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環境汚染対策のための技術:大気汚染対策の基礎知識2

大気汚染対策の基礎知識

更新日:2016年9月2日(初回投稿)
著者:原技術士事務所 兼 化学工学会SCE・Net 原 晋一

前回は、大気環境問題の歴史と法律、大気汚染物質について、解説しました。今回は、環境汚染対策、処理位置の選択について、解説します。汚染物質の生成場所に対し、前の対応か、後の対応かを選択するのが重要です。環境汚染物質の処理と、その具体例として、重油燃料の燃焼と炭酸ガス捕集における対応を紹介します。

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1. 環境汚染物質の除去における処理

環境が汚染された状態は、自然環境に「汚染」物質が存在する状態だといえます。その汚染物質を除去するには、汚染物質を分離し、濃度を高くして分離、捕集、除去の操作をする必要があります。この操作はエントロピーを減少させることを意味し、そのためにはエネルギーの投入が必要となります。

そこで、できれば対象の汚染物質が濃縮状態にあり、反応変化を受ける前の状態で分離すれば、エネルギー投入をより少なくできます。このことを念頭に、各環境汚染物質の除去方法を、「前対応」と「後対応」に分けてまとめてみると、表1のようになります。

表1: 大気汚染物質の除去方法、「前対応」と「後方法」のまとめ
  汚染物質の生成原因 前(反応物)対応 後(生成物)対応 組み
合わせ
重要性などの評価
SOx 燃料中Sの燃焼酸化 石油、天然ガスの精製過程での脱硫 燃焼排ガスの排煙脱硫   両方の対応、同等
大規模では前対応経済性優位
NOx 大気中および燃料中窒素の燃焼酸化 石油中Nの精製過程での脱窒素 排煙脱硝
自動車排ガス脱窒素触媒
後対応は必須
VOC ガソリンや溶剤などの原料・製品からの揮発 原料・製品の特性に応じた規格制定と製品製造対応 原料・製品の密閉取り扱い
自動車排ガス再循環
後対応は必須
粒子状物質 粉砕作業や堆積物飛散 湿式粉砕など 貯蔵の密閉化、湿潤化 粒子発生状態に応じ対応
SPM 燃焼における未燃物や道路粉じんなど バーナー改善、耐摩耗タイヤ、スタッドレスタイヤなど 電気集じん、バグフィルター
自動車燃焼調整
  燃焼では後対応
道路粉じんには前対応
PM2.5 自動車排ガスにおけるCとSOxの化合物など ガソリン、軽油の超深度脱硫 エンジン燃焼調整
自動車排ガス浄化触媒
両方の対応必須
オキシダント VOC、NOx、紫外線で大気中で生成 VOC、NOxの前対応 VOC、NOxの後対応 両方の対応必須
ダイオキシン 塩素含有プラスチックスの不完全燃焼 塩素含有プラスチックスの製造停止 プラスチックス燃焼炉の高温燃焼化 後処理が有効
CFCなど 冷媒などの蒸発 CFC、HCFCの生産停止     処理では対応不可能
アスベスト 石綿建築材や保温材の飛散 生産禁止 防じんマスク   基本的には生産禁止

表1のように多くの場合、原料調整業種と最終製品生産業種が異なるため、前対応、あるいは反応物対応と後対応、あるいは反応生物対応の「組み合わせ」が必要で、業種間の最適化が必要です。特に新しい課題に対しては、業種間の総合的比較・調整が重要です。また大規模な活動に起因する場合、例えば石化燃料の燃焼に伴うSOxやNOx には、前対応が重要です。

化石燃料の燃焼においては、多くの経済的実績のもと、前対応と後対応の選択システムが既に確立しています。新しい課題に対しては、経済性が実績に基づき判明する前の考察に非常に意味があります。さらに、行政に任せることなく業種間、産業と行政間の考察が重要になります。

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2. 事例1: 重油燃料の燃焼における前対応と後対応

図1は、重油燃焼発電における、電力業での排煙脱硫と石油業による重油脱硫の比較です。同じ送電端発電量を得るのに、前対応の方が、原料の高硫黄重油の量が少なくて良いことが分かります。

これは、原料中の硫黄成分や窒素成分が水素化と反応し、容量が大きくなり、質量当たりの発熱量が高い石油製品に変わることが考えられます。熱力学的には前処理において、エントロピーの低い状態の硫黄物の除去が可能だということです。

しかし、脱硫率は、排煙脱硫は95%以上に対し、重油(直接)脱硫は94%程度と、重油脱硫の方が低くなっています。そのため、大規模発電においては、排出する硫黄酸化物の総量を低くする必要性から、排煙脱硫が多く採用されます。ただし、工業加熱炉などの比較的規模の小さい加熱炉の場合、燃料は低硫黄重油を使用するケースが多く見られます。このように実際には、エネルギー・物量的検討だけではなく、総合的な観点による対応の検討が必要です。

図1: 硫黄酸化物対策における後対応と前対応の比較

図1: 硫黄酸化物対策における後対応と前対応の比較

続きは保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

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3. 事例2: 炭酸ガス捕集における対応

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

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