地球気候変動への対応についての現状を知ろう!
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地球気候変動への対応:大気汚染対策の基礎知識5

大気汚染対策の基礎知識

更新日:2016年9月30日(初回投稿)
著者:原技術士事務所 兼 化学工学会SCE・Net 原 晋一

前回は、PM2.5やSPMなど、健康に与える影響が大きい物質の特徴や対応法を解説しました。最終回の今回は、大気に放出された二酸化炭素が原因である、気温上昇による地球気候変動への対応を、詳しく見ていきます。

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1. 地球環境変動予測に対する考え方

COP21およびIPCC AR5

2015年12月パリで、第21回地球環境変動枠組み条約締約国会議(COP21)が開かれました。「世界の平均気温上昇を、産業革命以前の気温に対し2℃上昇より十分低く保つとともに、1.5℃上昇に抑える努力を追求すること」に向け、全ての国が排出量削減目標を作り提出すること、それを達成するための国内対策を取っていくことを取り決めました。このCOP21での決定は、2013年から2014年にかけて公表されたIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に対する政府間パネル)のAR5(Assessment Report 5)をもとにした将来の地球気温の上昇と、それによる気候変動の予測に関し、論議・確認した結果です。

地球気温の上昇予測と対応

地球の気温上昇予測とその影響については、1988年に設立されたIPCCのもと、各国科学者や政策担当者が共同調査・研究を実施してきました。その間の研究・影響評価を踏まえた最新のレポートが、2013年から2014年にかけて報告されたのがAR5です。その中で検討された内容については、「3. IPCC AR5 概要」にて後述します。要点を表1に示します。

表1:緩和と地球気温予測(引用:環境省、気温変動2014 統合報告書 政策決定者向け要約表SPM.1、2014年、P.23)
シナリオ区分
(2100 年のCO2 換算 濃度(ppm CO2 換算))
細区分 RCP
シナリオの相対的位置
2010 年比のGHG 排出量変化(CO2 換算、%) 21 世紀中に特定の気温水準未満にとどまる可能性
(1850-1900 年比)
2050 年 2100 年 1.5℃ 2℃ 3℃ 4℃
430 未満 430ppm 未満の水準について調査した個別のモデル研究は数が限られている
450
(430-480)
全体幅 RCP2.6 -72 ~ -41 -118 ~ -78 どちらかといえば可能性が低い
(50%未満)
可能性が高い(66%超) 可能性が高い(66%超) 可能性が高い(66%超)
500
(480-530)
530ppm をオーバーシュートしない   -57 ~ -42 -107 ~ -73 可能性が低い(33%未満) どちらかといえば可能性が高い
(50%超)
530ppm をオーバーシュート   -55 ~ -25 -114 ~ -90 どちらも同程度
(33~66%)
550
(530-580)
580ppm をオーバーシュートしない   -47 ~ -19 -81 ~ -59 どちらかといえば可能性が低い
(50%未満)
580ppm をオーバーシュート   -16 ~ 7 -183 ~ -86
(580-650) 全体幅 RCP4.5 -38 ~ 24 -134 ~ -50
(650-720) 全体幅 -11 ~ 17 -54 ~ -21 可能性が低い(33%未満) どちらかといえば可能性が高い
(50%超)
(720-1000) 全体幅 RCP6.0 18 ~ 54 -7 ~ 72 可能性が低い(33%未満) どちらかといえば可能性が低い
(50%未満)
1000 超 全体幅 RCP8.5 52 ~ 95 74 ~ 178 可能性が低い(33%未満) 可能性が低い(33%未満) どちらかといえば可能性が低い
(50%未満)

表2は、表1の内容を整理し、地球気温の状況と等価COの対2010年削減量と費用を示したものです。

表2:温顔化効果ガス(GHG)削減と地球気温上昇(引用:地球環境産業技術研究機構、IPCC最新報告および国際的な最新のシナリオ 分析動向を踏まえた長期の温室効果ガス 排出削減パスと中期の排出削減分担の分析 (概要)、2014年、P.11)
  産業革命以前比の全球平均気温上昇
(1986 ~ 2005 年比)
等価CO2 濃度 2030 年GHG 排出(2010 年比) 2050 年GHG 排出(2010 年比) CO2 限界削減費用
2100 2300 2100 2300 ピーク時 2030 2050
450ppm CO2-eq
安定化シナリオ
1.7℃
(1.0℃)
1.8℃
(1.1℃)
450ppm 450ppm 450ppm ▲55% ▲71% 1690
$/tCO2
2794
$/tCO2
2.0℃安定化_
気候感度3.0℃
1.9℃
(1.2℃)
1.9℃
(1.2℃)
500ppm 460ppm 505ppm
(2055 年)
▲10% ▲42% 49
$/tCO2
318
$/tCO2
2.0℃安定化_
気候感度3.0℃
(オーバーシュート)
2.0℃
(1.3℃)
1.8℃
(1.1℃)
500ppm 445ppm 530ppm
(2055 年)
+8% ▲31% 19
$/tCO2
171
$/tCO2
2.0℃安定化_
気候感度2.5℃
1.9℃
(1.2℃)
2.0℃
(1.3℃)
540ppm 520ppm 540ppm
(2125 年)
+2% ▲19% 31
$/tCO2
66
$/tCO2
2.5℃安定化_
気候感度3.0℃
2.3℃
(1.6℃)
2.5℃
(1.8℃)
550ppm 535ppm 550ppm
(2125 年)
+2% ▲19% 31
$/tCO2
66
$/tCO2
2.5℃安定化_
気候感度2.5℃
2.2℃
(1.5℃)
2.5℃
(1.8℃)
605ppm 615ppm 620ppm
(2220 年)
+22% +9% 9
$/tCO2
25
$/tCO2
気候感度:GHG濃度が倍になった時の気温上昇
オーバーシュート:2100年に至るまでの途中の時期に (例えば2055年、一時的に)目標とする気温上昇をオーバーすること

この分析から分かることは、2100年に近年(1986年〜2005年)の平均気温より1℃気温が上がることを許容するケース(IPCC AR5のRCP2.6シナリオ)では、温室効果ガス(GHG:Green House Gas)の排出を2010年に対し、2030年には55%、2050年には71%に削減する必要があり、実現不可能とも考えられる過大な努力が必要です。一方、2100年に近年の平均気温より1.2℃程度上昇することを許容するケースでは、2050年に対2010年で40%程度のGHG排出削減で対応できます。

2050年くらいを考えれば、CO2排出の緩和だけを狙った技術開発のみではなく、増大するであろう気候変動災害や、熱中症をはじめ蚊・微生物などを媒介とする疾病への適応的方策の開発も、非常に重要ということになります。このとき、研究・技術開発は開発完了までに長い時間が必要なこと、成功時の効果は大きいが、成功の確率は必ずしも高くないことなどを考え、その目標は2100年の気温上昇を近年の気温に対し1℃上昇するケース(RCP2.6シナリオ)のGHG排出削減とすべきと考えられます。

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2. 地球温暖化への対応技術および技術開発

技術開発、技術対応項目とスケジュール

地球気候変動への対応は、社会政策的対策を含め、「緩和策」と「適応策」の両面から対応を取る必要があります。両方とも技術的対応を中心に取り組みます。それらは中期的対応と長期的対応を組み合わせることと、特に研究的要素も含んだ長期的な研究的対応にも重点を置くことが重要です。

GHG排出対応における重点分野

技術開発事項・目標を考えるにあたって、まずGHG排出のシェアを見ていきます(表3)。表3における割合数値の大きさとエネルギー取扱い技術適用の単純さから、電力分野と運輸分野への取り組みが効果的で重要なことが分かります。また、電気の消費は、家庭・業務分野が多くを占めるため、それら分野における省エネ技術への取り組みも重要です。

表3:世界1次エネルギー2014年消費割合(%)(引用:Energy Outlook 2030、2013年)
  石油 天然ガス 石炭 原発 再生可能
エネルギー
合計
電力 5 15  19.2 7 9 55.2
産業 6.1 9 5.5     20.6
運輸 17.5         17.5
その他  1.4   5.3     6.7
合計 30 24 30 7 9 100

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3. IPCC AR5の概要

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