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SPM・PM2.5・石綿の特徴や対応法:大気汚染対策の基礎知識4

大気汚染対策の基礎知識

更新日:2016年9月23日(初回投稿)
著者:原技術士事務所 兼 化学工学会SCE・Net 原 晋一

前回は、大気汚染の原因となる代表的な物質の特徴や対応法を紹介しました。今回はSPMやPM2.5など、健康に与える影響が大きい物質の特徴や対応法を、詳しく見ていきます。

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1. 粒子状物質の種類と性状

鉱山や石炭ボイラーの煙突からのばいじんや、セメント工場からの粉じんなどの公害問題は深刻な問題です。環境汚染物質としての用語も多くあり、1993年に制定された環境基本法で、浮遊粒子状物質と微小粒子状物質の2つの用語に集約されました。

大気に浮遊する粒子の粒径は大体10μm以下です。粒径分布は2μmと0.1μmに谷のある3つの山で形成されています。健康に与える影響が大きく、疫学的情報が多い2.5μm以下の粒子は微小粒子状物質(PM2.5)、粒径10μmから2.5μmの粒子は浮遊粒子状物質(SPM)とされています。大気汚染防止法では、燃焼にともない発生する粒子状物質を「ばいじん」、燃焼以外の過程から発生する粒子状物質を「粉じん」としました。粉じんについても石綿を「特定粉じん」とし、それ以外を「一般粉じん」と区別しています。

しかし粒子状物質は形状、性状や大気中での状態が大きく異なるので、実際には粒子状物質の発生形態による粒子状物資の区分が重要になります。例えば、排出がボイラーなどの場合は集じん操作で対応したり、自動車排ガスのような場合は排出ガスでの対応だけでなく、燃料での対応を行ったりします。セメントの生産、粉砕操作、粉の貯蔵・運搬などにおいては密閉対応が重要になります。粒子状物質の処理方法を計画する上では、発生形態の把握がより重要になるといえます。

粉じんの性状

粒子径:粉じんの粒子径は、集じん方法を選ぶ上で最も重要です。通常、粉じんは平均粒子径と粒子径分布で示されます。粒子径の分布は、下記の式となります。
      R = exp(-βdpn)
ここで、R:積算ふるい上分布(mass%)、dp:粒子径(m)、β:粒度特性係数
(m-n)、n:分布指数または均等度(-)です。 この式の二重対数を取れば、次の式となります。
      Log(-logR) = n(logdp – logβ)
この式を線図として、縦軸にlog(-logR)、横軸にlogdpを取り、各種粉じんのデータをプロットすると直線になります(図1)。このような線図を、ロジン・ラムラー線図(Rosin Rammler Chart)といいます。粒子径とふるい上積算分布の組み合わせのデータが、2セットあれば粒子径分布全体を知ることができます。同種の粉じんであれば1セットのデータで粒子径の分布の予測が可能となり、粒径を表すのによく使われます。

図1:各種粉じんの粒子径分布

図1:各種粉じんの粒子径分布(引用:金岡千嘉男・牧野尚夫、 はじめての集じん技術、日刊工業新聞、2013年、P.4)

見かけ電気抵抗率:大規模かつ集じん程度を高くする集じん操作の典型は、電気集じん機です。この操作性能に大きく影響する粉じんの性質が、見かけ電気抵抗率です。この値が低いと異常再飛散が起こり、高いと逆電離現象により集じん率が低くなります。

濃度:単位体積の気体中の粒子の質量は、集じん設備におけるフィルタの集じん面積や、電気集じん機における電極の面積や、電極間距離などに影響する物性です。工業的には10mg/m3から100g/m3の範囲です。

粒子径、粒子密度:重力や慣性力などによる集じん操作は、粒子の運動特性に影響されます。集じんは粒子自体の移動速度と周囲のガスの移動速度の差を作り、粒子を捕集する操作です。粒子の移動速度への粒子物性の関与が重要になります。粒子の移動速度は次の式で表されます。粒子の径や密度が集じん性能に影響します。

v = (CmFD)/(3πμmdp
ここで重力集じんの場合: FD=(π/6)dp3ρpg
   遠心力集じんの場合:FD = (π/6)dp3ρp(vθ2/R)
   電気集じんの場合: FD = qE

v:移動速度(m/s)、Cm:カニンガムの補正係数(-)、FD:ガスの抵抗力(N)、μm:ガス粘度(Pa・s)、dp:粒子径(m)、ρp:粒子密度(kg/m3)、g:重力の加速度(9.8m/s2)、vθ:円周方向粒子速度(m/s)、R:回転半径(m)、q:粒子の帯電量(C)、E:電界強度(V/m)

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2. 集じん装置の選定

各集じん装置の集じん率

集じんの方法は粒子径の大きさにより異なります。通常大気中を浮遊しない10μm以上の粒子径の大きい粉じんに対しては、重力沈降やルーバーによる慣性力を使います。それ以下の粒径の粉じんに対し90%以上の集じん率を得ようとする場合、通常はバグフィルタや電気集じん機が使われます。また、サイクロンやベンチュリースクラバー方式も使われます。各集じん装置の部分集じん効率が図2です。バグフィルタの難点は、集じん効率は高いのですが、使用可能温度が250℃と比較的低いことと、圧力損失が1.0kPa〜2.0kPaと高いことです。

図2:各集じん装置における部分集じん効率

図2:各集じん装置における部分集じん効率(引用:化学工業会 東海支部、化学工学の進歩28 流体・粒子系分離、1994年)

集じん装置の種類と特徴

集じん操作には大別して3つの方式があります。1つ目は、粒子に掛かる「力のみ」で粒子の捕集を行うものです。重力沈降法やルーバーやサイクロンでガスと、粒子の移動方向を変える方法があります。2つ目は、力と障害物によるものです。スクラバーのような水滴に衝突させる方法です。3つ目は、障害物のみによる方法です。バグフィルタやセラミックフィルタが主たる方法です。なお、電気集じん機は1つ目の原理を利用したものです。設備費用や運転費用は、重力の利用方式が安く、障害物利用方式は高くなります。なお、同じ力を利用する方式でも、電気集じん機はコスト的には一番高くなります。

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3. 排ガス(PM2.5)の対策

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

4. 特定粉じん(石綿)の対策

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

5. 有害大気汚染物質の種類と対策

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

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