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5G時代のビジネスモデル:5Gの基礎知識5

5Gの基礎知識

更新日:2020年7月10日(初回投稿)
著者:株式会社野村総合研究所 ICTメディア・サービス産業コンサルティング部  テレコム・メディアグループマネージャー 亀井 卓也

前回は、5Gがもたらすものづくり現場の革新を紹介しました。今回は、5G時代のビジネスモデルを取り上げます。5G時代には、通信のビジネスモデルがB2XからB2B2Xへと転換します。これは通信サービスをエンドユーザーに提供するというモデルから、他業界のセンターB事業者を通じて、新たな価値を創出するモデルに変わることを意味します。通信事業者はそれを見越して、センターB事業者とのパートナーシップを強化しています。非通信業界の企業の立場で考えれば、通信事業者のアセットを活用し、自社を変革する時代の到来ともいえるでしょう。

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1. B2B2X

本連載では、これまで、あらゆるプロダクトがネットワークにつながる、オール・コネクテッド時代のビジネスについて解説してきました。5Gがもたらす変革はスマートフォンにとどまらず、あらゆる産業における新たなビジネスや、業務プロセスの革新をも実現します。そのため、5G時代の変革は、通信業界の外で起きることが想定されます。連載の第3回第4回では、広告業や製造業の例を紹介しました。通信業界の外にいる他業界のプレーヤーが主役となるビジネスモデルは、B2B2Xと呼ばれます。

これまでの通信ビジネスは、B2Xモデルでした。B2C(Business to Consumer:一般消費者向け通信サービス)や、B2B(Business to Business:法人向け通信サービス)のように、通信事業者が消費者や企業に、通信サービスを提供するというものです。ここでは、通信料金をどれだけ安くできるか、魅力的なスマートフォン端末をラインアップできるか、魅力的なモバイルサービスをバンドルできるか、そしてケータイショップでの待ち時間削減やおもてなし体験を提供できるかなど、通信業界に閉じた競争が展開されていました。

これに対し、B2B2Xは、他業界の企業が中心のB、すなわちセンターB事業者となり、左側のB(通信事業者)から、通信回線とプラスアルファの機能を調達し、自社の顧客に新たな体験を提供したり、業務を革新したりするビジネスモデルです(図1)。

図1:B2B2X型のビジネスモデル

図1:B2B2X型のビジネスモデル

具体的なイメージを持つために、DOOH(Digital Out Of Home:デジタル屋外広告)の領域で設立されたLIVE BOARDという企業を取り上げます。同社は、NTTドコモと電通が5G時代を見据え、合弁で設立したジョイントベンチャーです。5G環境では、屋外のデジタルサイネージも複雑な配線の手間なく設置でき、高画質な動画広告の配信が可能です。

設置場所に応じた広告を配信するには、その周辺の潜在的な視聴者、つまり通行人や生活者を把握している必要があります。これは、NTTドコモのダイナミックな空間統計情報サービス「モバイル空間統計」によって可能になります。すなわち、時間帯別の周辺の人口動態や、昼間デジタルサイネージの設置場所にいる人々が、夜間はどこに移動するのか(どこに住んでいるのか)といった傾向まで把握することができるのです。

さらに、デジタルサイネージにカメラを内蔵することで、概況としての人口動態のみならず、たった今、デジタルサイネージの前にどのような人がいるのかという、瞬間的な状況まで把握できます。そして、このような多様な情報を分析し、デジタルサイネージの設置場所に、最適なタイミングで最適な内容の広告を配信するためには、画像解析などの分析基盤も必要となるでしょう。

B2B2Xモデルにおいて、通信事業者が提供する通信回線のプラスアルファとしての機能とは、このようなダイナミックな空間統計情報、デジタルサイネージに内蔵されたカメラが撮影した膨大な情報をセキュアに保管するデータベース、蓄積したデータにAIを活用して価値を生み出す解析エンジンなどが挙げられます。

第2回で取り上げたxRも、通信事業者がエンターテインメントに使うだけでなく、他業界のサービスを変革する機能として提供されています。通信事業者は5G時代を見越し、ネットワークのみならず、このプラスアルファの機能に磨きをかけています。

2. エコシステム型パートナーシップ

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

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