコーティング受託加工」です。当社は金型へのPVDセラミックコーティング加工にいち早く取り組み、冷間鍛造金型、プレス金型では、おかげさまで国内トップシェアを誇ります。近年は、樹脂用金型へのセラミックコーティングも実施し、金型用のPVD処理を幅広く行っています。

 次に、「金属表面処理剤の製造販売」です。当社は防錆用の金属表面処理剤のラインナップを豊富に揃え、めっき前処理剤、塩化浴亜鉛めっき光沢剤ではトップシェアかと思います。他にジンケート浴亜鉛めっき光沢剤や3価クロム化成処理剤、亜鉛アルミ複合高防錆塗料など、幅広く取扱っています。

 そして3つ目が、「プラスチックめっき受託加工」です。愛知県という土地柄もありますが、自動車部品の内外装で長年におよぶ実績があり、クロムめっき、3価黒クロムめっき、サテンめっき、ブルーめっきのラインナップがあり、最大1950×1040×300mmのサイズまで対応が可能です。

 今回お話しする樹脂成形用皮膜『Yコート タイプBLプラス』は、「金型セラミックコーティング受託加工」分野での、最新のコーティング製品となります。

樹脂成形ニーズの増加に合わせ、耐食性・耐摩耗性・防汚性に加え、
特に「離型性」に優れた樹脂成形用皮膜
『Yコート タイプBLプラス』を開発

図1 樹脂成形用皮膜 Yコート BLプラス の特長

 樹脂成形金型用のコーティングには、耐食性、耐摩耗性、防汚性、そして離型性が求められます。当社が樹脂成形用のコーティング製品を最初にリリースしたのは2008年ごろです。背景には、自動車をはじめとしたさまざまな生産材の材料が、鉄やアルミから、樹脂に広がっていったことがありました。

 「樹脂成形用コーティング」の開発は多くの部分が手探りでしたが、2010年に現在の主力製品となる「Yコート タイプBL」が完成しました。これは前述の耐食性、耐摩耗性、防汚性、離型性を高いレベルで実現し、おかげさまで多くのお客様からご支持をいただきました。

 ただ、近年の樹脂成形においては、成形品の複雑形状化や金属製品の樹脂化に伴い難成形樹脂の採用が増えてきています。結果、成形品が金型へ残ってしまう現象や、成形品をエジェクトピンで取り外す際に変形・白化してしまうなど、いわゆる「離型不良」も発生するようになってきました。

 そこで、これらの課題を解決するために「離型性」を追求した結果誕生したのが、『Yコート タイプBLプラス』です。

離型性を高めることで、離型不良を確実に減少させる。
「抜けの良さ」はサイクルタイムの短縮、生産性の向上につながる。

図2 Yコート BLプラスの効果 ~処理前後の比較~

 「離型不良」が発生すれば、結果として成形機の稼働停止や不良率の上昇などの問題が発生し、生産性は低下します。逆に言えば、サイクルタイム短縮やコスト競争力の強化、品質向上や省人化を目指す上で、『離型性の追求』は避けて通れません。

 離型不良の課題に対して、テフロンやクロムめっき等の表面処理加工や、離型剤等の塗布による対応がなされてきました。しかし十分な性能を長期間維持することが難しかったり、離型剤の成分によっては後工程で問題を発生させることがありました。

 当社の『Yコート タイプBLプラス』処理は、接触面積の低減を目的とした「特殊なディンプル形状」と、高硬度かつ低い表面付着エネルギーを有する「Yコート タイプBL」皮膜を複合させる事により、長期間にわたって高い離型効果を維持する事に成功しています。

 ABS樹脂製品の成形では、成形不良が改善し、エジェクトピン接触部の変形や製品の擦り傷が抑えられ、製品不良が減りました(図2)。

 また他の事例として、従来、離型のための冷却時間として約25秒かかっていたものが、20秒になりました。この5秒はとても大きいです。結果として、サイクルタイムが大幅に向上しました。「表面処理1つで生産性は大きく変わる」というわかりやすいエピソードではないでしょうか。

より幅広い樹脂に対応できるコーティングや、
離型以外の特徴的な特性をもつコーティングを開発したい。

ユケン工業の機能性コーティング「Yコート処理」

 現在、当社のお客様は愛知という土地柄、自動車関連が多いのですが、樹脂成形用のコーティングはより広い業界でご活用いただける可能性が十分にあります。引き続き、より多くのお客様に当社の樹脂成形用のコーティング知っていただくことで、その活用の幅を広げていきたいと考えています。

 また、一口に「樹脂」と言ってもその種類は多岐に渡ります。コーティングが難しい素材もまだまだありますので、さらに開発を進め、その適用範囲を広げていきたいと思います。「離型性」に限らず、様々な特性のコーティングについても研究を進めていきたいと考えています。

この記事で紹介した製品の関連資料がダウンロードできます。

取扱会社

ユケン工業株式会社

○各種表面処理剤(金属用洗浄剤、めっき光沢剤、防錆コーティング剤) ○電子部品用薬品(金属用洗浄剤、めっき光沢剤) ○PVD加工(金型の耐久性向上) ○樹脂めっき加工(プラメッキ)

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