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3Dプリンタで扱うことのできる材料:3Dプリンタの基礎知識3

3Dプリンタの基礎知識

更新日:2021年4月27日(初回投稿)
著者:有限会社ニコラデザイン・アンド・テクノロジー 代表取締役社長 水野 操

前回は、3Dプリンタを使って立体造形物を作るための基本的な作業の流れを解説しました。今回は、3Dプリンタで扱える材料について説明します。一般的になじみのある材料は、樹脂(プラスチック)です。しかし、プラスチックといっても、実はさまざまな種類があります。さらに、産業用の3Dプリンタであれば、チタンやアルミといった金属による造形も可能です。少々変わり種のものとしては、セメントを材料にしたものもあり、筆者も開発に関わったことがあります。3Dプリンタで建物を作った事例を、ニュースなどで見かけた人もいるでしょう。今回は、これらの材料の持つ特性や、使用される用途などを紹介していきます。

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1. 3Dプリンタの方式と、対応するさまざまな材料

私たちの身の回りを見てみると、造形物には実にさまざまな材料が用いられています。プラスチックでできたものや金属でできたもの、なおかつプラスチックにも金属にもそれぞれ多種多様な種類があります。ところが、3Dプリンタブームが起きた6、7年ほど前には、今ほど材料の種類がありませんでした。そのため、趣味であれば造形さえ可能なら材料にこだわらなくともよかったものの、製造業の道具として使用するには力不足でした。一般的な製品で用いられる樹脂(エンジニアリング樹脂ともいいます)には、ABSやポリカーボネート、ポリプロピレン、ナイロンなどをはじめとして数多くの種類があります。

製品を設計する人は、用途や目的、条件などに応じて使用する材料を選択します。そのため、たとえ製品開発中の試作品であっても、本物の材料が使えなければ困ることになります。幸いなことに、3Dプリンタの世界では、比較的安価なFDM方式であっても、あるいは数10万円クラスの光造形方式であっても、この数年で使用できる材料の種類が増えてきました。では、実際にどのような材料が使えるのか、それらについて説明します。

大きく分類するとFDM(FFF)方式の3Dプリンタで使用する材料と、光造形方式の3Dプリンタで使用する材料の2つに分けられます。

FDM(FFF)方式の3Dプリンタとは、熱溶解積層法ともいい、高温で溶かした樹脂を、造形プレートの上に下から積み上げて造形する方式です。光造形方式は、硬化する液体状の樹脂の表面に、紫外線や類似の光源などを照射し、一層ずつ硬化させて造形する方式です(第1回)。

・FDM(FFF)方式の3Dプリンタで対応する材料
FDM方式のプリンタで提供される材料の形態は、ほぼ例外なく、スプールに巻かれたワイヤ状で提供されます(図1)。太さは概(おおむ)ね1.75mm前後で、多くの場合、プリンタメーカーが提供する純正材料でなくても使用することが可能です。もっとも、あまりに安価な素材では、品質に問題があってノズル詰まりの原因にもなるので注意が必要です。ハイエンド機などで、カートリッジの中にワイヤが収められている場合は、材料の消費量などが常時トラッキングされているため、材料の残量情報を確認することができます。

図1:ワイヤ状で提供されるFDM方式用の造形材料

図1:ワイヤ状で提供されるFDM方式用の造形材料

FDM方式の3Dプリンタの材料として、PLA(ポリ乳酸、polylactic acid)とABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)の2種類が、3Dプリンタ誕生の当初から用いられてきた2大材料であるといっても過言ではないでしょう。特に、10万円を下回る低価格帯の3Dプリンタの場合には、PLAのみという場合も少なくありません。

PLA:
PLAは、植物由来の生分解性プラスチックとして知られています。この材料の特徴としては、比較的融点が低く、約180℃から230℃程度の低温で出力することが可能であり、また反りにくいということがあります。従って、閉じたチャンバ(3Dプリンタ庫内)や造形用のプラットフォーム(基盤)を温める機能がない安価なプリンタでも、比較的安定した造形が可能です。ただし、融点が低いことで夏場の自動車の中程度の温度でも歪(ゆが)んでしまうことや、硬いため造形後の後加工が難しい、あるいは柔軟性がないため曲がりにくく割れやすいといったデメリットもあります。

ABS:
ABSは、PLAと異なり強度や耐久性において実績のある材料であり、私たちの身の回りの製品でも多用されています。そのため、より実用的な部品などの出力にはABSを使用することが好まれています。ただし、ABSは3Dプリンタの材料としては、扱いにくいところもあります。まず、出力の温度がPLAよりも高く、一般的にノズルの温度は230℃から260℃程度となります。さらに、PLAと比較して収縮率が大きいこともトラブルにつながりやすい要因です。

ABSに対応した3Dプリンタのプラットフォームはヒーテッドベッドであることが多く、部分ごとに冷える温度が異なるため、造形物がある程度の大きさになると大きな反りが発生します。完全に囲まれたチャンバを備え、さらにチャンバ内が十分に熱されていないと、プラットフォームから剥がれて大きなゆがみが発生し、造形に失敗することも珍しくありません。その代わり、きちんと造形ができればその後の加工が楽なので、趣味、仕事を問わず実用的な製品に向いているといえます。

その他の材料:
デスクトップ型のFDM方式3Dプリンタでも上記以外のプラスチック、例えばPET、ナイロン、PC/ABS、HIPといった、産業分野でもよく使用されるエンジニアリング樹脂の使用が可能になってきています。また、FDM方式3Dプリンタは硬いものの出力が一般的である一方、エラストマーと呼ばれるゴムのように軟らかい材料についても出力が可能なものがあります。

それ以外にも、材料となるフィラメント(連続したワイヤ状の長い繊維)にさまざまな材料が混入されたものも用意されています。ただし、樹脂ごとに造形の温度や挙動の違いなどがあるため注意が必要です。

FDM方式の3Dプリンタでは、材料はスプールに巻かれたワイヤの状態で提供され、後述する光造形方式の3Dプリンタよりも扱いが簡単です。とはいえ、大なり小なり材料には吸湿性があります。このため、本格的な製造で用いられる射出成型のように細心の注意を払うほどではないものの、保存時の湿度が高くならないように気を付けることが必要です。

・光造形方式の3Dプリンタで対応する材料
材料が固体として提供されるFDM方式の3Dプリンタと異なり、光造形方式の材料は液体の状態で提供されます(図2)。また、扱い自体に安全上の注意点がないFDMのスプールと違って、光造形方式の材料の場合、材料の種類によっては注意が必要になります。例えば、直接皮膚に触れると手が荒れるなどのダメージを受ける材料もあるため、ゴム手袋などが必要となる場合があります。

図2:光造形方式(液状の材料を一層ずつ重ねて作る)

材料の保管にも注意が必要です。光造形方式3Dプリンタの材料には、紫外線や可視光で硬化する性質を持つものもあります。通常、材料は光を通さない容器で保存されるものの、FDM方式の材料よりもより環境に敏感であるため、保管時の取り扱いには注意しましょう。光造形方式で利用される材料を、標準的な樹脂、透明な樹脂、エンジニアリング樹脂ライクの樹脂、用途に応じた樹脂に分類して説明します。

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

2. 産業用として普及してきた材料

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3. 材料の特徴をよく理解して出力しよう

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