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エンジニアリング接着剤とは?:接着の基礎知識4

接着の基礎知識

更新日:2017年11月22日(初回投稿)
著者:株式会社原賀接着技術コンサルタント 原賀 康介

前回は、構造用接着剤について解説しました。今回は、さまざまな製品組立で用いられているエンジニアリング接着剤の種類と特徴、使用上の注意点について解説します。接着不良を防ぐために、汎用性の高いエンジニアリング接着剤の知識を身につけることが大切です。

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1. エンジニアリング接着剤とは

エンジニアリング接着剤は明確な定義がなく、筆者は「接着の硬化機構、作業性、機能・特性などに特異な特徴を持ち、工業製品の組立に用いられる接着剤」と考えています。本稿では嫌気性接着剤、光硬化型接着剤、シリコーン系接着剤、変成シリコーン系接着剤、瞬間接着剤、両面テープ(感圧接着テープ)の6種類を解説します。図1に、エンジニアリング接着剤6種類の概要をまとめました。

図1:6種類のエンジニアリング接着剤

図1:6種類のエンジニアリング接着剤

2. 嫌気性接着剤

嫌気性接着剤とは、空気(酸素)が遮断された状態で特定の物質(活性材料)に接触することで、硬化が進行する接着剤のことです。嫌気性接着剤の種類と硬化機構、長所・短所をまとめました。

1:種類

1液型です。不活性材料に接していると硬化しないため、アクチベータ(反応活性剤)を硬化剤として併用する場合もあります。嫌気硬化と紫外線硬化や熱硬化、湿気硬化などを併用するタイプもあります。

2:硬化機構

主成分はアクリルモノマーと反応開始剤です。空気遮断時、活性材料と接触することでラジカル連鎖反応が生じ、硬化が進行します。室温で硬化する点が長所です。不活性材料に使用する場合、空気を遮断しただけでは硬化しないため、アクチベータを用います。表1に、活性材料と不活性材料の例を示しました。

表1:嫌気性接着剤の活性材料と不活性材料の例
活性材料 鋼、銅、黄銅、リン青銅、アルミ合金、チタン、ステンレス、 ニッケル、
マンガン、コバルト、 (亜鉛)、(銀)など
不活性材料 純アルミ、マグネシウム、金、(亜鉛)、(銀)、アルマイト処理、
クロムめっき、クロメート処理、リン酸塩被膜、ゴム、ガラス、
セラミック、プラスチックなど
※表1中の亜鉛と銀は、表面状態により硬化する場合と硬化不良になる場合があるので、注意が必要です

3:長所・短所

嫌気性接着剤の長所は、基本的に1液で室温硬化するため使用が容易であり、浸透性に優れている点です。短所は硬化を阻害する要因が多く、採用に当たり予備評価が重要となる点です。以下に、嫌気性接着剤で考慮すべき点をまとめました。

  • 接着層の厚さが1mm以上になる部分は硬化しにくい
  • 接着層が厚くなると硬化速度が遅くなる
  • 不活性材料の接着ではアクチベータの併用が必要
  • 表面がポーラス(多孔質)な被着材料では硬化不良が生じやすい
  • 被着材料の種類により、硬化速度や最終強度(硬化性)が変化する
  • 油面接着性に劣る
  • 洗浄剤の残さにより硬化不良を起こすことがある
  • 空気に触れるはみ出し部分は硬化しない
  • 貼り合わせ時に空気を巻き込むと硬化不良が生じる
  • 十分な強度を出すには加熱が必要となる場合が多い

3. 光硬化型接着剤

光硬化型接着剤とは、紫外線や可視光の照射で硬化が進む接着剤のことです。光硬化型接着剤の種類と硬化機構、長所・短所をまとめました。

1:種類

1液型で、主成分はアクリル系、エンチオール系、エポキシ系、シリコーン系などです。紫外線で硬化するものと、可視光で硬化するものがあります。嫌気硬化や熱硬化を併用するタイプもあります。光学部品の組立には、光透過性に優れたものや、屈折率が制御されたものを使用します。

2:硬化機構

紫外線や可視光を照射するとラジカル反応が開始し、室温でも短時間で硬化します。

3:長所・短所

長所は使用が容易な点です。1液型で、紫外線・可視光を照射すると室温下でも短時間で硬化します。短所は以下のとおりです。

  • 紫外線や可視光を透過する被着材料にしか使用できない
  • 接着剤が染みこんで光が当たらない部分は硬化しない
  • 空気に触れている部分は表面硬化性が悪く、べたつきが残りやすい
  • エポキシ光カチオン重合型接着剤は、水分や塩基性物質により硬化不良を起こしやすい

4. シリコーン系接着剤

シリコーン系接着剤とは、ケイ石SiO2を原料とした樹脂(シリコーン)を主成分とする接着剤のことです。シリコーン系接着剤の種類と硬化機構、長所・短所をまとめました。

1:種類

1液型と2液型のものがあります。

2:硬化機構

1液型には、空気中の水分で縮合反応(水などの分子が離れて、2つ以上の分子が結合する反応)を起こして硬化する湿気硬化型と、加熱によって付加重合を起こして硬化するものがあります。2液型は、2液の混合と室温や加熱による付加重合で硬化します。

湿気硬化型は、硬化の際に酢酸、アセトン、オキシム、アルコール、メタノールなどの副生成物が発生します。酢酸は腐食性があり、アセトンやオキシムは溶剤なので、被着材料の性質に注意が必要です。

付加重合で硬化するものは、副生成物は発生しません。しかし、被着材料もしくは付着物によって硬化が阻害されることがあります。硬化阻害物質には以下のものがあります。事前に評価を行い、接着不良を防ぐことが肝要です。

  • 硫黄化合物
  • リン化合物
  • 窒素化合物
  • 有機ゴム(天然ゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、EPDMなど)
  • 軟質塩ビの可塑剤・熱安定剤
  • アミン硬化系エポキシ樹脂
  • 縮合タイプのシリコーン樹脂
  • ウレタン樹脂のイソシアネート類
  • 一部のビニルテープ粘着剤・接着剤・塗料(ポリエステル系塗料など)
  • ワックス類
  • はんだフラックス
  • 松ヤニ
  • ゴム粘土・油粘土

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

5. 変成シリコーン系接着剤

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

6. 瞬間接着剤

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

7. 両面テープ(感圧接着テープ)

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

接着剤の事例をまとめてチェック!(イプロス製造業)

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