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大気汚染対策の基礎知識

大気汚染対策の基礎知識

著者:原技術士事務所 兼 化学工学会SCE・Net 原 晋一

大気汚染と聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか? 黒い煙を出すプラントの煙突、4大公害病の四日市ぜんそく、最近の話題ではPM2.5などでしょう。また、Tech Noteの読者の中には、大気関係公害防止管理者の資格を持ち、大気汚染対策の業務に従事する技術者もいることでしょう。

この基礎知識では、5回にわたり、大気環境問題の歴史や技術的な対策について解説します。1回目は、大気環境問題の歴史と法令などを解説します。

第1回:大気環境問題の歴史と法律

1. 大気環境問題の歴史

現在、大気環境の問題は、温暖化と認識されています。しかし昔は、人間の健康被害にまで影響が及んでいました。大気環境問題の全体像を捉えるために、まずその歴史を振り返ります。

表1:大気環境問題の歴史(公害防止の技術と法規編集委員会、新・公害防止の技術と法規 2016全編共通、大気編、産業環境管理協会、2016年 から一部修正)
時期事象、大気汚染物質係争や被害などの例対応・技術主要な法律など
明治後半
〜昭和19年
(1890~1944年)
銅精錬排ガス煙害(SOx)
石炭火力発電排ガスばい煙汚染
セメント工場ダスト飛散など
被害者と企業間の係争
農作物被害
健康被害
工場の移転
企業の賠償
排煙処理装置設置
(硝酸とNi触媒による硫酸化など)
大阪府ばい煙防止規則
(1932年、戦争で効果を発揮出来ず)
終戦
〜昭和30年前半
(1945~1950年代後半)
工業復興による降下ばいじん
SOx大気汚染
健康被害集じん機によるばいじん補収東京・大阪による公害防止条例
昭和30年後半
(1960年代前半)
経済成長期に入り、石炭から石油への燃料転換
高硫黄重油の燃焼増によるSOx大気汚染
四日市石油工場排ガスによるぜんそく灯油・軽油脱硫装置ばい煙規制法(1962年)
昭和40年
〜昭和50年中盤
(1970年代)
昭和39年(オリンピック)以降
第1次、第2次オイルショック
高度経済成長時代、従来からのSOx大気汚染のみならず、NOxや揮発性炭化水素(VOC)による光化学オキシダント(光化学スモッグ)の発生
各地での各種呼吸器障害の発生の増大
四日市公害裁判(1967〜1972年)
眼の刺激や呼吸困難
公害国会(1970年)
環境庁発足(1971年)
排煙脱硫・脱硝装置設置
重油脱硫装置設置
電気集じん装置など
公害対策基本法(1967年)
大気汚染防止法
硫黄酸化物環境基準改定
公害健康被害補償法
硫黄酸化物総量規制
公害防止条例(地方自治体)
公害防止協定(地方自治体)
昭和50年中盤
〜平成10年前半
(1970年代後半
~2000年前半)
自動車排気ガスによるVOC、NOx、鉛化合物、浮遊粒子状物質(SPM)などによる大気汚染
公害対策から環境保全に変化
オゾン層破壊
呼吸器障害
国会討議など
エンジン調整
自動車排ガス触媒
自動車排ガス再循環
無鉛ガソリン
ガソリン、ディーゼル軽油の超低硫黄およびガソリン高オクタン化
フロン生産停止
冷媒非フロン化 
自動車排ガス規制
自動車NOx・PM法
環境基本法(1993年)
オゾン層保護法(1988年) 
平成〜現在
(1990年後半~)
地球気候変動
ダイオキシン
アスベスト健康被害 
がんなどの健康被害発生や懸念
アスベスト訴訟 
プラスチック高温焼却
アスベスト不使用 
ダイオキシン類対策特別措置法(1991年)

第二次世界大戦以前
日本において、大気汚染が社会的問題としてクローズアップされたのは、明治後半から大正(1890~1925年ごろ)にかけてです。金属産業などから、硫黄酸化物を含むガスが排出され、煙害が発生しました。当時の大気汚染対策は、今とは違い、問題が表面化してから、対策が講じられていました。具体的には、問題を発生させた事業者が、技術開発を行い、被害の補償をしました。

最も有名なのは、愛媛県別子銅山の煙害問題です。精錬能力を上げるために、別子山中から新居浜の沿岸部に移設された精錬所において、明治20年半ば(1890年ごろ)に亜硫酸ガスによる農作物の被害をめぐり、近隣農民との紛争が起きました。この時、精錬所の無人島移転や、賠償金の支払い、産銅量を制限する協定が結ばれました。また、昭和2年(1927年)にドイツから技術導入を行い、独自の開発も加えて、煙害対策の実用装置を完成させました。これにより、実害を伴う煙害は見られなくなりました。(参照:住友金属鉱山ウェブサイト環境再生保全機構ウェブサイト)また、茨城県日立鉱山でも煙害問題が発生し、企業は地元の人々へ補償を行うとともに、亜硫酸ガスを大気へ拡散させるため、156mの大煙突を325mの山の上に建てました。(参照:環境再生保全機構ウェブサイト)これらの事例は、企業が苦心し、自らの意志で大気環境問題に向き合ったことを示しています。

第二次世界大戦以降
第二次世界大戦以降(1945年以降)は、戦後復興と高度経済成長により、大気汚染の問題が深刻化しました。国会や政府、地方自治体が協力して法律を制定し、それに企業が対応することで、硫黄酸化物等固定排出源を中心とした大気汚染問題が次第に収まっていきました。ただ、光化学オキシダントや、微小粒子状物質(PM2.5)等移動発生源や、国を越えた問題と考えられる大気環境の問題は予断を許せない状況です。その状況を図1図2図3に示します。

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図1:硫黄酸化物の年度平均値の推移(環境庁環境統計集よりグラフ作成)

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図2:光化学オキシダント注意報発令延日数の推移(環境庁環境統計集よりグラフ作成)

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図3:微小粒子状物質(PM2.5)の環境基準達成率(環境庁環境統計集よりグラフ作成)

2. 大気環境にまつわる法令

法規則における環境基準、排出基準
環境管理部門を除いた技術部門では、「排出基準」「構造・使用・管理基準」「作業基準」や「抑制基準」などを遵守しなければなりません。これらは、実施法である大気汚染防止法で規定されています。法体系としては、環境基本法で「人の健康を保護し、生活環境を保全する上で、維持されることが望ましい基準」として「環境基準」が設定されています。そして、「環境基準」を実現するための基準が「排出基準」などです。このような法体系のポイントを、物質ごとにまとめたものが図4になります。

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図4:大気環境の環境基準や排出基準などの法規則体系
二酸化硫黄SO2、硫黄酸化物SOx、一酸化炭素CO、浮遊粒子状物質SPM、NO2二酸化窒素、微小粒子状物質PM2.5、窒素酸化物NOx、揮発性有機化合物VOC

大気関係公害防止管理者の職務
大気関係公害防止管理者は、ばい煙発生施設などの運転や保全などの実務者で、公害防止に関する国家資格を必要とします。その業務は「特定工場における公害防止組織の整備に関する法律」において取り決められています。公害防止統括者の指揮統括の下で、燃料や原材料の硫黄分の検査、ばい煙発生施設の点検などの、公害防止に関する技術的業務を行います。具体的には次の業務です。

表2:大気関係公害防止管理者の業務
ばい煙発生施設設置工場・使用する燃料または原材料の検査
・ばい煙発生施設の点検
・ばい煙発生施設において発生するばい煙を処理するための施設、
 およびこれに付属する施設の操作、点検、補修
・ばい煙量、またばい煙濃度の測定の実施、結果の記録
・特定施設の事故時における応急の措置の実施
・ばい煙に係る緊急時、ばい煙量またばい煙濃度の減少、
 ばい煙発生施設の使用制限、必要な措置の実施
特定粉じん発生施設設置工場・使用する原材料の検査
・特定粉じん発生施設の点検
・特定粉じん発生施設から発生、または飛散する特定粉じんを処理するための施設、
 および付属する施設の操作、点検および補修
・特定粉じんの濃度測定の実施、および結果の記録
・測定機器の点検、および補修
一般粉じん発生施設設置工場・使用する原材料の検査
・一般粉じん発生施設の点検
・一般粉じん発生施設から発生し、また飛散する一般粉じんを処理するための施設、
 および付属施設の操作、点検および補修

3. 大気汚染物質とその影響

大気環境問題の原因物質は、主に5種類あります。具体的には、硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、浮遊粒子状物質(SPM)、微小粒子状物質(PM2.5)、ダイオキシン類です。それぞれの人や環境に与える影響を説明します。

硫黄酸化物(SOx)
硫黄酸化物は、代表的な大気汚染物質です。主体は、二酸化硫黄SO2(亜硫酸ガス)と三酸化硫黄SO3(無水硫酸)です。人間が二酸化硫黄SO2を吸入すると、体内の水分と反応し硫酸となり、呼吸器疾患の原因になります。三酸化硫黄SO3は、硫酸ミストとも呼ばれ、有害な微小粒子状物質や酸性雨の主要な成分です。人の健康、農作物や森林などに大きな影響を与えます。

窒素酸化物(NOx)
窒素酸化物には一酸化窒素NOと二酸化窒素NO2があり、人体には、二酸化窒素NO2の方が悪影響を及ぼします。それは二酸化窒素NO2が人体の細胞膜を酸化させ、傷つけやすいからです。二酸化硫黄SO2に比べて、水に緩やかに溶けるため、気管支の末端から肺胞にかけて細胞膜を傷つけ、肺炎を起こしやすくなります。(出典:公害防止の技術と法規編集委員会、新・公害防止の技術と法規 2016全編共通、大気編)

大気中の燃焼過程で、窒素が酸化し一酸化窒素NOが生成します。二酸化窒素NO2は、大気中の酸素により、一酸化窒素NOがさらに酸化され生成します。燃焼時に生成され、燃料に窒素を含む場合は、さらに多く生成されます。

また、二酸化窒素NO2は、不飽和の炭化水素など一緒に太陽光に当たると、光化学反応を起こし、オゾンO3やペルオキシアシルナイトレート(Peroxyacyl Nitrates、PAN)などの酸化力の強い物質、光化学オキシダントを生成します。

浮遊粒子状物質(SPM)
粒子径が10µm以下の粒子は、大気中でも浮遊することから、浮遊粒子状物質(Suspended Particulate Matter、SPM)と呼ばれています。浮遊粒子状物質(SPM)は、人体の気道や肺胞に沈着することで、呼吸器系に健康影響を及ぼします。

微小粒子状物質(PM2.5)
大気中の粒子状物質(Particulate Matter、PM)の粒子分布は、2.0µmと0.1µm以下のところで、出現頻度の少なくなる3連の山形を示します。(出典:公害防止の技術と法規編集委員会、新・公害防止の技術と法規 2016全編共通、大気編)疫学データが多く存在する2.5µm以下の微小粒子を、微小粒子状物質(PM2.5)と称し、浮遊粒子状物(SPM)と区別しています。

微小粒子状物質(PM2.5)には、硫酸塩や硝酸塩などが多く含まれています。これらは、自動車排気ガスなどに含まれる元素状炭素や金属化合物と、燃焼により発生したSO2やNO2が結合し、大気中で光化学反応を起こして生成されます。

PM2.5と心血管系への影響・死亡率との因果関係が、米国の調査で確認されています。(出典:公害防止の技術と法規編集委員会、新・公害防止の技術と法規 2016全編共通、大気編)最近は中国からのPM2.5の飛来も観測されており、対策を講じるためには、国際的アプローチが重要といえます。

ダイオキシン類
ダイオキシン類とは、ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン(DL-PCB)、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)、ダイオキシン様ポリ塩化ビフェニル(DL-PCB)の総称です。これらの物質の共通構造は、塩素で置換された2つのベンゼン環です。

ダイオキシン類の毒性は極めて強く、人体への影響は発がん性、生殖毒性、催奇形性、免疫毒性など多岐にわたります。(出典:公害防止の技術と法規編集委員会、新・公害防止の技術と法規 2016全編共通、大気編)ダイオキシン類は、塩素を含むプラスチックスの不完全燃焼で発生するケースが多く見られます。

今回は、大気環境問題の歴史、法令、大気汚染物質とその影響を解説しました。次回は、環境汚染対策のための技術について、詳しく見ていきます。お楽しみに!

 

第2回:環境汚染対策のための技術

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前回は、大気環境問題の歴史と法律、大気汚染物質について、解説しました。今回は、環境汚染対策、処理位置の選択について、解説します。汚染物質の生成場所に対し、前の対応か、後の対応かを選択するのが重要です。環境汚染物質の処理と、その具体例として、重油燃料の燃焼と炭酸ガス捕集における対応を紹介します。

1. 環境汚染物質の除去における処理

環境が汚染された状態は、自然環境に「汚染」物質が存在する状態だといえます。その汚染物質を除去するには、汚染物質を分離し、濃度を高くして分離、捕集、除去の操作をする必要があります。この操作はエントロピーを減少させることを意味し、そのためにはエネルギーの投入が必要となります。

そこで、できれば対象の汚染物質が濃縮状態にあり、反応変化を受ける前の状態で分離すれば、エネルギー投入をより少なくできます。このことを念頭に、各環境汚染物質の除去方法を、「前対応」と「後対応」に分けてまとめてみると、表1のようになります。

表1: 大気汚染物質の除去方法、「前対応」と「後方法」のまとめ
 汚染物質の生成原因前(反応物)対応後(生成物)対応組み
合わせ
重要性などの評価
SOx燃料中Sの燃焼酸化石油、天然ガスの精製過程での脱硫燃焼排ガスの排煙脱硫 両方の対応、同等
大規模では前対応経済性優位
NOx大気中および燃料中窒素の燃焼酸化石油中Nの精製過程での脱窒素排煙脱硝
自動車排ガス脱窒素触媒
後対応は必須
VOCガソリンや溶剤などの原料・製品からの揮発原料・製品の特性に応じた規格制定と製品製造対応原料・製品の密閉取り扱い
自動車排ガス再循環
後対応は必須
粒子状物質粉砕作業や堆積物飛散湿式粉砕など貯蔵の密閉化、湿潤化粒子発生状態に応じ対応
SPM燃焼における未燃物や道路粉じんなどバーナー改善、耐摩耗タイヤ、スタッドレスタイヤなど電気集じん、バグフィルター
自動車燃焼調整
 燃焼では後対応
道路粉じんには前対応
PM2.5自動車排ガスにおけるCとSOxの化合物などガソリン、軽油の超深度脱硫エンジン燃焼調整
自動車排ガス浄化触媒
両方の対応必須
オキシダントVOC、NOx、紫外線で大気中で生成VOC、NOxの前対応VOC、NOxの後対応両方の対応必須
ダイオキシン塩素含有プラスチックスの不完全燃焼塩素含有プラスチックスの製造停止プラスチックス燃焼炉の高温燃焼化後処理が有効
CFCなど冷媒などの蒸発CFC、HCFCの生産停止  処理では対応不可能
アスベスト石綿建築材や保温材の飛散生産禁止防じんマスク 基本的には生産禁止

表1のように多くの場合、原料調整業種と最終製品生産業種が異なるため、前対応、あるいは反応物対応と後対応、あるいは反応生物対応の「組み合わせ」が必要で、業種間の最適化が必要です。特に新しい課題に対しては、業種間の総合的比較・調整が重要です。また大規模な活動に起因する場合、例えば石化燃料の燃焼に伴うSOxやNOx には、前対応が重要です。

化石燃料の燃焼においては、多くの経済的実績のもと、前対応と後対応の選択システムが既に確立しています。新しい課題に対しては、経済性が実績に基づき判明する前の考察に非常に意味があります。さらに、行政に任せることなく業種間、産業と行政間の考察が重要になります。

2. 事例1: 重油燃料の燃焼における前対応と後対応

図1は、重油燃焼発電における、電力業での排煙脱硫と石油業による重油脱硫の比較です。同じ送電端発電量を得るのに、前対応の方が、原料の高硫黄重油の量が少なくて良いことが分かります。

これは、原料中の硫黄成分や窒素成分が水素化と反応し、容量が大きくなり、質量当たりの発熱量が高い石油製品に変わることが考えられます。熱力学的には前処理において、エントロピーの低い状態の硫黄物の除去が可能だということです。

しかし、脱硫率は、排煙脱硫は95%以上に対し、重油(直接)脱硫は94%程度と、重油脱硫の方が低くなっています。そのため、大規模発電においては、排出する硫黄酸化物の総量を低くする必要性から、排煙脱硫が多く採用されます。ただし、工業加熱炉などの比較的規模の小さい加熱炉の場合、燃料は低硫黄重油を使用するケースが多く見られます。このように実際には、エネルギー・物量的検討だけではなく、総合的な観点による対応の検討が必要です。

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図1: 硫黄酸化物対策における後対応と前対応の比較

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3. 事例2: 炭酸ガス捕集における対応

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第3回:SOx・NOx・VOCの特徴や対応法

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前回は、環境汚染物質の処理と、その事例として、重油燃料の燃焼における前対応と後対応、炭酸ガス捕集における対応を解説しました。今回は、環境汚染物質への個別の対応技術を解説します。硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)など、大気汚染の原因となる物質の特徴や対応法を紹介します。

1. 大気汚染に関する環境基準と排出基準

環境基準は環境基本法第16条に示されています。人の健康を保護し、および生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準で、工場や事業場に対する規制の基準である排出基準とは異なります。各排出施設において順守すべき硫黄酸化物の排出基準は、大気汚染防止法施行規則第3条に示されている計算式(地域ごとの係数と、排出ガスの拡散に係る補正をした排出口の高さの2乗の積で表される)で算出される硫黄酸化物の量です。環境基準は表1、 硫黄酸化物(SOx)以外の大気汚染物質の排出基準は、主な排出施設の基準を表2にまとめます。

表1:大気汚染に係る環境基準から一部抜粋(出典:新・公害防止の技術と法規 2016 大気編、産業環境管理協会)
大気汚染に係る環境基準
物質環境上の条件
二酸化硫黄SO21 時間値の1 日平均値が0.04ppm 以下、かつ1 時間値が0.1ppm 以下
一酸化炭素CO1 時間値の1 日平均値が10ppm 以下、かつ1 時間値の8 時間平均が20ppm 以下
浮遊粒子状物質SPM1 時間値の1 日平均値が0.10mg/m3 以下、かつ、1 時間値が0.20mg/m3 以下
二酸化窒素NO21 時間値の1 日平均値が0.04ppm から0.06ppm までのゾーン内またはそれ以下
光化学オキシダントOx1 時間値が0.06ppm 以下
有害大気汚染物質(ベンゼンなど)に係る環境基準
物質環境上の条件
ベンゼン1 年平均値が0.003mg/m3 以下
トリクロロエチレン1 年平均値が0.2mg/m3 以下
テトラクロロエチレン1 年平均値が0.2mg/m3 以下
ジクロロメタン1 年平均値が0.15mg/m3 以下
ダイオキシン類に係る環境基準
物質環境上の条件
ダイオキシン類1 年平均値が0.6pg-TEQ/m3 以下
備考:基準値は、2、3、7、8- 四塩化ジベンゾ- パラ- ジオキシンの毒性に換算した値とする。
微小粒子状物質に係る環境基準
物質環境上の条件
微小粒子状物質1 年平均値が15μg/m3 以下、かつ、1 日平均値が35μg/m3 以下
共通の適用除外事項:環境基準は、工業専用地域、車道その他一般公衆が通常生活していない地域または場所については、適用しない。
表2: ばいじんとNOxの排出基準値一覧から一部抜粋(引用: 環境省ホームページ
 施設種類規模新設基準値
On*1ばいじん
(g/m3n)
 NOx
(%)一般特別(ppm)
ボイラーガス専焼ボイラー4万m3N以上50.050.0360 ~100
4万m3N未満50.10.05130~150
重油専焼および
ガス液体混焼ボイラー
20万m3N以上 40.050.04130~150
4 ~20万m3N40.150.05150
1~4万m3N40.250.15150
1万m3N未満 40.30.15180
石炭燃焼ボイラー 20万m3N以上60.10.05200~250
 4~20万m3N60.20.1250~320
4万m3N未満60.30.15250~350
ガス発生炉
および加熱炉 
ガス発生炉  70.05 0.03150
加熱炉  70.10.03150
焙焼炉 焙焼炉4万m3N以上 0.10.05220
4万m3N未満 0.150.1
転炉平炉 転炉  0.10.08 
平炉4万m3N以上 0.10.05 
4万m3N未満 0.20.1 
金属溶解炉 金属溶解炉4万m3N以上 0.1 0.05180
4万m3N未満 0.2 0.1
金属加熱炉 金属加熱炉4万m3N以上110.10.08100~180
4万m3N未満110.20.1150~180
石油加熱炉石油加熱炉4万m3N以上60.10.05100
4万m3N未満60.150.08130~180
窯業容焼成炉
溶融炉 
石灰焼成炉のうち土中釡 150.40.2250
セメントの製造用焼成炉 100.10.05250~350
耐火レンガなどの製造用焼成炉4万m3N以上180.10.05400
4万m3N未満180.20.1
板ガラスまたはガラス繊維製品
製造用溶融炉
4万m3N以上150.10.05360
4万m3N未満150.150.08
光学ガラス、電気硝子または
フリットの製造用溶融炉
4万m3N以上160.10.05800
4万m3N未満160.150.08
反応炉および
直火炉 
反応炉および直火炉4万m3N以上0.150.08180
4万m3N未満 60.20.1
乾燥炉骨材乾燥炉 160.50.2230
電気炉合金鉄(ケイ素含有率40% 以上)
製造用電気炉
  0.20.1 
合金鉄(ケイ素含有率40%未満)
およびカーバイト製造用電気炉
  0.150.08 
廃棄物焼却炉廃棄物焼却炉4t以上120.040.04250~700
2~4t120.080.08
 2t未満120.150.15
銅、鉛、亜鉛用
各種炉
銅、鉛または亜鉛の精錬用焙焼炉4万m3N以上 0.10.05 220
4万m3N未満 0.150.08
銅、鉛または亜鉛の精錬用焼結炉  0.150.1 220
銅、鉛または亜鉛の精錬用溶鉱炉  0.150.08100~450
銅、鉛または亜鉛の精錬用転炉  0.150.08 
銅、鉛または亜鉛の精錬用溶解炉4万m3N以上 0.10.05180~330
4万m3N未満 0.20.1
銅、鉛または亜鉛の精錬用乾燥炉4万m3N以上160.150.08180
4万m3N未満160.20.1
アルミニウム用
電解炉
アルミニウム精錬用電解炉  0.050.03 
鉛蓄電池製造用
溶解炉
鉛蓄電池製造用溶解炉4万m3N以上 0.10.05180
4万m3N未満 0.150.08 
コークス炉コークス炉 70.150.1170
ガスタービンガスタービン 160.050.0470
ディーゼル機関ディーゼル機関 130.10.08950~1200
ガス機関ガス機関 00.050.04600
ガソリン機関 ガソリン機関 00.050.04600
*1:標準酸素濃度

2. 硫黄酸化物(SOx)

硫黄酸化物(SOx)排出防止技術

硫黄酸化物(SOx)は、発電プラントの大型ボイラーと産業用の中・小型ボイラーから多く排出されます。発電用大型ボイラーの排煙脱硫プロセスの主力は、石灰スラリー吸収法(石灰石こう法)です。中小型の排煙脱硫の場合は、水酸化マグネシウムスラリー吸収法(水マグ法)が使用されています。前者は副産品が石こう(CaSO4・2H2O)で、後者は硫酸マグネシウム(MgSO4)です。副産品において、後者は排液中の固形分などの環境上の問題があり、前者にも副産石こうに含まれる炭素分など未燃く物の混入もあり、新たに両者を組み合わせた水マグ石こう法が開発されました。

石灰スラリー吸収法(石灰石こう法)

石灰スラリー吸収法は湿式排煙脱硫法で、硫黄酸化物(SOx)を石灰石(CaCO3)や消石灰(Ca(OH) 2)の水溶液スラリーに吸収反応させ除去する方法です。

  反応式:SO2+CaCO3+1/2H2O→CaSO3+CO2+1/2H2O (吸収)
      CaSO3+1/2O2+2H2O→CaSO4・2H2O      (酸化)

このフローを図1に示します。酸化用空気の吹き込みは、図1のように吸収塔ボトム部に行う場合と、別に設置された酸化槽で行う方法があります。スラリー循環液量は17 l/Nm3‐排ガス量程度必要で、100MWの発電プラントの場合、5,000kl/h弱の吸収液の循環が必要です。

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図1: 石灰スラリー吸収法排煙脱硫プロセス(引用: クボタ化水化学 石灰石こう法(湿式)

水酸化マグネシウム石こう排煙脱硫法(水マグ石こう法)

最初に、水マグ石こう法のベースとなる水マグ法の説明をします。この方法は石灰石こう法のプロセスフローと似ています。水酸化マグネシウム(Mg(OH) 2)を吸収剤にし、排液中の固形物を除去するろ過操作を中心とした排液処理部を設置する方法です。この方法の特徴は、吸収液の循環量を小さくできることと、無害で水への溶解度の高い硫酸マグネシウム(MgSO4)が排液であることです。ただし、この方法も排液中にろ過しきれない微量の固形分が混入するので、廃液問題や高価な水酸化マグネシウム(Mg(OH) 2)消費の問題が発生します。石灰石こう法でも、副産される石こう粒径が小さい場合は、水分除去が不十分であったり、燃焼排ガス中の未燃炭素分などが石こうに付着したまま産出され、ドロドロの石こうや黒色の石こうであったりするため、副産品価値に問題が生じます。そこで、二酸化硫黄(SO2)の吸収能力の高い水酸化マグネシウム(Mg(OH) 2)と、副産物として有価な石こうを副産できる両方の特徴を持つ「水マグ石こう法」が開発されました。

  (吸収工程)  SO2+Mg(OH)2→MgSO3+H2O
  (酸化工程)  MgSO3+1/2O2→MgSO4
  (複分解工程) MgSO4+Ca(HO)2+2H2O→CaSO4・2H2O+Mg(OH)2

このプロセスでは、石灰石こう法より大きい結晶サイズの石こうを作ることができます。それは複分解工程で還元再生され吸収塔に再循環される水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)の粒子の滞留時間に比べ、生成する石こうの滞留時間を格段に長く取り、石こうの結晶粒子の成長を図ることができるからです。

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3. 窒素酸化物(NOx)

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4. 揮発性有機化合物(VOC)

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5. 光化学オキシダント

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第4回:SPM・PM2.5・石綿の特徴や対応法

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前回は、大気汚染の原因となる代表的な物質の特徴や対応法を紹介しました。今回はSPMやPM2.5など、健康に与える影響が大きい物質の特徴や対応法を、詳しく見ていきます。

1. 粒子状物質の種類と性状

鉱山や石炭ボイラーの煙突からのばいじんや、セメント工場からの粉じんなどの公害問題は深刻な問題です。環境汚染物質としての用語も多くあり、1993年に制定された環境基本法で、浮遊粒子状物質と微小粒子状物質の2つの用語に集約されました。

大気に浮遊する粒子の粒径は大体10μm以下です。粒径分布は2μmと0.1μmに谷のある3つの山で形成されています。健康に与える影響が大きく、疫学的情報が多い2.5μm以下の粒子は微小粒子状物質(PM2.5)、粒径10μmから2.5μmの粒子は浮遊粒子状物質(SPM)とされています。大気汚染防止法では、燃焼にともない発生する粒子状物質を「ばいじん」、燃焼以外の過程から発生する粒子状物質を「粉じん」としました。粉じんについても石綿を「特定粉じん」とし、それ以外を「一般粉じん」と区別しています。

しかし粒子状物質は形状、性状や大気中での状態が大きく異なるので、実際には粒子状物質の発生形態による粒子状物資の区分が重要になります。例えば、排出がボイラーなどの場合は集じん操作で対応したり、自動車排ガスのような場合は排出ガスでの対応だけでなく、燃料での対応を行ったりします。セメントの生産、粉砕操作、粉の貯蔵・運搬などにおいては密閉対応が重要になります。粒子状物質の処理方法を計画する上では、発生形態の把握がより重要になるといえます。

粉じんの性状

粒子径:粉じんの粒子径は、集じん方法を選ぶ上で最も重要です。通常、粉じんは平均粒子径と粒子径分布で示されます。粒子径の分布は、下記の式となります。
      R = exp(-βdpn)
ここで、R:積算ふるい上分布(mass%)、dp:粒子径(m)、β:粒度特性係数
(m-n)、n:分布指数または均等度(-)です。 この式の二重対数を取れば、次の式となります。
      Log(-logR) = n(logdp – logβ)
この式を線図として、縦軸にlog(-logR)、横軸にlogdpを取り、各種粉じんのデータをプロットすると直線になります(図1)。このような線図を、ロジン・ラムラー線図(Rosin Rammler Chart)といいます。粒子径とふるい上積算分布の組み合わせのデータが、2セットあれば粒子径分布全体を知ることができます。同種の粉じんであれば1セットのデータで粒子径の分布の予測が可能となり、粒径を表すのによく使われます。

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図1:各種粉じんの粒子径分布(引用:金岡千嘉男・牧野尚夫、 はじめての集じん技術、日刊工業新聞、2013年、P.4)

見かけ電気抵抗率:大規模かつ集じん程度を高くする集じん操作の典型は、電気集じん機です。この操作性能に大きく影響する粉じんの性質が、見かけ電気抵抗率です。この値が低いと異常再飛散が起こり、高いと逆電離現象により集じん率が低くなります。

濃度:単位体積の気体中の粒子の質量は、集じん設備におけるフィルタの集じん面積や、電気集じん機における電極の面積や、電極間距離などに影響する物性です。工業的には10mg/m3から100g/m3の範囲です。

粒子径、粒子密度:重力や慣性力などによる集じん操作は、粒子の運動特性に影響されます。集じんは粒子自体の移動速度と周囲のガスの移動速度の差を作り、粒子を捕集する操作です。粒子の移動速度への粒子物性の関与が重要になります。粒子の移動速度は次の式で表されます。粒子の径や密度が集じん性能に影響します。

v = (CmFD)/(3πμmdp
ここで重力集じんの場合: FD=(π/6)dp3ρpg
   遠心力集じんの場合:FD = (π/6)dp3ρp(vθ2/R)
   電気集じんの場合: FD = qE

v:移動速度(m/s)、Cm:カニンガムの補正係数(-)、FD:ガスの抵抗力(N)、μm:ガス粘度(Pa・s)、dp:粒子径(m)、ρp:粒子密度(kg/m3)、g:重力の加速度(9.8m/s2)、vθ:円周方向粒子速度(m/s)、R:回転半径(m)、q:粒子の帯電量(C)、E:電界強度(V/m)

2. 集じん装置の選定

各集じん装置の集じん率

集じんの方法は粒子径の大きさにより異なります。通常大気中を浮遊しない10μm以上の粒子径の大きい粉じんに対しては、重力沈降やルーバーによる慣性力を使います。それ以下の粒径の粉じんに対し90%以上の集じん率を得ようとする場合、通常はバグフィルタや電気集じん機が使われます。また、サイクロンやベンチュリースクラバー方式も使われます。各集じん装置の部分集じん効率が図2です。バグフィルタの難点は、集じん効率は高いのですが、使用可能温度が250℃と比較的低いことと、圧力損失が1.0kPa〜2.0kPaと高いことです。

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図2:各集じん装置における部分集じん効率(引用:化学工業会 東海支部、化学工学の進歩28 流体・粒子系分離、1994年)

集じん装置の種類と特徴

集じん操作には大別して3つの方式があります。1つ目は、粒子に掛かる「力のみ」で粒子の捕集を行うものです。重力沈降法やルーバーやサイクロンでガスと、粒子の移動方向を変える方法があります。2つ目は、力と障害物によるものです。スクラバーのような水滴に衝突させる方法です。3つ目は、障害物のみによる方法です。バグフィルタやセラミックフィルタが主たる方法です。なお、電気集じん機は1つ目の原理を利用したものです。設備費用や運転費用は、重力の利用方式が安く、障害物利用方式は高くなります。なお、同じ力を利用する方式でも、電気集じん機はコスト的には一番高くなります。

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3. 排ガス(PM2.5)の対策

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4. 特定粉じん(石綿)の対策

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5. 有害大気汚染物質の種類と対策

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第5回:地球気候変動への対応

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前回は、PM2.5やSPMなど、健康に与える影響が大きい物質の特徴や対応法を解説しました。最終回の今回は、大気に放出された二酸化炭素が原因である、気温上昇による地球気候変動への対応を、詳しく見ていきます。

1. 地球環境変動予測に対する考え方

COP21およびIPCC AR5

2015年12月パリで、第21回地球環境変動枠組み条約締約国会議(COP21)が開かれました。「世界の平均気温上昇を、産業革命以前の気温に対し2℃上昇より十分低く保つとともに、1.5℃上昇に抑える努力を追求すること」に向け、全ての国が排出量削減目標を作り提出すること、それを達成するための国内対策を取っていくことを取り決めました。このCOP21での決定は、2013年から2014年にかけて公表されたIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に対する政府間パネル)のAR5(Assessment Report 5)をもとにした将来の地球気温の上昇と、それによる気候変動の予測に関し、論議・確認した結果です。

地球気温の上昇予測と対応

地球の気温上昇予測とその影響については、1988年に設立されたIPCCのもと、各国科学者や政策担当者が共同調査・研究を実施してきました。その間の研究・影響評価を踏まえた最新のレポートが、2013年から2014年にかけて報告されたのがAR5です。その中で検討された内容については、「3. IPCC AR5 概要」にて後述します。要点を表1に示します。

表1:緩和と地球気温予測(引用:環境省、気温変動2014 統合報告書 政策決定者向け要約表SPM.1、2014年、P.23)
シナリオ区分
(2100 年のCO2 換算 濃度(ppm CO2 換算))
細区分RCP
シナリオの相対的位置
2010 年比のGHG 排出量変化(CO2 換算、%)21 世紀中に特定の気温水準未満にとどまる可能性
(1850-1900 年比)
2050 年2100 年1.5℃2℃3℃4℃
430 未満430ppm 未満の水準について調査した個別のモデル研究は数が限られている
450
(430-480)
全体幅RCP2.6-72 ~ -41-118 ~ -78どちらかといえば可能性が低い
(50%未満)
可能性が高い(66%超)可能性が高い(66%超)可能性が高い(66%超)
500
(480-530)
530ppm をオーバーシュートしない -57 ~ -42-107 ~ -73可能性が低い(33%未満)どちらかといえば可能性が高い
(50%超)
530ppm をオーバーシュート -55 ~ -25-114 ~ -90どちらも同程度
(33~66%)
550
(530-580)
580ppm をオーバーシュートしない -47 ~ -19-81 ~ -59どちらかといえば可能性が低い
(50%未満)
580ppm をオーバーシュート -16 ~ 7-183 ~ -86
(580-650)全体幅RCP4.5-38 ~ 24-134 ~ -50
(650-720)全体幅-11 ~ 17-54 ~ -21可能性が低い(33%未満)どちらかといえば可能性が高い
(50%超)
(720-1000)全体幅RCP6.018 ~ 54-7 ~ 72可能性が低い(33%未満)どちらかといえば可能性が低い
(50%未満)
1000 超全体幅RCP8.552 ~ 9574 ~ 178可能性が低い(33%未満)可能性が低い(33%未満)どちらかといえば可能性が低い
(50%未満)

表2は、表1の内容を整理し、地球気温の状況と等価COの対2010年削減量と費用を示したものです。

表2:温顔化効果ガス(GHG)削減と地球気温上昇(引用:地球環境産業技術研究機構、IPCC最新報告および国際的な最新のシナリオ 分析動向を踏まえた長期の温室効果ガス 排出削減パスと中期の排出削減分担の分析 (概要)、2014年、P.11)
 産業革命以前比の全球平均気温上昇
(1986 ~ 2005 年比)
等価CO2 濃度2030 年GHG 排出(2010 年比)2050 年GHG 排出(2010 年比)CO2 限界削減費用
2100230021002300ピーク時20302050
450ppm CO2-eq
安定化シナリオ
1.7℃
(1.0℃)
1.8℃
(1.1℃)
450ppm450ppm450ppm▲55%▲71%1690
$/tCO2
2794
$/tCO2
2.0℃安定化_
気候感度3.0℃
1.9℃
(1.2℃)
1.9℃
(1.2℃)
500ppm460ppm505ppm
(2055 年)
▲10%▲42%49
$/tCO2
318
$/tCO2
2.0℃安定化_
気候感度3.0℃
(オーバーシュート)
2.0℃
(1.3℃)
1.8℃
(1.1℃)
500ppm445ppm530ppm
(2055 年)
+8%▲31%19
$/tCO2
171
$/tCO2
2.0℃安定化_
気候感度2.5℃
1.9℃
(1.2℃)
2.0℃
(1.3℃)
540ppm520ppm540ppm
(2125 年)
+2%▲19%31
$/tCO2
66
$/tCO2
2.5℃安定化_
気候感度3.0℃
2.3℃
(1.6℃)
2.5℃
(1.8℃)
550ppm535ppm550ppm
(2125 年)
+2%▲19%31
$/tCO2
66
$/tCO2
2.5℃安定化_
気候感度2.5℃
2.2℃
(1.5℃)
2.5℃
(1.8℃)
605ppm615ppm620ppm
(2220 年)
+22%+9%9
$/tCO2
25
$/tCO2
気候感度:GHG濃度が倍になった時の気温上昇
オーバーシュート:2100年に至るまでの途中の時期に (例えば2055年、一時的に)目標とする気温上昇をオーバーすること

この分析から分かることは、2100年に近年(1986年〜2005年)の平均気温より1℃気温が上がることを許容するケース(IPCC AR5のRCP2.6シナリオ)では、温室効果ガス(GHG:Green House Gas)の排出を2010年に対し、2030年には55%、2050年には71%に削減する必要があり、実現不可能とも考えられる過大な努力が必要です。一方、2100年に近年の平均気温より1.2℃程度上昇することを許容するケースでは、2050年に対2010年で40%程度のGHG排出削減で対応できます。

2050年くらいを考えれば、CO2排出の緩和だけを狙った技術開発のみではなく、増大するであろう気候変動災害や、熱中症をはじめ蚊・微生物などを媒介とする疾病への適応的方策の開発も、非常に重要ということになります。このとき、研究・技術開発は開発完了までに長い時間が必要なこと、成功時の効果は大きいが、成功の確率は必ずしも高くないことなどを考え、その目標は2100年の気温上昇を近年の気温に対し1℃上昇するケース(RCP2.6シナリオ)のGHG排出削減とすべきと考えられます。

2. 地球温暖化への対応技術および技術開発

技術開発、技術対応項目とスケジュール

地球気候変動への対応は、社会政策的対策を含め、「緩和策」と「適応策」の両面から対応を取る必要があります。両方とも技術的対応を中心に取り組みます。それらは中期的対応と長期的対応を組み合わせることと、特に研究的要素も含んだ長期的な研究的対応にも重点を置くことが重要です。

GHG排出対応における重点分野

技術開発事項・目標を考えるにあたって、まずGHG排出のシェアを見ていきます(表3)。表3における割合数値の大きさとエネルギー取扱い技術適用の単純さから、電力分野と運輸分野への取り組みが効果的で重要なことが分かります。また、電気の消費は、家庭・業務分野が多くを占めるため、それら分野における省エネ技術への取り組みも重要です。

表3:世界1次エネルギー2014年消費割合(%)(引用:Energy Outlook 2030、2013年)
 石油天然ガス石炭原発再生可能
エネルギー
合計
電力515 19.27955.2
産業6.195.5  20.6
運輸17.5    17.5
その他 1.4 5.3  6.7
合計30243079100

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3. IPCC AR5の概要

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