メニュー

木質バイオマス発電:バイオマスの基礎知識2

バイオマスの基礎知識

更新日:2020年1月14日(初回投稿)
著者:公立鳥取環境大学 環境学部 特任教授 横山 伸也

前回は、バイオマスの基礎を説明しました。今回は、木質バイオマス発電について解説します。木質バイオマスは乾燥した固体であり、昔から薪や炭として燃料に使われてきました。石炭と同様に、燃焼熱により水を沸騰させて、タービンを回転して発電することができます。木質バイオマス発電は、石炭に比べて単位重量当たりの発熱量が低く、かつ小規模なので、化石燃料に比べて発電コストが高くなります。この問題を解決するために、再生可能エネルギー固定価格買取制度(Feed-in-Tariff:以下FITと略)が導入されました。バイオマス発電の現状やFIT制度の課題などについて取り上げます。

今すぐ、技術資料をダウンロードする!(ログイン)

1. バイオマス発電の現状

2012年に施行されたFIT制度により、木質バイオマス発電も注目され、現在まで約200ケ所でプラントが稼働しています。天然ガス、石炭、石油を原料とする火力発電に比べると、大量の原料を集めることが容易ではありません。このような理由で国内では、設備規模は最大でも10万kW程度にとどまっています。設備規模が5,000kW前後のプラントが多く、この規模でも年間で6万t程度の木材が必要となります。この規模では、火力発電方式と同様に、蒸気タービンで発電機を駆動して発電します。

これに対して、発電規模が1,000kW以下の場合には、蒸気タービン方式では効率が低過ぎるので、多くの場合ガス化発電方式をとります。すなわち、バイオマスを可燃性ガスにガス化し、これをガスエンジンあるいはガスタービンに導入して発電を行います。ヨーロッパや北米では、ガス化発電システムが多く稼働しています。しかし、日本では長期間にわたって安定した発電を行っているケースが少ないのが現状です。

ガス化炉には多様な種類があります(図1)。日本で小型ガス化炉は多くの場合、構造が比較的簡単であるために、固定床のダウンドラフト型(並流型)とアップドラフト型(向流型)と呼ばれるガス炉が使われています。

図1:ガス化炉の種類と特徴

図1:ガス化炉の種類と特徴

ダウンドラフト型は、バイオマスとガス化剤が同じ方向から供給されます。タールは酸素と一緒に温度の高い領域に到達し、ここでタールが容易に燃焼されて1,000℃から1,400℃に達します。このため、ダウンドラフト型のガス化炉はタール副生が少なくなります。しかし、実際にはダウンドラフト型であっても完全なタールフリーとはならないので、タール処理が必要となります。タール分は後段のガスエンジンやガスタービンのトラブルの原因になり、メンテナンスコストが高くなります。

アップドラフト型では、ガス化炉の上部からバイオマスが供給され、空気や水蒸気などのガス化剤は底部から吹き込まれます。生成したガスは上部から排出され、固体の灰分は底部に残ります。炉の上部から降りてくるチャー(未燃炭素と灰分からなる微小、粒子)と空気が反応して燃焼するので、火床近くの温度が一番高くなります。ガスは上部に移行し、低温領域で(200℃~500℃)バイオマスと接触します。一次発生タールはこの温度領域で生成することになります。低温領域なので、タールはこれ以上分解されることなく系外に排出されます。このために、アップドラフト型のガス化炉は、原料の10%から20%程度のタールを排出することになります。

この他、流動床型、噴流床型、ロータリーキルン型があります。流動床型は小型には不向きなこと、噴流床型は原料を粉砕するためコストが高いこと、ロータリーキルン型はタール処理に大きなエネルギーを要することなどの課題が残っています。

2. FIT制度

現在、FIT制度によりバイオマス発電による電気は、一定の価格で取り引きされています。表1は、現時点での買取価格です。一般木材などバイオマス発電(10,000kW未満)については1kWh当たり24円(税抜き)で、10,000kW以上およびバイオマス液体燃料(全規模)の買取価格は、入札により決定されることになりました。制度導入当初は、パーム油のような輸入材が発電に供されることは予想されていなかったと思われます。

しかし、さまざまな状況の変化により新たな事態が起きています。輸入材は国産資源と異なり、国内の林業活性化などには寄与しないものの、化石資源依存度を低下できるなど、それなりの効用があります。単に禁止するのではなく、何らかの妥協が必要と考えます。

表1:平成31年度のバイオマス発電による買取価格と調達期間

表1:平成31年度のバイオマス発電による買取価格と調達期間

FIT制度では、木質バイオマスの発電コストは従来の火力や原子力による発電コストより高くなり、この分はエンドユーザーである消費者が負担することになります。バイオマス発電は、太陽光、風力、水力などと異なり、原料である木質バイオマスを購入するのが一般的です。図2は、木質バイオマス発電コストの内訳の一例です。

図2:木質バイオマス発電の原価コスト

図2:木質バイオマス発電の原価コスト

図から明らかなように、コストの約3分の1が原料コストとなっており、非常に高い割合になっていることが分かります。逆にいえば、国内産の木質バイオマスを使う限り、この分は林業経営者の収入になるということです。従来であれば、間伐しても利用されないとか、搬出費用が高いので切り捨て間伐材として未利用のまま放置されていたものが、有効利用されることになります。結果として、林業の活性化、雇用の促進、森林保全、ひいては二酸化炭素吸収源の増大となり地球温暖化防止策にもなります。

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

3. 今後の課題

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

  • セミナー1月
  • カタログバナー
  • 販促_無料出展

ピックアップ記事

tags

  • 特集バナー0114_01
  • 特集バナー0114_02
  • 特集バナー0114_03
  • 特集バナー0114_04
  • 特集バナー0114_05
  • 特集バナー0106_01
  • 特集バナー0106_02
  • 特集バナー0106_03
  • 基礎知識一覧