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CAEとは?:CAEの基礎知識1

CAEの基礎知識

更新日:2018年10月24日(初回投稿)
著者:ものつくり大学 名誉教授・野村CAE技術士事務所 野村 大次

CAEとは、Computer Aided Engineeringの略で、コンピュータを活用した解析・設計統合の概念であり、これらを行うツールの名称でもあります。現在のモノづくりにおいて、新製品開発、製品の高効率化・高信頼性化、設計の合理化、トラブルシューティングなどのために広く活用されています。この連載では、CAEソフトウェアを用いた解析に焦点を当て、機械系CAE解析の手法の一つである有限要素法(Finite Element Method、FEM)解析を解説していきます。今回は、CAEの概要や歴史、利用のメリット、習得に必要なことを説明します。

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1. CAEとは?

CAEとは、Computer Aided Engineeringの略で、コンピュータを活用した解析・設計統合の概念であり、これらを行うツールの名称です。現在、機械設計者向けCAEとして、3次元CADからCAEを呼び出して解析するソフトウェアが普及しています。CAEソフトウェアの利用は簡単ですが、より良い設計をするために、機械設計者はCAEソフトウェアを使いこなす必要があります。図1は、CAEを構成する技術的要素の概念図です。CAEシステムは、CAD中間ファイルを介して、3次元CADソフトウェアと連携しています。

図1:CAEの構成要素の概念図

図1:CAEの構成要素の概念図

そもそもCAEという言葉は、1970年代に米国SDRC社の創業者Dr. Jason R. Lemmonが提唱したMCAE(Mechanical Computer Aided Engineering、コンピュータを活用した解析・設計統合の概念)が原点です。Lemmonは、これを具現化するために、既に開発されていたCADと、1956年に発表され実用化されてきていたFEMを統合した画期的なソフトウェアI-DEAS(Integrated Design and Engineering Analysis Software)を1982年に世に出しました。その後、CAEソフトウェアが発展し、CAEはCAEソフトウェアを利用した解析そのものを指すようになりました。なお、I-DEASは、複数回の企業の買収や統合を経て、現在でもその名前が残るソフトウェアが販売されています。

2. CAEのメリット

CAEを使うメリットは、開発コスト・時間の短縮、試作実験に頼らず評価できること、大規模・複雑な解析ができることの3つです。それぞれを解説します。

図2:CAEのメリット

図2:CAEのメリット

・開発コスト・時間の短縮

CAEは、コンピュータ上でモデルを作り、シミュレーションによって計算結果を評価します。試作実験を繰り返して製品開発する方法に比べて、開発コスト・時間を大幅に短縮することができます。現在では、CAEと融合した3D CADシステムがあり、上流から下流までの設計・解析・試作を、同時並行で行うコンカレントエンジニアリングが可能です。

・試作実験に頼らず評価できる

試作実験で応力を評価する場合、ひずみゲージ(ストレインゲージ)を使います。測定できる値は、ひずみゲージを貼った位置における応力の値です。測定する回数も限定されており、測定器や測定者による誤差も多く含まれます。それに対してCAEでは、試作機全体の変形や応力など、外から見えない位置やひずみゲージの貼れない位置の値も知ることができます。動解析なら、時刻ごとの値も分かります。また、試作実験ができないような大規模・複雑・危険な開発案件は、CAEでしか評価できません。

・大規模・複雑な解析ができる

従来、大規模・複雑なモデルでは、解析に多大な時間を要していました。現在は、コンピュータの計算能力の急速な発達と数値解析技術の高度化により、大規模・複雑なモデルでも、より短い時間で高精度な結果を得られるようになりました。

3. CAE習得に必要なこと

設計者向けCAEは、CADの一部となり、ブラックボックス化が進んでいます。設計者が自信を持ってCAEを活用するためには、ブラックボックスの中の理解も欠かせません。CAEを習得するために必要なのは、工学系の基礎科目の習得、有限要素法(FEM)の基礎理論の学習、CAEソフトウェアの操作、CAEプログラムの理解の4つです。

図3:CAE習得に必要なこと

図3:CAE習得に必要なこと

・工学系の基礎科目の習得

CAEを用いて構造解析、動解析、熱解析、流体解析を行うためには、大学の工学部機械系学科で学ぶような材料力学、機械力学、熱(伝熱)力学、流体力学の基礎科目を理解する必要があります。CAEの解析結果の評価には、必須の知識です。しっかりと身に付けておきましょう。

・FEMの基礎理論の学習

工学系の基礎科目の知識をベースとして、FEMの解析理論を学習します。独学だけでなく、CAEソフトウェアの会社が実施するFEMの基礎セミナーも利用しましょう。ウェブサイト上のCAEに関する情報も、探してみましょう。

・CAEソフトウェアの操作

多くのCAEソフトウェアでは、PCの画面からプリプロセッサ(入力)、解析ソルバー(計算)、ポストプロセッサ(出力)を起動し、操作します。ソルバーへの入出力ファイルを読めるようになれば、柔軟に入力データを作成したり、的確に出力を評価することができます。

・CAEプログラムの理解

FEMに関する書籍の中には、独自プログラムのソースプログラムと、解説が付いているものがあります。このような書籍を使って、市販のCAEソフトウェアの動きを間接的に理解することができます。

いかがでしたか? 今回は、CAEの概要や歴史、利用のメリット、習得のために必要なことを解説しました。次回は、有限要素法(FEM)の原理について説明します。お楽しみに!

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