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静定梁の応力計算:建築構造力学の基礎知識5

建築構造力学の基礎知識

更新日:2021年10月8日(初回投稿)
著者:近畿大学 工学部 建築学科 教授 大田 和彦

前回は、応力の種類とその求め方を紹介しました。今回は、静定梁(せいていばり)の応力計算例と、具体的な解き方を解説します。応力計算では、(1)反力を求める、(2)応力を求める、(3)応力図を作成するという一連の作業を行います。本稿では主に、(2)と(3)について解説します。(1)については、本連載の第3回を参照してください。また、静定梁の応力を求める際、それが単純梁であるか、片持ち梁であるかは、大きな問題になりません。しかし、荷重の違いは、学び初めの人には分かりにくいかもしれません。本稿では、単純梁と片持ち梁の違いにも着目し、解き方を説明します。

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1. 集中荷重が加わる場合

集中荷重とは、力が一点に集中した荷重のことをいいます。応力計算では、(1)反力を求める、(2)応力を求める、(3)応力図を作成するという一連の作業を行います。初めに、集中荷重が作用する片持ち梁と単純梁の応力計算を解説します(図1)。

図1:集中荷重を受ける梁とその反力

図1:集中荷重を受ける梁とその反力

最初の作業は反力計算です。実際に反力計算を行うと、それぞれ図1に示す反力になります。読者の皆さんは、反力計算を行ってみてください(分からない場合は、第3回を参照してください)。

反力計算ができたら、図中に示すように、元の問題に正しい反力の大きさと向きを書き込んでください。このとき、3つの釣り合い方程式が満たされているかを確認してください。応力計算では、これらの図から片持ち梁の自由端側から解くときは反力計算を必要としません。ただし、それ以外の支点から解くときは、反力計算が必要であることが分かります。

・片持ち梁の応力計算
それでは、図2に示す片持ち梁の応力計算を行いましょう。

図2:片持ち梁の例

図2:片持ち梁の例

まず、要素AB上の任意点で切断します(図3)。また、集中荷重は傾いて作用しているので、あらかじめ分力を求めておきます。片持ち梁は2つの構造体に分解され、切断点に図3に示すような応力を描きます。ここでは、梁の左側の構造体と右側の構造体を示しています。実際には、どちらかの構造体について解くことになります。

図3:集中荷重を受ける片持ち梁の応力計算

図3:集中荷重を受ける片持ち梁の応力計算

このとき、作用する応力の向きは、微小片に書き込んだ正の応力の向きの反対向きになります(第4回参照)。

分解された構造体に対して3つの釣り合い条件式を立てると、軸方向力(N)、せん断力(Q)と曲げモーメント(M)を得ることができます。曲げモーメントは、軸方向力やせん断力を考慮しなくて済むように、切断点に関してモーメントの釣り合い式を立てます。左側の構造体について解いても、右側の構造体について解いても、結果は同じであることが分かります。応力図を描くと図4になります。軸方向力とせん断力は、距離xに関して一定です。

図4:集中荷重を受ける片持ち梁の応力図

図4:集中荷重を受ける片持ち梁の応力図

一方、曲げモーメントは距離xの1次関数、すなわち直線です。直線の場合はどこか2点(普通は始点と終点)の値を求めて直線を引きます。図3の右側の構造体の場合、原点をBに置いているので、左側の構造体のときと始点と終点が反対になります。また、曲げモーメントは負値なので、梁の上側に図を描きます。

曲げモーメント(M図)に関しては、梁の場合、通常は応力の向きを図5の左の構造体に示すように仮定します。ただし、右の構造体のように、逆にしても解くことはできます。

図5:曲げモーメントの計算と応力図

図5:曲げモーメントの計算と応力図

この場合、曲げモーメントは正値になります。しかし、梁の上側を正と仮定しているため、図は上側に描くことになります。符号は正負反対になるものの、曲げモーメント図を描く側は変わりません。それ故、通常、曲げモーメント図には符号を付けません。

・単純梁の応力計算
次に、図6に示す単純梁の応力計算を行いましょう。

図6:単純梁の例

図6:単純梁の例

この問題では、集中荷重の加力点位置を境に、AC間とCB間に分ける必要があります(図7)。

図7:集中荷重を受ける単純梁の応力計算

図7:集中荷重を受ける単純梁の応力計算

このような区間分けは、外力(荷重・反力)が不連続になるときに行います。AC間では図7の左側の構造体になります。

構造力学では、左側から解くのが一般的です。しかし、CB間では左側(A点)から解くと集中荷重を含むので、力の釣り合い条件式が複雑になります。そこで、図7の右側の構造体を考えます。それぞれの構造体について、3つの釣り合い条件式を立てて解くと、応力図は図8のように描くことができます。

図8:集中荷重を受ける片持ち梁の応力図

図8:集中荷重を受ける片持ち梁の応力図

2. 分布荷重が加わる場合

分布荷重とは、広い接触面をもつ荷重のことをいいます。均一に荷重が分布する等分布荷重が作用する単純梁を解きましょう(図9)。反力計算をすると、図中に示すような反力になります。

図9:分布荷重を受ける単純梁とその反力

図9:分布荷重を受ける単純梁とその反力

ピン支点(A点)の水平反力はゼロなので、この梁には軸方向力は作用しません。このように、通常、梁には軸方向力は生じないため、省略します。また、図6の単純梁の問題と同様に、C点では荷重が不連続なので、AC間とCB間で区間分けを行い、図7と同様に解いていきます。AC間では図10の左側の構造体に、CB間では図10の右側の構造体になります。

図10:分布荷重を受ける単純梁の応力計算

図10:分布荷重を受ける単純梁の応力計算

それぞれの構造体について、3つの釣り合い条件式を立てて解くと、応力図は図11のように描けます。

図11:分布荷重を受ける単純梁の応力図

図11:分布荷重を受ける単純梁の応力図

AC間の曲げモーメントは距離xに関して2次曲線、すなわち下に凸の放物線です。下に凸の曲線になる理由は、図12を参照してください。片持ち梁に等分布荷重が作用しているとき、下に凸の曲線になります。また、せん断力は距離xに関して1次関数、すなわち直線になります。そして、このせん断力がゼロになる点で曲げモーメントは最大値になります。なぜなら、せん断力の関数は曲げモーメントの導関数であるからです。

図12:分布荷重による曲げモーメント図

図12:分布荷重による曲げモーメント図

3. モーメント荷重が加わる場合

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