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接着における強度の考え方:接着の基礎知識6

接着の基礎知識

更新日:2018年1月10日(初回投稿)
著者:株式会社原賀接着技術コンサルタント 原賀 康介

前回は、接着剤の選定方法と、選定接着剤の適否を判定する方法を説明しました。今回は、接着における強度の考え方について解説します。接着剤の強度は、一般的に試験で破断が生じた時点の強度で表されます。しかし、これを実際の強度と考えてはいけません。接着強度の考え方を見直すと同時に、実際の接着強度が破断強度よりも低下する要因を学びましょう。

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1. 破断強度が接着強度にならない理由

カタログに接着剤の強度として示されている数値は、一般的に、試験を行って破断が生じた時点の値、つまり破断強度です。しかし実際に使用する際には、示された数値よりも低い値で接着部が破断することがあります。破断強度を接着強度と見なすことは、とても危険です。

実際の接着強度を考える際に、考慮すべき3つのポイントがあります。

  • 内部破壊の繰り返しによる破断
  • 接着強度のばらつき
  • 温度、劣化などによる強度低下

以上の3点を踏まえ、実際の接着強度の数値をどう算定すべきか、説明します。

2. 接着強度と内部破壊

図1を見てみましょう。接着試験体に荷重を負荷していくと、接着部は徐々に変形し、最終的に破断を起こします。しかし破断するより低い荷重でも、接着内部では亀裂発生などの細かな破壊が起こっています。これを内部破壊といいます。内部破壊が蓄積すると、破断強度より低い負荷でも破断が起こります。

最初に内部破壊が生じる荷重(内部破壊発生開始強度)より高い負荷が接着部に繰り返し加わると、そのたびに内部破壊が起こり、やがて破断する可能性があります。そのため、内部破壊発生開始強度を接着強度と捉える必要があります。

図1:接着部における内部破壊と破断の概念図

図1:接着部における内部破壊と破断の概念図

内部破壊発生開始強度は、どのように算定すればよいでしょうか。接着剤、被着材が同じでも、試験時の破壊部分の状態が凝集破壊か界面破壊かで値は大きく異なります(参照:第1回)。著者がアコースティック・エミッション法(AE法。破壊により、弾性波として放出される内部蓄積エネルギーを測定し、破壊過程を評価する手法)で測定した結果では、内部破壊発生開始強度は、凝集破壊する場合は破断強度の1/2以上、界面破壊する場合は1/10以下でした。第1回で、界面での結合を強化して凝集破壊にしなければならないと述べたのは、このためです。

繰り返し荷重が加わる場合には、内部破壊発生開始強度はさらに低くなります。107回程度、繰り返し荷重がかかる場合の内部破壊発生開始強度は、静的破断(引張、圧縮、延性、ぜい性による破断)強度の約1/4と考えられます。

3. 接着強度のばらつき

接着は、他の接合方法と比べて強度のばらつきが大きいため、平均強度で考えることはほとんど無意味です。サンプル数が多くなるほどデータの範囲は広くなり、最大・最小値は平均値から大きく離れます。接着強度のばらつきの大きさは、変動係数Cvで表されます(参照:第1回)。Cvが0.10の場合、サンプル数が1,000万個になると、下から3番目に低いものの強度は平均値の50%となってしまいます。

接着剤の強度で問題になるのは、低強度へのばらつきが大きくなる時です。そこで、最低強度と平均強度の比をばらつき係数dとします。ばらつき係数の計算式は、d=最低強度品の強度/平均強度です。d=1.0に近いほど、接着剤の品質が高いことになります。ばらつき係数と変動係数Cvの関係を、図2にまとめました。変動係数が小さいほど、ばらつき係数の値は1.0に近づき、品質が高くなることが分かります。

図2:変動係数Cvとばらつき係数d、許容不良率F(x)の関係を示すグラフ

図2:変動係数Cvとばらつき係数d、許容不良率F(x)の関係を示すグラフ

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

4. 温度・劣化による接着強度の低下

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

5. 実際の接着強度とは

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

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