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接着の基礎知識

接着の基礎知識

著者:株式会社原賀接着技術コンサルタント 原賀 康介

接着剤を用いた接合・組立は、精密部品から自動車まで、さまざまな産業で用いられるようになりました。用途が拡大する一方で、接着に関する品質不具合は増加しています。本連載では、高信頼性・高品質な接着を行う上で理解しておくべきことを、8 回にわたり解説していきます。第1回では接着の原理と、高信頼・高品質な接着とは何かについて説明します。

第1回:接着の原理とは?高信頼性・高品質接着とは?

1. 接着の種類と原理

接着とは、接着剤と被着材料(接着される材料)の表面との間に何らかの力が働き、結合している状態をいいます。接着の結合の原理は、大別すると3種類です。

1:分子間力による結合

接着剤と被着材料は、電気的に正と負に分かれた分子の集まりでできています(図1)。これを分極しているといいます。分子間力とは、分子同士が電気的に引き合う力のことです。接着では、接着剤の分子と被着材料表面の分子が電気的に引き合って結合します。分極の強度は分子の構造によって異なります。弱い(極性が低い分子)、強い(極性が強い分子)、正負が全く分かれていない(無極性の分子)などがあり、極性が高い方が強く結合します。無溶剤型(被着材料の表面が溶融しない)接着剤による接着のほとんどが、分子間力による接着です。

図1:分子間力による接合状態

図1:分子間力による接合状態

2:分子が絡み合うことによる結合

2つの被着材料が溶剤に溶ける場合は、溶剤系の接着剤を用いることができます。表面付近が溶融した被着材料同士を押し付けることで、溶融した分子同士が絡み合います。その後、溶剤が揮発すると固体状になり、結合します。塩ビ同士やアクリル樹脂同士の接着に、よく用いられます。未加硫ゴムは、重ねて置いておくだけで結合することがあります。これは自着と呼ばれ、表面付近の分子同士が相互に拡散するために起こります。なお、加熱溶融させた材料同士を押さえ付けて接合する熱融着は、接着剤を使わないため、一般には接着に分類されません。

3:接着剤固化による機械的結合

エッチングや化成処理された金属表面、多孔質材料などでは、細かく入り組んだ凹凸や種々の結晶構造が形成されます。この凹凸や結晶の間に接着剤が流れ込み、接着剤が固化することで抜けなくなって結合します。この手法を活用して、エッチングで凹凸にした金属にプラスチック成形材料を射出成形し、接着剤を用いずに直接接合する方法が実用化されています。

工業的に多用されている接着結合は、分子間力によるものです。以降は、分子間力結合による接着について述べていきます。

2. 接着の特徴

接着剤による接合・組立は、他の接合にはない多くの特徴を持つ反面、欠点や課題も有しています(表1)。異種材料を容易に接合できる点は接着の大きな利点です。しかし、接着部の健全性検査が難しい点や設計基準が不明確な点は、接着の信頼性・品質に関わります。接着のように、完成後の検査で不良品を排除できない技術は特殊工程の技術と呼ばれ、工程内での検査が極めて重要です。

表1:接着剤による接合の長所・得られる効果と短所・課題
長所得られる効果
異種材料の接合ができる適材適所の材料選定ができる
接合に高温を要しない熱に弱い材料を接合できる
接合歪みが小さい歪みや変形を防止できる
平坦度が確保できる
接合に大きな力を要しない部品の高精度位置合せができる
面での接合である薄板の高強度接合ができる
薄板の剛性を向上できる
隙間充填性がある部品加工精度の吸収・低減ができる
電食防止、シール性、振動吸収性がある
熟練技能が不要マニュアル化が容易である
大がかりな設備が不要少ない初期投資で行える
少量多品種に対応しやすい
接合に要するエネルギーが小さい組立工程の省エネルギー化が見込める
火気レス工法である溶接、ロウ付けの代替として使える
稼働状態でも工事が可能である
部品の表面での接合である製品の小型化、高密度化ができる
短所課題
界面を有する接合である被着材料や表面状態で接着性が異なる
接着特性のばらつきが大きい
接着強度のベースが、化学的な反応や結合である機械系技術者に扱いづらい
検査が難しい
接着剤の選定が難しい
温度で特性が変化しやすい
耐久性が不明確である
構造設計が難しい設計強度の基準が不明確である
構造設計の指針が不明確である
作業面、設備面に課題がある特殊工程の管理が必要である
液体を用いる接合である
手離れが悪い
接着後の修正が難しい

3. 高信頼性・高品質接着とは

高信頼性・高品質接着とは、強度などの接着特性や耐久性に優れるだけでなく、接着特性のばらつきが小さく、不良率が低く、生産性に優れている接着のことです。特に重要なのは、ばらつきが小さいことと、不良率が低いことです。接着は他の接合方法に比べ、ばらつきが大きい接合法です。しかし今後は、ばらつきを排除して信頼性や品質を担保した接着が求められます。

4. 高信頼性・高品質接着の基本条件と目標値

1:凝集破壊率

図2は、2つの被着材料を接着剤で接合した断面図で、外力が加わった時にどこが壊れるかを示しています。最も一般的なのは、界面破壊です。しかし、界面破壊を起こす接着は、強度のばらつきが大きく、信頼性・品質が低い接着といえます。一方、接着剤の内部で破壊する凝集破壊は、接着剤の物性で強度が決まるので、ばらつきが小さくなります。凝集破壊を起こすことが、信頼性・品質に優れた接着には重要です。接着面積全体を100%として、どのくらいの面積が凝集破壊したかを表す指標として、凝集破壊率があります。筆者の長年のデータと経験から、凝集破壊率が再現性を持って40%以上あれば、信頼性・品質の高い接着ができているといえます。

図2:接着部の断面図と破壊の種類

図2:接着部の断面図と破壊の種類

凝集破壊率を上げるには、被着材料の表面を最適化する必要があります。図3は、空気中に置かれた金属表面付近の模式図です。表面付近には接着特性に影響する多くの因子があり、これらの条件を最適化しなければ界面での結合が弱く、強度がばらつきます。表面を最適化して界面結合を強化できれば、凝集破壊しやすくなります。界面の結合力を強くする方法の詳細は、次回以降に述べていきます。

図3:接着特性に影響する因子(金属表面付近)

図3:接着特性に影響する因子(金属表面付近)

2:接着強度のばらつきを表す変動係数Cv

接着強度のばらつきを表す指標として、変動係数Cv(接着強度の標準偏差σ/平均値μ)を用います。高信頼性・高品質接着は、Cv値が0.10以下であることが必要で、最近では0.06程度を要求されることもあります。Cv値の小ささと凝集破壊率の高さは高い相関があるため、界面での接着性を強化して凝集破壊率を高くすれば、Cv値は小さくなります。ちなみに、Cv値が0.10の場合、1,000万個のサンプルでデータを取ると、最低値は平均値の約50%になります。Cv値が0.06では、1,000万個のサンプルの最低値は、平均値の約70%になります。

3:接着面の表面張力

結合力には、被着材料表面の表面張力が大きく影響します。一般に、表面張力が高いほど結合は強くなり、凝集破壊率が高く、変動係数Cvは小さくなります。表面張力の検査法は、JIS K 6768 プラスチック−フィルムおよびシート−ぬれ張力試験方法にて標準化されています。滴下法では、市販されているぬれ指数標準液を接着面に微量滴下し、液が広がるかどうかを判定します(図4)。では、どのくらいの表面張力があれば、高信頼性・高品質な接着ができるのでしょうか。筆者のこれまでのデータと経験から、滴下法では36mN/mから38mN/m以上あれば、高信頼性・高品質な接着ができると考えられます。空気中にある一般の材料の表面張力は30mN/m前後の物が大半で、接着には適していません。また、接着が困難なテフロンの表面張力は18mN/mしかありません。

図4:滴下法による表面張力の測定

図4:滴下法による表面張力の測定

いかがでしたか? 今回は、接着の原理と、高信頼性・高品質な接着に必要な条件について解説しました。次回は、接着の最適化について学びましょう。お楽しみに!

 

第2回:接着の最適化とは?内部応力とは?

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前回は、接着の原理・特徴と、高信頼性・高品質接着を説明しました。今回は、表面改質による接着の最適化と内部応力について解説します。

1. 分子間力による接着の過程と最適化

異なる材料を無溶剤型接着剤で接着する場合、分子間力による接着(第1回参照)が主に使われます。分子間力による接着の過程は6ステップに分けられます。

1:接着剤を塗布する
2:接着剤と被着材料表面の分子間距離を近づける
3:分子同士が引き合い、接着剤のぬれ広がりと結合力が発生する
4:接着剤が固化する
5:内部応力が発生する
6:接着機能の維持と劣化(環境・応力劣化)が発生する

強い接着を実現する重要なポイントは、接着剤と被着材料の距離を近づけることと、被着材料の表面張力を高めることです。それぞれの詳細を説明します。

・接着剤と被着材料の分子間の距離を近づける

接着剤と被着材表面の分子の極性が高くても、分子同士の距離が近づかなければ引き合う力は発生しません。強い分子間力を得るためには3~5Å以下の距離まで近づけることが必要です。

一般の接着剤は粘度が高く、塗布しただけでは被着材料表面の細かい凹凸の内部まで流入しません。被着材料と接着剤が近距離で接触している面積は非常に小さく、強い接着ができません。接着剤をよくなじませるためには、力をかけて塗布する、接着剤や被着材料を温めて接着剤の粘度を低下させる、接着剤を溶剤で希釈してプライマー(最初に塗る塗料)として塗布し、凹凸を浅くするなどの方法があります。

・強い極性を得るために、被着材料の表面張力を高める

被着材料表面の極性を高めるには、被着材料の表面張力を大きくする必要があります(第1回参照)。高信頼性・高品質接着の基本条件は、表面張力36~38mN/m以上です。工業製品に使用されているほとんどの部品では、表面張力は36~38mN/mもないため、表面張力を高める処理が必要です。被着材料の表面張力を高めるには、表面の清浄化、表面改質、表面処理による化成被膜の形成などを行います。このうち、表面の清浄化は接着の基本です。しかし、元々表面張力が低い材料の場合、表面清浄化だけで表面張力を高くできません。表面改質、表面処理が必要不可欠です。

2. 表面改質とは

表面改質とは、被着材料表面に分子間力の強い吸着層を形成させる、一連の処理のことです。分子間力の中で最も強い結合は、水素結合です。接着剤の水酸基(OH)と水(H-O-H)や酸素(O)、窒素(N)、カルボキシル基(COOH)などとの間で形成されます。被着材料表面に、これらの強い吸着層を形成させることで、強く接着できます。波長の短い紫外線を表面に照射する方法、プラズマを照射する方法、火炎であぶる方法などがあり、いずれも大気中で行えます。

図1に、短波長紫外線照射によるプラスチックの表面改質メカニズムを示します。大気中プラズマ照射や火炎処理でも原理は同じです。紫外線のエネルギーと紫外線によって発生したオゾンにより、表面の有機汚染物は二酸化炭素と水に分解されて除去されます(図1のa)。次に、露出したプラスチック表面の結合が切断され、活性な状態になります(図1のb)。活性になった表面は空気中の水や酸素などと簡単に結合します(図1のc)。この面に接着剤を塗布すると、接着剤との間で強い水素結合を起こします(図1のd)。金属・ガラス・セラミックスなどでも、この方法は有効です。

図1:表面改質のプロセス

図1:表面改質のプロセス

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3. 接着剤に起こる2つの内部応力

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第3回:構造用接着剤の種類と選び方

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前回は、分子間力による接着の過程・表面改質・内部応力を解説しました。第3回では、構造用接着剤の種類と長所・短所、選び方について説明します。特に、接着剤の短所を知ることで、接着不良による事故を防ぐことができます。構造用接着剤は厳しい環境で用いられることが多く、事故による被害も大きくなります。構造用接着剤の特徴を学んで、接着不良を起こさないようにしましょう。

1. 構造用接着剤とは

構造用接着剤とは、強度と耐久性が必要な箇所に用いられる接着剤のことです。JIS K 6800 接着剤・接着用語では、長期間大きな荷重に耐える信頼できる接着剤と定義されています。代表的な構造用接着剤として、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤があります。ブレーキシューなどの接着では耐熱性が要求されるため、フェノール系接着剤も使われます。

エポキシ系接着剤は、長年にわたって多くの用途に用いられています。しかし、近年では要求条件が複雑化・高度化し、アクリル系接着剤やウレタン系接着剤の使用が増えています。今回は、エポキシ系、アクリル系、ウレタン系接着剤について、詳しく見ていきましょう。

2. エポキシ系接着剤

エポキシ系接着剤とは、エポキシ樹脂を主成分とする接着剤のことです。エポキシ系接着剤の形状、硬化機構、特徴、使用上の注意点をまとめました。

1:エポキシ系接着剤の形状

エポキシ系接着剤は一般的には液状で、固形状もあります。液状は2液型と1液型に分けられます。2液型は、主剤(エポキシ樹脂)と硬化剤(アミンなど)が別々になっており、所定配合比で計量・混合して使用します。1液型は主剤と硬化剤があらかじめ混合されており、加熱硬化タイプとプレミックスフローズンタイプ(2液型接着剤を計量・混合・脱泡してシリンジに詰め、低温にして反応を止めているタイプ)があります。固形のエポキシ系接着剤も、主剤と硬化剤があらかじめ混合されており、フィルム状やペレット状、粉末状があります。

2:エポキシ系接着剤の硬化機構

2液型エポキシ系接着剤では、2液型主剤と硬化剤を十分に混合し、決められた温度以上にすると付加重合(二重結合や三重結合を持つ不飽和化合物が付加して、重合体になる反応)が起こって硬化します。2液型は種類によって室温、中温、高温などで硬化反応を起こし、1液型や固形は一定温度以上に加熱することで、硬化剤が活性となって硬化します。

3:エポキシ系接着剤の特長

エポキシ樹脂自体は、機械的特性や電気的特性、耐薬品性などに優れていますが、一般に固くてもろいため、ナイロン、ニトリルゴム、フェノールなどで変成することで構造強度・低温特性・耐熱性・粘り強さなどが付与されています。加熱硬化型の中には油面接着性を有するものがあり、油が付着した面でも脱脂なしで接着できます。エポキシ樹脂中には、多量の銀や銅などの金属粉末を添加して導電性を付与したものもあります。また、1液型は一般に100℃以上の加熱が必要ですが、80℃程度で硬化するものもあります。1液型接着剤の硬化剤は一般的には粉末状ですが、液状の硬化剤もあります。

4:エポキシ系接着剤の注意点

エポキシ系接着剤を使用する際の注意点をまとめました。2液型と1液型で注意すべき点は異なります。

2液型エポキシ系接着剤の注意点

  • 2液の配合比の許容範囲が狭い
  • 混合開始から貼り合わせまで、ポットライフ内で行う必要がある(ポットライフ:硬化せずに接着剤としての機能が発揮できる時間)
  • 10℃以下の低温では、硬化しにくい
  • 硬化後の硬度が高いものははく離、衝撃に弱いため、カタログでせん断強度とはく離強度の両方を見る必要がある
  • 基本的に油面接着性はないため、接着面の十分な脱脂・清浄が必要である

1液型エポキシ系接着剤の注意点

  • 低温または冷蔵保管が必要である
  • プレミックスフローズンタイプは保管温度が低く、保管可能期間も短い
  • 接着剤のグレードによって、加熱温度に必要な最低温度がある
  • 接着剤中に水分や空気などの気体が混ざっていると、加熱硬化時に発泡の原因となる
  • 硬化後の硬度が高いものは、一般にはく離、衝撃に弱いため、カタログでせん断強度とはく離強度の両方を見る必要がある
  • 油面接着性の有るものと無いものがある

粉末硬化剤を用いた1液型で浸透接着を行う場合、未硬化になる可能性がある点にも注意しましょう。硬化剤は一定温度以上になるまで溶融しないため、エポキシ樹脂が昇温中に粘度が低下して接着部に浸透しても、硬化剤が接着部に浸透しないために生じます。(図1)。

図1:1液加熱硬化型エポキシ系接着剤の未硬化(赤色部だけが硬化し、水色部は未硬化)

図1:1液加熱硬化型エポキシ系接着剤の未硬化(赤色部だけが硬化し、水色部は未硬化)

3. アクリル系接着剤

アクリル系接着剤(SGA:Second Generation Acrylic Adhesive)とは、アクリル樹脂を主成分とする接着剤のことです。2液型と主剤・プライマー型がほとんどで、1液型もあります。アクリル系接着剤の硬化機構と特徴、使用上の注意点をまとめました。

1:アクリル系接着剤の硬化機構

2液型は主剤と硬化剤の接触、主剤・プライマー型は主剤とプライマーの接触によってラジカル連鎖反応が生じ、室温でも短時間で硬化します。1液型は加熱によって硬化します。

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4. ウレタン系接着剤

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5. エポキシ系、アクリル系、ウレタン系接着剤の選び方

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第4回:エンジニアリング接着剤とは?

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前回は、構造用接着剤について解説しました。今回は、さまざまな製品組立で用いられているエンジニアリング接着剤の種類と特徴、使用上の注意点について解説します。接着不良を防ぐために、汎用性の高いエンジニアリング接着剤の知識を身につけることが大切です。

1. エンジニアリング接着剤とは

エンジニアリング接着剤は明確な定義がなく、筆者は「接着の硬化機構、作業性、機能・特性などに特異な特徴を持ち、工業製品の組立に用いられる接着剤」と考えています。本稿では嫌気性接着剤、光硬化型接着剤、シリコーン系接着剤、変成シリコーン系接着剤、瞬間接着剤、両面テープ(感圧接着テープ)の6種類を解説します。図1に、エンジニアリング接着剤6種類の概要をまとめました。

図1:6種類のエンジニアリング接着剤

図1:6種類のエンジニアリング接着剤

2. 嫌気性接着剤

嫌気性接着剤とは、空気(酸素)が遮断された状態で特定の物質(活性材料)に接触することで、硬化が進行する接着剤のことです。嫌気性接着剤の種類と硬化機構、長所・短所をまとめました。

1:種類

1液型です。不活性材料に接していると硬化しないため、アクチベータ(反応活性剤)を硬化剤として併用する場合もあります。嫌気硬化と紫外線硬化や熱硬化、湿気硬化などを併用するタイプもあります。

2:硬化機構

主成分はアクリルモノマーと反応開始剤です。空気遮断時、活性材料と接触することでラジカル連鎖反応が生じ、硬化が進行します。室温で硬化する点が長所です。不活性材料に使用する場合、空気を遮断しただけでは硬化しないため、アクチベータを用います。表1に、活性材料と不活性材料の例を示しました。

表1:嫌気性接着剤の活性材料と不活性材料の例
活性材料鋼、銅、黄銅、リン青銅、アルミ合金、チタン、ステンレス、 ニッケル、
マンガン、コバルト、 (亜鉛)、(銀)など
不活性材料純アルミ、マグネシウム、金、(亜鉛)、(銀)、アルマイト処理、
クロムめっき、クロメート処理、リン酸塩被膜、ゴム、ガラス、
セラミック、プラスチックなど
※表1中の亜鉛と銀は、表面状態により硬化する場合と硬化不良になる場合があるので、注意が必要です

3:長所・短所

嫌気性接着剤の長所は、基本的に1液で室温硬化するため使用が容易であり、浸透性に優れている点です。短所は硬化を阻害する要因が多く、採用に当たり予備評価が重要となる点です。以下に、嫌気性接着剤で考慮すべき点をまとめました。

  • 接着層の厚さが1mm以上になる部分は硬化しにくい
  • 接着層が厚くなると硬化速度が遅くなる
  • 不活性材料の接着ではアクチベータの併用が必要
  • 表面がポーラス(多孔質)な被着材料では硬化不良が生じやすい
  • 被着材料の種類により、硬化速度や最終強度(硬化性)が変化する
  • 油面接着性に劣る
  • 洗浄剤の残さにより硬化不良を起こすことがある
  • 空気に触れるはみ出し部分は硬化しない
  • 貼り合わせ時に空気を巻き込むと硬化不良が生じる
  • 十分な強度を出すには加熱が必要となる場合が多い

3. 光硬化型接着剤

光硬化型接着剤とは、紫外線や可視光の照射で硬化が進む接着剤のことです。光硬化型接着剤の種類と硬化機構、長所・短所をまとめました。

1:種類

1液型で、主成分はアクリル系、エンチオール系、エポキシ系、シリコーン系などです。紫外線で硬化するものと、可視光で硬化するものがあります。嫌気硬化や熱硬化を併用するタイプもあります。光学部品の組立には、光透過性に優れたものや、屈折率が制御されたものを使用します。

2:硬化機構

紫外線や可視光を照射するとラジカル反応が開始し、室温でも短時間で硬化します。

3:長所・短所

長所は使用が容易な点です。1液型で、紫外線・可視光を照射すると室温下でも短時間で硬化します。短所は以下のとおりです。

  • 紫外線や可視光を透過する被着材料にしか使用できない
  • 接着剤が染みこんで光が当たらない部分は硬化しない
  • 空気に触れている部分は表面硬化性が悪く、べたつきが残りやすい
  • エポキシ光カチオン重合型接着剤は、水分や塩基性物質により硬化不良を起こしやすい

4. シリコーン系接着剤

シリコーン系接着剤とは、ケイ石SiO2を原料とした樹脂(シリコーン)を主成分とする接着剤のことです。シリコーン系接着剤の種類と硬化機構、長所・短所をまとめました。

1:種類

1液型と2液型のものがあります。

2:硬化機構

1液型には、空気中の水分で縮合反応(水などの分子が離れて、2つ以上の分子が結合する反応)を起こして硬化する湿気硬化型と、加熱によって付加重合を起こして硬化するものがあります。2液型は、2液の混合と室温や加熱による付加重合で硬化します。

湿気硬化型は、硬化の際に酢酸、アセトン、オキシム、アルコール、メタノールなどの副生成物が発生します。酢酸は腐食性があり、アセトンやオキシムは溶剤なので、被着材料の性質に注意が必要です。

付加重合で硬化するものは、副生成物は発生しません。しかし、被着材料もしくは付着物によって硬化が阻害されることがあります。硬化阻害物質には以下のものがあります。事前に評価を行い、接着不良を防ぐことが肝要です。

  • 硫黄化合物
  • リン化合物
  • 窒素化合物
  • 有機ゴム(天然ゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、EPDMなど)
  • 軟質塩ビの可塑剤・熱安定剤
  • アミン硬化系エポキシ樹脂
  • 縮合タイプのシリコーン樹脂
  • ウレタン樹脂のイソシアネート類
  • 一部のビニルテープ粘着剤・接着剤・塗料(ポリエステル系塗料など)
  • ワックス類
  • はんだフラックス
  • 松ヤニ
  • ゴム粘土・油粘土

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5. 変成シリコーン系接着剤

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6. 瞬間接着剤

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7. 両面テープ(感圧接着テープ)

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第5回:接着剤の選び方

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前回までは、接着剤の種類と特徴・欠点・使用上の注意点などを解説しました。今回は、数多くの接着剤の中から要求する機能・特性に適合する製品の選定方法と、選定接着剤の適否を判定する方法について説明します。

1. 接着剤の選定プロセス

接着剤の選定プロセスは、大きく4ステップに分けられます(図1)。接着剤の種類はとても多いので、一つ一つ試していては時間が足りません。今回は、筆者が長年の経験から編み出した方法を使いながら、簡単・確実に要求に適した接着剤を選ぶ方法を紹介します。それぞれのステップを具体的に見ていきましょう。

図1:接着剤選定の4ステップ

図1:接着剤選定の4ステップ

2. 欠点に着目した接着剤の選定法

接着剤の選定方法として、よく用いられるのが交差表です。被着材同士の素材の組み合わせで、使用に適した接着剤を選定します。しかし表面改質を行えば、ほぼ全ての被着材料で接着が可能になるので(参照:第2回)、候補が絞りにくくなり、選定に迷うかもしれません。

筆者がお勧めしたいのは、接着剤の欠点に着目して選定することです。使用環境と接着剤の欠点を照らし合わせ、環境に適さない接着剤を除外していけば、必要な要求機能を満たした接着剤を簡易なプロセスで選定できます。また、接着トラブルの多くは接着剤の欠点に関する知識不足から起こるため、トラブル防止にも役立ちます。

欠点に着目した接着剤選定チェックリストを巻末に載せました。この表には、各接着剤の留意事項を挙げてあります。上から順にチェックし、回答が×であればその接着剤は適さないので次の候補へ進むという使い方をしてください。

3. 候補接着剤の精査

候補の接着剤は、使用上・管理上の留意点まで詳しくチェックする必要があります。接着剤の保管場所や作業場所の温度・湿度管理、換気などの環境条件をクリアできるか、選定時から考慮し、接着剤の精査を行いましょう。各接着剤の使用・管理上のポイントをまとめたチェックリストを、巻末のリンクからダウンロードできます。ぜひ活用してください。

4. カタログ検討時の注意点

候補となる接着剤の種類が決まったら、カタログを見て具体的な候補品を選びます。この時にも、見逃しがちな注意点が2つあります。

1:接着強度

接着強度は力の加わり方、方向性で変わります。図2に代表的な接着強度の試験方法をまとめました。

図2:代表的な接着強度の試験方法

図2:代表的な接着強度の試験方法

A:せん断強度試験(接着層に平行方向の力が加わる場合)
B:引張強度試験(接着層に垂直方向の力が加わる場合)
C:剥離強度試験(被着材を引き剥がす力が各方向から加わる場合)

C1:T形剥離試験
C2:90度剥離試験
C3:180度剥離試験
C4:浮動ローラ剥離試験

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5. 選定品の適否判定法

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第6回:接着における強度の考え方

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前回は、接着剤の選定方法と、選定接着剤の適否を判定する方法を説明しました。今回は、接着における強度の考え方について解説します。接着剤の強度は、一般的に試験で破断が生じた時点の強度で表されます。しかし、これを実際の強度と考えてはいけません。接着強度の考え方を見直すと同時に、実際の接着強度が破断強度よりも低下する要因を学びましょう。

1. 破断強度が接着強度にならない理由

カタログに接着剤の強度として示されている数値は、一般的に、試験を行って破断が生じた時点の値、つまり破断強度です。しかし実際に使用する際には、示された数値よりも低い値で接着部が破断することがあります。破断強度を接着強度と見なすことは、とても危険です。

実際の接着強度を考える際に、考慮すべき3つのポイントがあります。

  • 内部破壊の繰り返しによる破断
  • 接着強度のばらつき
  • 温度、劣化などによる強度低下

以上の3点を踏まえ、実際の接着強度の数値をどう算定すべきか、説明します。

2. 接着強度と内部破壊

図1を見てみましょう。接着試験体に荷重を負荷していくと、接着部は徐々に変形し、最終的に破断を起こします。しかし破断するより低い荷重でも、接着内部では亀裂発生などの細かな破壊が起こっています。これを内部破壊といいます。内部破壊が蓄積すると、破断強度より低い負荷でも破断が起こります。

最初に内部破壊が生じる荷重(内部破壊発生開始強度)より高い負荷が接着部に繰り返し加わると、そのたびに内部破壊が起こり、やがて破断する可能性があります。そのため、内部破壊発生開始強度を接着強度と捉える必要があります。

図1:接着部における内部破壊と破断の概念図

図1:接着部における内部破壊と破断の概念図

内部破壊発生開始強度は、どのように算定すればよいでしょうか。接着剤、被着材が同じでも、試験時の破壊部分の状態が凝集破壊か界面破壊かで値は大きく異なります(参照:第1回)。著者がアコースティック・エミッション法(AE法。破壊により、弾性波として放出される内部蓄積エネルギーを測定し、破壊過程を評価する手法)で測定した結果では、内部破壊発生開始強度は、凝集破壊する場合は破断強度の1/2以上、界面破壊する場合は1/10以下でした。第1回で、界面での結合を強化して凝集破壊にしなければならないと述べたのは、このためです。

繰り返し荷重が加わる場合には、内部破壊発生開始強度はさらに低くなります。107回程度、繰り返し荷重がかかる場合の内部破壊発生開始強度は、静的破断(引張、圧縮、延性、ぜい性による破断)強度の約1/4と考えられます。

3. 接着強度のばらつき

接着は、他の接合方法と比べて強度のばらつきが大きいため、平均強度で考えることはほとんど無意味です。サンプル数が多くなるほどデータの範囲は広くなり、最大・最小値は平均値から大きく離れます。接着強度のばらつきの大きさは、変動係数Cvで表されます(参照:第1回)。Cvが0.10の場合、サンプル数が1,000万個になると、下から3番目に低いものの強度は平均値の50%となってしまいます。

接着剤の強度で問題になるのは、低強度へのばらつきが大きくなる時です。そこで、最低強度と平均強度の比をばらつき係数dとします。ばらつき係数の計算式は、d=最低強度品の強度/平均強度です。d=1.0に近いほど、接着剤の品質が高いことになります。ばらつき係数と変動係数Cvの関係を、図2にまとめました。変動係数が小さいほど、ばらつき係数の値は1.0に近づき、品質が高くなることが分かります。

図2:変動係数Cvとばらつき係数d、許容不良率F(x)の関係を示すグラフ

図2:変動係数Cvとばらつき係数d、許容不良率F(x)の関係を示すグラフ

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4. 温度・劣化による接着強度の低下

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5. 実際の接着強度とは

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第7回:接着部品の構造設計

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前回は、接着の強度設計の考え方について説明しました。今回は、接着部品の構造設計を行う際のポイントを解説します。

1. 構造設計の基本理念

接着部品の構造設計を行う際には、必ず次の3点を基本理念として念頭に置きましょう。

1:接着部の品質は、設計で決まる

高性能・高品質、不良率の低さ、組み立てやすさ、コストは、全て設計の良しあしにかかっていることを十分に認識し、設計しましょう。

2:接着後の剥離、手直しは不可能

貼り合わせ後、接着剤の硬化状況を確認できるかなど、検査や後工程に配慮して設計する必要があります。

3:うまく設計された部品・構造は、シンプルで美しい

「Simple is the Best.」を目標に設計しましょう。

2. 高品質な接着を実現する構造設計とは

接着部品の構造設計時に考慮すべきポイントを、13項目にまとめました。これらを押さえれば、接着部の強化、作業効率アップを実現できます。

1:接着部を面にする

接着は応力集中に弱いので、点や線での接着は避け、面接合にしましょう。

2:外部からの力を、せん断力で受ける構造にする

接着部は、せん断力には強く、剥離力に弱い性質を持っています。剥離方向の力が加わりにくい構造にしましょう。

3:硬化前の接着剤が、かき取られない構造にする

4:部品の位置合わせが、容易な構造にする

5:接着剤硬化後のやり直しは困難なため、類似部品の貼り間違いを防止する構造にする

6:接着剤のはみ出し硬化部と、後付け部品の干渉を避ける

7:接着剤のはみ出し部を、除去しやすい構造にする

8:作業時間短縮のために、同時に貼り合わせる箇所を極力減らす

9:液体塗布に適した構造にする

10:複合接着接合法を活用する

接着剤とリベット、ねじ、かしめなど、他の接合方法を併用する複合接着接合法により、さまざまな利点が得られます。例えば、接着剤硬化までの固定治具の省略、硬化待ち時間の解消、電着塗装やアースなどの電気的導通の確保、容易で高精度な位置合わせが可能になるなど、作業の効率化が期待できます。また、高温(塗料焼付時など)での剥がれ・変形の防止、接着接合の性能向上(クリープ劣化防止、高温での接着強度の向上、疲労特性向上、接着強度のばらつき低減など)といった接着部の高性能化、接着部破壊に備えたバックアップの役目も果たします。

11:接着層を適切な厚さにする

図1に示すように、接着層が薄くなると剥離や衝撃に弱くなります。反対に接着層が厚くなると、せん断や引張に弱くなってしまいます。いずれの力にもバランス良く強度を発揮できるのは、接着層0.1mm程度の厚さです。

図1:接着層の厚さと強度の関係

図1:接着層の厚さと強度の関係

12:検査を考慮した構造にする

構造によっては、材料を接着剤で一度貼り合わせてしまうと、接着剤の硬化状態を確認しにくい場合があります。このような場合には、被着材に確認用小穴(図2)を設けておくと、接着剤塗布の有無や硬化状態の確認が容易になります。

図2:接着部に確認用小穴を設けた例

図2:接着部に確認用小穴を設けた例

13:不連続性を回避する構造にする

接着部には、形状、板厚、部品の剛性、材料物性など、さまざまな不連続性が生じる場合があります。接着部に力が加わると、不連続部に応力が集中して破壊に至るので、不連続性をカバーする工夫が必要です。形状、部品の剛性、材料物性の不連続性を回避する例を、具体的に解説します。

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3. クリープ劣化、水による劣化への対策

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第8回:接着施工のポイント

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前回は、接着の構造設計のポイントについて説明しました。最終回の今回は、実際に接着施工を行う際のポイントを解説します。接着剤の塗り方、使用量のさじ加減一つで、接着不良を防ぐ方法をお伝えします。

1. プライマーやアクチベータの塗布量

界面の結合を強固にしたり接着剤の硬化を促進するために、接着剤を塗る前に、接着面にプライマー(下塗り塗料、参考:第2回)やアクチベータ(活性材料、参考:第4回)を塗布することがあります。図1に示すように、塗りすぎるとプライマーやアクチベータの層が、内部破壊しやすくなって接着強度が低下するので、塗りすぎてはいけません。プライマーやアクチベータを溶剤で10倍から20倍に希釈して塗布すれば、多量に塗布しても表面に付着する成分量を減らすことができます。

図1:プライマーの塗布量と接着強度、破壊状態の関係模式図

図1:プライマーの塗布量と接着強度、破壊状態の関係模式図

2. 欠陥部を作らない接着剤の塗布方法

剛性のある部品同士を接着する場合に、図2のAのように、接着剤を接着面全面に薄く塗布して貼り合わせると、接着部に空気の巻き込みが起こって気泡が生じ、欠陥部分が発生しやすくなります。

これを防ぐには、図2のBのように、接着部の中央付近に接着剤を盛り上げ、部品を押し付けながら接着剤を接着面全面に広げる接着方法が有効です。接着剤を押し広げる時に、空気は外に向かって押し出されるため、接着部に気泡が残らず、接着欠陥部のない接着ができます。

図2:接着欠陥部を作らない接着方法

図2:接着欠陥部を作らない接着方法

接着部の空気を追い出して欠陥部を防ぎ、しかも接着剤のはみ出しを少なくしたい場合には、図3のような5点塗布(A)、X字形塗布(B)、Y字形塗布(C)などの方法もあります。

図3:接着部に欠陥を作らず、はみだし量も少ない接着剤の塗布パターン

図3:接着部に欠陥を作らず、はみだし量も少ない接着剤の塗布パターン

3. 接着剤のはみ出しと、接着層の厚さ

接着剤のはみ出しが多い部分や接着層が厚くなる部分では、接着剤の硬化収縮や、加熱硬化後の冷却時に生じる熱収縮により部品に変形が生じます。図4は、平面パネルにハット形補強材を接着する例です。接着剤の塗布量、部品の精度などに注意しましょう。

図4:接着層が厚い部分、接着剤のはみだし部での硬化収縮力による部品変形例

図4:接着層が厚い部分、接着剤のはみだし部での硬化収縮力による部品変形例

4. 精密位置合わせにおける接着剤の塗布位置、塗布量

精密な位置合わせが必要な部品では、位置合わせ装置で位置を決めた後に、図5の2例のように、接着剤をすみ肉状に塗布して固定する場合があります。このような塗布では、塗布位置は対称な位置に、各塗布部の接着剤の塗布量は同一にすることが重要です。対称性や塗布量がばらつくと、接着剤の硬化収縮力によって、部品が引っ張られて位置がずれてしまうからです。

図5:精密位置合わせ時のすみ肉接着の塗布位置・塗布量の例

図5:精密位置合わせ時のすみ肉接着の塗布位置・塗布量の例

5. 加圧固定時の注意点

1:加圧力は部品を変形させない範囲にとどめる

接着剤を塗布・貼り合わせた後に、接着剤が硬化するまで加圧固定を行います。この時の加圧力は、接着剤層が所定の厚さまで薄くなる程度で良く、部品を変形させるほど強くしてはいけません。

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6. 接着剤の硬化時間

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