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造形の際の注意点について:3Dプリンタの基礎知識5

3Dプリンタの基礎知識

更新日:2021年11月19日(初回投稿)
著者:有限会社ニコラデザイン・アンド・テクノロジー 代表取締役社長 水野 操

前回までは、3Dプリンタで造形するために必要な基礎知識や準備について解説しました。今回からは、出力時における注意点や、問題が起きた時の対処方法などを取り上げます。ただし、3Dプリンタの方式によって、注意点や対処は異なります。ここでは、小規模な組織や個人での使用が多いFDM方式を中心に解説します。

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1. 安定した造形物を出力するための設定

通常の文書や写真を印刷するためのプリンタでは、メニューの「印刷」をクリックすれば、ほとんど印刷に失敗することはありません。たまに紙詰まりやインク切れが起きるくらいで、その解決に頭を悩ますことはほとんどないでしょう。ところが、3Dプリンタの場合には少々勝手が違います。3Dプリンタは、プリンタと名乗ってはいるものの、一種の工作機械です。そこには当然、きちんと形を作っていくためのノウハウが必要になります。特に、個人ユースで使われる比較的低価格のプリンタは、かつてのように出力に苦労することはなくなってきています。とはいえ、納得のいく品質で出力するためには、造形に関する基本的な知識を得ておいた方がよいでしょう。

なお、ここではごく基本的な3Dプリンタに共通した事柄について解説しています。比較的ポピュラーなプリンタであれば、ユーザーのコミュニティなどでの情報交換が積極的に行われています。自分が使用する3Dプリンタのノウハウについて、そういったコミュニティを活用してみるのもよい方法です。

・FDM方式における安定性を考慮した配置

FDM方式とは、第1回で解説した熱溶解積層方式(Fused Deposition Modeling)のことです。熱可塑性樹脂を熱で溶融し、ノズルから吐き出して層を形成して、その繰り返しで一層ずつ積み重ねて造形していきます(図1)。

図1:FDM方式

図1:FDM方式

FDM方式プリンタの場合、造形での失敗をなるべく少なくするには、産業用3Dプリンタのように造形チャンバー(3Dプリンタ庫内)が完全に閉じられ、造形終了まで高温の空間が保たれる必要があります。一方、造形の領域がオープンエアにさらされている小型プリンタの場合、造形される場所によって大きく温度が異なり、また樹脂によっては熱による収縮率が大きいため、結果として歪(ゆが)みや反り、剥がれなどのトラブルが生じてしまいます。そのため、多くのFDM方式プリンタでは、できる限り反りや剥離が起きないような対策がなされています。ただし、より完成度を高める場合には、ユーザー側での対策も必要です。

まず、3Dプリンタを使い始める前に、造形プレートの水平レベルを取ることが重要です。多くの場合、プリンタごとにレベリングの方法が指示されています。レベルが正しく取れていない場合、かなりの確率で造形が失敗してしまうため、面倒でもこれらの調整が必要です。正しく水平レベルが取れていれば、基本的には造形プレートのどこで出力しても大丈夫です。とはいえ、やはりプレートの中央部で出力することが、比較的安定した出力につながります。ただし、最も安定した位置はプリンタによって異なる場合もあるので注意が必要です。なぜなら、きちんとレベルを取っていても、特に大きな造形プレートの場合は、端に向かって微妙にたわみが生じていることもあるからです。

次に考慮するべきことは、いかに物体の表面をきれいに造形できるかという点です。光造形方式などと比較すると、FDM方式は積層痕が目立ちやすい、という特徴があります。この積層痕は、造形の向きによって比較的目立つ場合と目立たない場合があります。例えば、垂直面などは積層のしま模様が明らかではあるものの、全体としては比較的きれいに仕上がります。また、水平面も塗り潰されるように樹脂が重ねられるため、やはり比較的きれいです。それに対して、緩やかな斜面などは階段状の段差が目立ちます(図2)。さらに、造形プレート側に貼り付く水平面や、支えとなるサポートが貼り付く面では、面が荒れがちになります。

図2:左の垂直面に対して、右のような緩やかな傾斜や曲面ほど積層の段差が目立ちやすい

図2:左の垂直面に対して、右のような緩やかな傾斜や曲面ほど積層の段差が目立ちやすい

・サポートを考慮した配置

サポートとは、造形物の歪みや崩壊を防ぐための土台や足場の部分をいいます。FDM方式でも、液体状の樹脂の表面にレーザ光などを当てて硬化させる光造形法(SLA)であっても、付け方一つで造形モデルの精度に大きく影響します。しっかりと造形物に付けてしまうと、ペンチやニッパでサポートを剥がさなくてはならなくなり、その際に形状ごと壊してしまう可能性があります。また、込み入った箇所にサポートが付いてしまうと、さらに除去が困難になります。水溶性のサポート材という特殊なものを使用するという方法がありますが、極力、微細で繊細な形状の部分にはサポートが付かない工夫が必要です。

出力前のセットアップでは、造形物とそれに対するサポート材がどう配置されるか、プレビューで表示されます。この段階で、出力後の後工程も考えた出力の向きを設定しましょう。

光造形方式などでは、FDM方式と違って積層のしま模様は目立ちません。しかし、サポートが付く面は荒れてしまいます。もちろん、出力後に研磨して面をきれいに仕上げることは可能です。けれども、外観上の観点などから面の品質を重視するのであれば、最初からどの向きに配置するのがベストなのかを考慮します。

2. 大型出力物の造形について

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

3. FDM方式による造形不良の対策

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

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