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3D CADとは:3D CADの基礎知識1

3D CADの基礎知識

更新日:2018年12月26日(初回投稿)
著者:D2FORM 代表 榎本 実

近年、製品や部品を設計し製造するための道具として、CADシステムが活用されています。そのCADには、2D CADと3D CADがあります。この2つは仕組みが異なるため、道具としての使い方も異なります。3D CAD特有の仕組みを理解すると、それぞれの活用方法が見えてきます。本連載では全7回にわたり、3D CADを理解するための基礎知識を紹介していきます。第1回は、3D CADの特徴を紹介します。

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1. 3D CADとは

CAD(Computer Aided Design)の最も基本的な役割は、形状を含む設計内容をデジタルデータとして表現し、設計データの作成・変更・再利用を容易にすることです。このとき、形状データの表現方法の違いが2次元(2D)と3次元(3D)です。実際の製品は、3次元の立体です。2次元データは、3次元の立体を製図規則によって投影図で表現したものです。一方、3次元データは、現実の立体をそのままコンピュータ内に表現したものです。この違いは、コンピュータにとっても、利用者にとっても大きな違いであり、2D CADや製図に慣れた技術者にとって、3D CADを理解しにくいものにしています。

・3次元とは

3次元(3D:Three Dimensional)の次元は、形状を表現するための座標の数です。1次元は座標軸が1つ、座標上の点は一直線上に限られます。2次元(2D)は、座標軸が直行する2軸、つまり平面上の位置です(図1)。グラフなどで目にするxy座標と同じです。

図1:3次元とは

図1:3次元とは

3次元(3D)は座標軸が直行する3軸で、現実世界と同じ立体空間を表現できます。3次元空間上に部品を置いたとき、位置と向きを設定します。向きは、3つの座標軸にそれぞれ回転角度があり、6軸または6自由度といいます。これは物体の運動や部品の配置などでは必要になります。ただし、座標軸としてはxyzの3つなので、6次元とはいいません。

・3D CADの歴史

3D CADは、設計・製造上の要求から発展し、普及してきました。3D CADの発展を振り返り、3D CADの役割や現在の状況を把握しましょう。3D CADの歴史の中で、初期に台頭したのがサーフェスCADです。サーフェスは外観を面として表します。その後、サーフェスの中身の情報も表せるソリッドが登場し、現在の3D CADの主流はソリッドCADです。

サーフェスCADの発展
1970年代、主に航空機メーカーや船舶メーカーがコンピュータを利用した設計・製造システムを盛んに開発しており、これが汎用的なCADにつながっていきます。

1980年代は、自動車メーカーが本格的に3D CADの開発と活用を進めました。典型は自動車のボディを設計・製造する工程です。その形状は自由曲面で構成されます。そして、ボディパネルの量産にはプレス金型(図2)を使用します。2D図面は、利用が難しいため、マスタモデルと呼ばれる実物大の原形を図面代わりに用意して、金型や検査冶具を製作していました。ここに3D CADを導入することにより大幅な効率化ができました。

図2:プレス部品と金型の例

図2:プレス部品と金型の例

そこで、自動車メーカーの多くは3D CADを自社で開発して使用しました。これを、社外に販売するようになり、一般企業への3D CADの普及が始まりました。このような経緯から、当時の3D CADは曲面形状の作成と曲面加工に適したサーフェスCADで、現在のようなソリッドモデルは扱えませんでした。

1990年代には、サーフェスCADを自社開発していた自動車メーカーが、市販のサーフェスCADをベースに開発する体制への移行が始まりました。この市販サーフェスCADとは、古くから3D CADを開発してきた航空機メーカーをルーツに持つ3D CAD(現在のCATIA、NX)です。

2000年代になると、サーフェスCADもソリッドモデルを扱えるようになります。これにより、曲面形状とともに機構・構造を含めた製品設計にも活用されるようになります。こうして発展してきた3D CADは、自由曲面に強く、自動車産業の関連企業に多く採用されるようになりました。

ソリッドCADの登場
1990年代前半、曲面を扱う分野ではサーフェスCADの普及が進んでいました。しかし肉厚の部品形状の設計や機構・構造の設計など、一般的な機械設計には使いにくいものでした。そこに、ソリッドモデルを扱う画期的な3D CAD(Pro/Engineer、現在のCreo)が登場しました。この新しいソリッドCADの特長は、フィーチャーと呼ばれる立体形状の作成を簡単に行える仕組みを持ち、形状の大きさは寸法変数(パラメータ)として簡単に変更できる点でした。フィーチャー・パラメトリック型ソリッドモデラーとも呼ばれました。これによって、分野を問わず機械設計を実用的に行えるようになり、家電メーカーでの製品設計や自動車メーカーでのパワートレイン系の設計に用いられ始めました。図3はソリッドCADでリモコンのケースを設計した例です。

図3:ソリッドモデルと試作品

図3:ソリッドモデルと試作品

ソリッドCADは全く新しい設計ツールでした。2D CADで問題なく業務が進んでいる分野が多く、3D CADを導入すればすぐ簡単に成果を上げられるものではありませんでした。そこで、ソリッドCADの利用技術(組立製品の設計手法)が盛んに開発されました。

1990年代後半、3D CADはワークステーション上で動作していました。そこに、PC上で動作する比較的安価なソリッドCAD(SolidWorks、SolidEdgeが代表的)が登場します。これも、ソリッドCADの普及を後押ししました。また、積層造形装置(現在3Dプリンタとしてよく知られています)による高速試作(Rapid Prototyping)もソリッドモデルとの相性が良く、設計検証の手段として普及が始まりました。ソリッドCADは、機構・構造を含む製品設計を重視する家電メーカーとその関連企業に多く採用されています。

現在の3D CAD
2000年代以降は、サーフェスCADとソリッドCADの区別はなくなり、3D CADの主流はソリッドCAD(フィーチャー・パラメトリック型ソリッドモデラー)となって現在に至ります。

3D CADの歴史を振り返ると、まず曲面形状設計・加工分野でサーフェスCADが発展しました。しかし、サーフェスCADは用途、使い方が限られており、そこに登場したのが一般的な製品設計に使えるソリッドCADでした。ソリッドCADの対象分野は広く、使い方もさまざまです。

・3D CADの基礎用語

ここまでにも、3D CADに関する用語が幾つか出てきました。ここで主要な基礎用語を確認しておきましょう。3D CADの製品によって、呼び方には違いがあるので、どのようなキーワードがあるのかを参考にしてください。正式な用語はJIS B 3401 CAD製図にあります。ここでは実際によく目にする名称を中心に紹介します。

表1:3D CADの基礎用語
分類名称内容
全般モデルCAD内に表現された形状
ソリッドモデル材料側(内側)と外側を識別できるデータ構造を持つ3Dモデル
ソリッドモデラーソリッドモデルを扱える3D CAD。ソリッドCAD
サーフェスモデル平面・曲面で表現される3D形状
ワイヤモデル立体の稜線を線要素で表現される3D形状。ワイヤフレームともいう
頂点、コーナーソリッドやサーフェスの角部先端
稜線、エッジソリッドやサーフェスの折り目。サーフェスの端の線
面、サーフェス平面や曲面の形状要素。厚さはない(厚さ0)
ボディソリッド。複数のソリッドが存在する時の呼び方
CAMMはManufacturing。NC工作機械のプログラムを作成するシステム
CAEEはEngineering。強度解析や流動解析や熱解析の工学計算システム
表示シェーディング表示ソリッドやサーフェスの表面に光源による濃淡を付けた画面表示
隠線表示隠れた稜線を隠れ線で描画した画面表示
ワイヤ表示全ての稜線を線描画した画面表示
モデリングフィーチャー形状特徴。ソリッドCADでの形状の単位。押出、フィレットなど
スケッチ2D断面形状。スケッチ要素やスケッチ環境など、広い意味も含む
スケッチ面3D空間の中にスケッチ(2D形状)を作成するために指定した平面
輪郭形状、
プロファイル
2D断面形状。押し出される領域など、スケッチに比べて狭い意味
パラメトリック寸法を変数で保持し、変数で形状をコントロールする仕組み。寸法を変更すると形状が追従する
寸法拘束形状の位置やサイズをコントロールする寸法要素
幾何拘束形状の姿勢をコントロールする幾何的な要素。鉛直や平行など
集合演算数のソリッド間で、形状の和・差・積の演算を行って結果を得る処理。ブーリアン演算
履歴フィーチャーやスケッチなどの設定や構築順を記録・管理する仕組み
補助要素基準要素CADの座標系で原点に関する参照要素。原点、基準軸、基準平面
参照要素参照平面、参照軸、参照点。モデリングの基準などとして使う
参照平面スケッチ面の指定などに多用する補助的な平面。無限平面

2. 2D CADと3D CADの違い

2D CADは製図をデジタル化したものであり、設計手法などは2D CAD登場以前のドラフターによる手書き製図と何ら変わりません。手書き製図から2D CAD製図に移行する時、設計手法に関してほとんど変更する必要がありませんでした。

一方、3D CADは、設計・製造工程のデジタル化を目的に使用されます。その仕組みも、利用方針も、2D CADの延長線上にありません。製品をどのようにモデリングすべきかどうかは、どの工程でどのように活用するのかによります。例えば、コイルばねは、円柱形状で十分かもしれないし、ソリッドにする必要すらない場合もあります。

3. 3D CADのメリット

3D CADを利用するメリットの象徴は、設計・製造工程をデジタル化して効率化したことによる納期短縮と品質の向上です。納期短縮の考え方は、製造に関わる各種工程(解析・加工・組立・保守)を3D CADによる設計段階で作り込むことです。各工程が設計工程から並行して進行しているとことから、コンカレントエンジニアリングといわれます。具体的なメリットは、次のようなものが挙げられます。

設計上の利点

・設計検討スピードの向上
・空間の把握(干渉・隙間)が的確にできる
・設計ミスの大幅な減少
・投影図の読み書きのミスが発生しない(2D CAD製図と比べて)
・デザインレビューが迅速・的確に進む

3Dデータの利用

・3D CADの図面機能で、製作図作成が迅速化し作図ミスが減少する
・加工データに利用できる(加工部門で3D化する必要がなくなる)
・マニュアルの文書に、見取り図(等角図)で示せる

ただし、留意点もあります。
・3D CADの習得に多少の時間がかかる
・3Dモデリングに、予想外の時間がかかることがある
・2D設計から3D設計への移行に、組織としての計画が必要

3D CADは、どのように使えばメリットを最大化できるかという観点で活用することが大切です。設計の工程だけでも3D CADのメリットは大きく、後工程でも3Dデータを活用できると、さらに多くのメリットが生まれます。

いかがでしたか? 3D CADの成り立ちを踏まえて、3D CADの概要と特徴を紹介しました。次回は、モデリング手法のフィーチャーや、ソリッド・サーフェス・ワイヤなど、具体的な3D CADの仕組みを紹介します。お楽しみに!

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