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中央空調方式について:空調設備の基礎知識3

空調設備の基礎知識

更新日:2021年6月9日(初回投稿)
著者:関東学院大学 建築・環境学部 建築・環境学科 教授 遠藤 智行

前回は、空調設備の設置方法や吹出方法の違いによる分類、各空調方式の特徴・ゾーニングの手法などについて示しました。今回は、中央空調方式を構成する主要な機器を、熱の流れとともに解説します。

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1. 中央空調方式の熱の流れ

中央空調方式は、主に空調機・冷凍機・冷却塔・ボイラなどで構成されています(図1)。冷房の場合、室内に溜まった熱で温められた空気を、ダクトを介して空調機に送ります。この時、換気のために一部の室内空気を屋外に排気します。空調機に送られた空気は、熱交換器(冷却コイル)で冷水によって冷やされ、温湿度が低くなった状態で室内に送られます。暖房の場合は、温度が低い室内の空気を冷房時と同様にダクトを介して空調機に送り、空調機の熱交換器(加熱コイル)で高温の蒸気などにより温められて、室内へと送られます。

図1:中央空調方式の例

図1:中央空調方式の例

2. 中央空調方式を構成する主要な機器

ここでは、中央空調方式の主要な機器である、空調機・冷凍機・冷却塔について解説します。

・空調機
中央空調方式では、中央機械室にAHU(Air Handling Unit)とも呼ばれる大型の空調機を設置します。図1のように、空調機では室内から熱を運んできた空気と換気のための外気を入口で混合し、まずフィルタで汚染物質を除去します。その後、熱交換器(冷却コイルと加熱コイル)において、冷房時には冷却コイルを流れる冷水により空気が冷却除湿されます。空気と熱交換することで温度が上がった冷水は冷凍機で冷却され、再び空調機の冷却コイルへと送られます。暖房時には、加熱コイルを流れる蒸気などで空気が加熱されます。蒸気は空気と熱交換をすることで水になります。この水がボイラで加熱されて蒸気となり、再び空調機の加熱コイルへと送られます。空気は加熱コイルを通過した後に、加湿器で加湿されます。冷却除湿、もしくは加熱加湿された空気は、ファンによりダクトを介して各室へと送られます。

・冷凍機
冷凍機は、冷却コイルで空気と熱交換することで温度が上がった冷水を、再度冷却します。液体が蒸発する際に周囲から吸熱する作用を利用して、冷水から熱を奪います。この蒸発する液体を冷媒といいます。冷凍機内では、冷媒の相変化により熱を移動させています。冷凍機には、圧縮式冷凍機と吸収式冷凍機があります。

圧縮式冷凍機:
圧縮式冷凍機は、図2のように蒸発器・圧縮機・凝縮器・膨張弁で構成されています。空調機の冷却コイルで温度が上がった冷水は、最初に蒸発器に入ります。ここで、フロンなどの冷媒を冷水の熱により蒸発させることで、冷水から冷媒に熱を移動します。温度が下がった冷水は、再び空調機の冷却コイルへ向かいます。蒸発した低温低圧の気体である冷媒は、圧縮機で圧縮されることで高温高圧の気体となり、凝縮器へ移動します。凝縮器では、屋上などに設置されている冷却塔との間で冷却水を循環させています。

図2:圧縮式冷凍機の冷凍サイクル

図2:圧縮式冷凍機の冷凍サイクル

高温高圧の気体となった冷媒は、常温の冷却水で冷却されることで熱を冷却水へ移し、水へと相変化します。温度が上がった冷却水は冷却塔へ向かい、大気に熱を放出します。高圧の液体となった冷媒は、膨張弁で減圧されて低圧の液体となり、再び蒸発器に向かい蒸発作用で冷水を冷却します。圧縮式冷凍機は、圧縮機を用いるために音や振動が大きくなり、電力消費量も多くなる傾向があります。圧縮機の圧縮方法により、遠心冷凍機や回転式冷凍機、往復動冷凍機などに分類されます。

吸収式冷凍機:
吸収式冷凍機は、蒸発器・吸収器・再生器・凝縮器で構成されています(図3)。真空状態に近い蒸発器において、冷媒である水が冷水の熱で蒸発し、冷水を冷却します。温度が下がった冷水は、再び空調機の冷却コイルへと向かいます。蒸発して水蒸気となった冷媒は、吸収器にある吸収液(臭化リチウムなど)にどんどん吸収されていきます。この吸収作用は、蒸発器内の圧力低下と蒸発の促進にも寄与しています。

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