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5Gのリスク:5Gの基礎知識6

5Gの基礎知識

更新日:2020年7月21日(初回投稿)
著者:株式会社野村総合研究所 ICTメディア・サービス産業コンサルティング部  テレコム・メディアグループマネージャー 亀井 卓也

前回は、5G時代のビジネスモデルB2B2Xを紹介しました。今回は、最終回です。5Gがもたらすリスクを取り上げます。オール・コネクテッドの5G時代は、膨大かつ多様なデータが流通する社会です。それは情報漏えいやプライバシー侵害のリスクが高まることを意味します。個人情報保護の厳格化は世界的な潮流です。規制の枠組みによる解決の取り組みが進められている一方で、企業にも対策が求められます。情報セキュリティやプライバシーの確保と同時に、データの活用によるデジタルトランスフォーメーションの実現が求められます。

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1. データをとりまく社会変化

5G時代には、あらゆるものがコネクテッドになります。スマートフォンのみならず、身に着けるウエアラブルデバイスや、さまざまな場所に設置されるカメラもネットワークにつながります。同時にそれは、個人に紐づくデータが、デバイス間を流れ、サービス提供事業者に集まることを意味します。サービス提供事業に携わる企業には、これまで以上に、情報セキュリティの徹底が求められることになるでしょう。そして、人々のプライバシーをいかに確保するかが、社会にとって重要な課題となります。

個人情報保護の厳格化は、世界的な潮流となっています。日本では2005年に個人情報保護法が施行され、2017年からは改正法となり、2020年は、さらなる改正を控えています。個人に紐づくさまざまなデータはパーソナルデータと呼ばれ、このうち保護すべき個人情報を定義し、その取り扱いを定める法的枠組みの整備が進められているところです。

本連載の第3回で、マーケティングの世界におけるパーソナルデータの活用と、パーソナライズの加速を取り上げました。パーソナルデータの規制と活用が並行して進むというのは矛盾するように思えるかもしれません。しかし、規制の厳格化はデータの利用を抑制するものではなく、あくまでルールを明確にすることを意味しています。

具体的には、活用されるデータと活用目的の明確化、本人の同意なしには活用しないことの徹底、データの管理権利の本人への帰属が挙げられます。データを有する企業が、より安全にアクセルを踏めるよう、ブレーキを強化すると捉えれば分かりやすいと思います。

2010年に、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施した調査において、「インターネットは、十分に安全で、個人の詳細をオンラインで伝えても十分快適である」と回答したのは、全体の3%でした。インターネットに対する不信感、プライバシーへの不安が顕著に現れています。一方、2017年に野村総合研究所は、パーソナルデータを安全に企業とやり取りする仕組みである情報銀行について、その受容性を調査しました(図1)。調査では、約4割の消費者が、レコメンドの精度向上といったサービスを利用したいと答えるなど、比較的受け入れられていることが分かっています。個人情報保護法やその改正によって、パーソナルデータがきちんと取り扱われるようになったことによる安心感と、パーソナルデータを活用したサービスの便益が増していることが、企業のパーソナルデータ活用と、社会のプライバシーの捉え方を変えてきたといえるでしょう。

図1:情報銀行を活用したサービスへの受容性

図1:情報銀行を活用したサービスへの受容性(引用:野村総合研究所、NRI JOURNAウェブサイト、https://www.nri.com/jp/journal/2018/0418

5G時代には、膨大な量、多様な質のパーソナルデータが生み出されます。企業にとっては、データを集約するほど、情報漏えいやプライバシー侵害といったリスクを抱えることになり、万が一の事故があれば社会的信頼は失墜します。だからといって、データの活用を避けていては、自社のデジタルトランスフォーメーションが実現できず、競争環境に取り残されてしまいます。企業には、難しい舵取りが求められます。

2. リスク対応への処方箋

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

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