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有限要素法と他数値解法との比較:CAEの基礎知識4

CAEの基礎知識

更新日:2018年12月19日(初回投稿)
著者:ものつくり大学 名誉教授・野村CAE技術士事務所 野村 大次

前回は、有限要素法が収束性するための条件と、誤差の発生要因を解説しました。今回は、CAEでの数値解法としてよく用いられる有限要素法と、他数値解法との比較として、有限差分法と境界要素法を取り上げ、それぞれの特徴を解説します。

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1. 有限差分法

米国の工学者S. P. ティモシェンコは、2次元弾性問題への有限差分方程式の適用は、1908年のドイツの数学者C. ルンゲによるねじり問題が最初だと述べています(参考:S.P.Timoshenko、J.N.Goodier:Theory of Elasticity、Appendix、McGraw-Hill、1951年)。差分法は、偏微分方程式の最も古い数値解法です。

・有限差分法とは

有限差分法とは、熱伝導や軸のねじれなど、対象とする物理現象を代数方程式で表し、これを解いて解を求める数値解法です。解析対象領域を格子状に分割し、各格子点での差分方程式から温度や応力関数などの未知パラメータに関する連立方程式を構成します。これに境界条件を適用して解けば、格子点での関数値が求まります。図1に有限差分法での分割例を示します。この例では、境界上の点が格子上にのらないので、特別な処理が必要になります。

図1:有限差分法の分割例

図1:有限差分法の分割例

有限差分法による解析の例として、図2に示す格子状にメッシュが切られた矩形領域での温度分布を考えます。

図2:差分法の格子メッシュ

図2:差分法の格子メッシュ

定常熱伝導解析の問題なので、数学的には下記のポアソン方程式で表します。

ポアソン方程式

ここで、λは熱伝導率、Qは単位体積当たりの熱発生率であり、Tは温度です。微分方程式を代数方程式とするため、微分商を差分商へ置き換えます。1階の微分商は、次式で表されます。

1階の微分商

これを用いて、2階微分商は次式となります。

2階微分商

上式を、Δx=Δy=hとし、xとy方向を考慮して、ポアソン方程式に代入すると、次式となります。

ポアソン方程式

領域内部の全格子点を行列的に重ね合わせ、領域境界での格子点を境界条件である温度指定・断熱・熱流速などを考慮して連立方程式を解けば、全格子点の温度が求まります。

この例で、差分法は支配偏微分方程式の微分を、差分に置き換えただけの非常にシンプルなものと捉えることができます。正確には、微分商の差分商へ置き換えを、関数Tのi点周りのテーラー展開を使って導くことで表すことができます。

差分法は、支配微分方程式の微分を直接差分で近似する方法であり、数学的にも明快で誤差評価も容易です。しかし、複雑な形状の場合は、境界の取り扱いに難点があります。複雑な境界上では、階段状の格子になってしまいます。境界上の格子間隔を小さくすることもできますが、規則的な配置とする必要があるので、境界から遠く離れた領域にも影響が及びます。

・時間領域の差分法

CAEには、時間に伴う変化を扱う解析も多くあります。例えば、動解析における過渡応答解析や、熱解析での非定常熱伝導解析などです。これらの問題の時間領域では、主に差分法が用いられます。

過渡応答解析とは、構造物の運動方程式を時刻歴で時間積分し、時間刻みでその動的な挙動を追跡する解析です。空間離散化後は微分の変数は時間だけになるので、微分は常微分になります。運動方程式は、{}で囲ったものをベクトル、[]で囲ったものを行列とすると、有限要素法では次式で表されます。

運動方程式

[M]、[C]、[K]はそれぞれ質量、粘性、剛性マトリックスで、Fは荷重ベクトルです。一般に、荷重ベクトルは時間の関数です。上式の時間に関する数値解法には、中央差分法を初めとして、線形加速度法、ニューマークのβ法などがあります。(参考:戸川隼人、サイエンスライブラリ情報電算機33有限要素法による振動解析、サイエンス社、1975年)

非定常熱伝導解析とは、熱伝導問題で温度指定や対流熱伝達、熱流速などの境界条件が時間的に変化する場合や、材料定数が温度の関数である場合の解析です。非定常熱伝導方程式を時刻歴で時間積分し、その時間的な挙動を追跡します。空間離散化後の非定常熱伝導方程式は、有限要素法では次式で表されます。

空間離散化後の非定常熱伝導方程式

ここで[C]は熱容量マトリックス、Tは温度、[K]は温度剛性マトリックス、F(t)は熱的荷重項です。上式の解法には中央差分法(クランク・ニコルソン法)がよく用いられます。

2. 境界要素法

境界要素法(Boundary Element Method:BEM)とは、境界積分方程式法(Boundary Integral Equation Method:BIEM)に有限要素法的な離散化手法を組み合わせた、種々の現象の偏微分方程式を解く数値解析技法です。(参考:C.A.Brebbia著、神谷紀夫・田中正隆・田中喜久昭共訳、境界要素法入門、培風館、1980年)1970年代から盛んに研究されてきました。境界要素法では、構造物の表面境界を多数の要素に分割します。要素の次元が1つ下がって2次元構造では線要素に、3次元構造では面要素になります。2次元構造での3種類の境界要素を図3に示しています。一定要素では、境界要素内で変位uと表面力pの変数は要素内で一定と仮定し、要素図心で代表されていると考えます。1次要素では、変数は境界要素内で1次分布をしており、 2次要素では2次分布をしていると仮定します。2次要素の場合には、要素の図心あたりに中間節点が必要です。

図3:境界要素法の分割例

図3:境界要素法の分割例

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3. 有限要素法と他解法との比較

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