メニュー

ろう付けの方法とろう付け部の欠陥:ろう付けの基礎知識7

ろう付けの基礎知識

更新日:2018年12月20日(初回投稿)
著者:東海大学 工学部 材料科学科 教授 宮沢 靖幸

前回は、ろう付けの一般的な継手形状や隙間について、解説しました。これまでの内容は、ろう付けの原理や技術的な基礎でした。今回は、いよいよ最終回。ろう付けの健全な継手を得るコツや、ろう付けの具体的な手順、そしてろう付けの将来的視野を科学的な視点で紹介します。

今すぐ、技術資料をダウンロードする!(ログイン)

1. ろう付けの手順

ろう付けは、被接合材(部品)を金属材料でつなぐ技術です。モノづくりで使われる被接合材を理解して、ろう付けをする必要があります。ろう付けの手順は、受入・検査、前処理、部品の組立、フラックス塗布、加熱、ろう材供給、冷却、取出し、後処理、検査、検数・出荷に分かれています(表1)。

表1:ろう付け手順と各工程の内容
工程工程の名称備考
1受入・検査数量・品質のチェック。不良品を取り除く
2前処理脱脂・洗浄
3部品の組立冶具が必要。セルフジグが望ましい
4フラックス塗布 
5加熱加熱源の選択も重要
6ろう材供給 
7冷却 
8取り出し目視検査
9後処理洗浄、熱処理、めっき処理
10検査欠陥、不良検出
11検数・出荷数量、品質のチェック

まずは、受入・検査で部品受領時の確認作業が重要です。最初に、部品形状や表面状態などに問題がないことを確認します。形状不良や表面の傷や酸化などは、ろう付け不良の原因となります。部品の形状不良は、隙間のばらつきにつながりやすく、ろう付けの仕上がりに影響します。表面の傷は、溶融ろう材の不均質なぬれを誘発し、これも仕上がりに影響します。不良品を取り除くことが、健全なろう付け体を得るための近道です。その後、前処理、部品の組立を経て、フラックスを塗布し、ろう材を添付して加熱します。一連の作業でポイントとなるのは、継手設計、母材、ろう材、加熱源、保護雰囲気およびフラックスの5要素です。この5要素を十分に理解し、それらを考慮した適切なろう付け条件を設定できれば、失敗することはありません。また、ろう付けに向いている母材は少ないので、母材構成元素の挙動を把握し、適切なろう付け条件を設定する必要があります。

2. ろう付け部の欠陥と検査方法

ろう付けの手順通りに行っても、ろう付け部に欠陥が生ずる場合があります。ろう付け部に形成される欠陥とその検査・評価方法について説明します。表2は、ろう付け部に形成される代表的な欠陥です。ろう材層では、ボイドや割れなどが起こりやすく、母材部分では、割れや腐食などが起こりやすいです。外観では、過熱による継手外部へのろう材の流出や、ろう材量の不足によるフィレットの未形成、フラックスの不足や雰囲気不良によりろう材の酸化が起こりやすくなっています。水素、硫黄、リンなどが原因で金属組織のぜい化が生ずる場合があります。また、応力腐食割れや界面での合金相形成による割れの発生の可能性があります。欠陥の種類は多様で、ろう付け継手部を外側から目視で確認することは簡単ではありません。欠陥は3次元形状の場合が多く、近年では、全体を把握するためにX線CT(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影)の利用が増えてきています。

表2:ろう付け時に発生する欠陥
発生箇所欠陥の種類ろう付け中に
発生
ろう付け後に
発生
備考
ろう材層ボイド、ろう回り不良 ろう材の添付量に注意、継手の形状に依存する
微細欠陥  
割れ 界面腐食が原因の場合もある
母材割れ応力割れ、応力腐食割れなど
結晶粒のぜい化 結晶粒の粗大化
腐食 全面腐食、孔食など部分腐食
外観継手外部への
ろう材の流出
 過熱による場合が多い
フィレットの未形成 ろう材量の不足
ろう材の酸化 フラックスの不足、雰囲気不良
フラックス残さ
による腐食
 吸湿性の場合、腐食や絶縁不良が生じる
金属組織水素ぜい化 タフピッチ銅
炭化物の析出 オーステナイトステンレス鋼、鋭敏化
応力割れ はんだぜい性、ステンレス鋼
硫黄ぜい化 Ni、Ni基合金
リンぜい化 FeやNiがPと反応
界面腐食 オーステナイトステンレス鋼
応力腐食割れ オーステナイトステンレス鋼
界面の合金相の形成 

欠陥は、ろう付け中に発生する場合が多く、形成メカニズムや発生原因を特定できないこともあります。現状では、現場の技術者が経験に基づき対策を打っています。今後は、欠陥形成メカニズムを明らかにし、欠陥を低減していくこと求められています。比較的よくあるのが、ろう付け部に発生するボイドです。ろう材層中に発生したボイドは、外観から発見しにくいため、対応が難しい欠陥です。ボイドの原因は、溶融ろう材の動きや母材、フラックスから発生するガスや不均質な隙間などと推測されています。決定打となる詳細な形成メカニズムは、まだ明らかにされていません。一般的に、炉内を真空にしてろう付けすると、ボイド量を減らすことができます。生産コストの問題から、必ずしも、炉内を真空にしてろう付けができるとは限りません。

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

  • セミナー1月
  • 販促_無料出展

ピックアップ記事

tags

  • 特集バナー0107_01
  • 特集バナー0107_02
  • 特集バナー0107_03
  • 特集バナー0107_04
  • 基礎知識一覧