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段ボールの基礎知識

段ボールの基礎知識

著者:レンゴー株式会社 包装技術部 担当部長代理 東山 哲

とても身近なものでありながら、日々の暮らしや社会活動を根底から支える段ボール。その存在は、梱包(こんぽう)・保管・運送など物流システム全般において、必要不可欠なものとなっています。本連載では6回にわたり、段ボールの分類や製造工程、製品の試験方法など、さまざまな基礎知識を紹介します。第1回は、段ボール原紙について解説します。

第1回:段ボール原紙

1. 段ボール原紙の分類

一般に紙は、紙(洋紙)と板紙に大別されます。紙には、新聞用紙、印刷用紙、情報用紙、包装用紙、衛生用紙などがあり、板紙には、段ボール原紙、色板紙、建材用紙などがあります。段ボール原紙は、段ボールの表と裏に貼り合わされるライナと、段形状にする中芯に分類されます。図1に、段ボールの断面から見たライナと中芯を示します。

図1:段ボールの断面

図1:段ボールの断面

さらに、段ボール原紙は、表1のように分類されます。

表1:段ボール原紙の分類
ライナ外装用(クラフト)クラフトパルプを原料としている。段ボールの表裏に使用
外装用(ジュート)古紙を主原料としている。段ボールの表裏に使用
内装用古紙を原料としている。JIS 規定強度を満たすとは限らない
中芯パルプ芯パルプを主原料としている。段ボールの「段」に使用
特芯古紙を原料としている。段ボールの「段」に使用

・ライナ

外装用ライナは、クラフトパルプ(化学パルプの一種)を使用したクラフトライナと、古紙を使用したジュートライナに分類されます。現在、パルプを100%使用したクラフトライナは、日本ではほとんど製造されておらず、古紙を使ったジュートライナが主流です。国産ライナの多くは3~6層の多層になっており、各層で原料を使い分けて、要求される品質やコストに対応しています。例えば、表層にパルプを多く使用すると、強度や印刷適性は向上しますが、コスト高になります。逆に、各層に古紙を使用すれば安価になりますが、強度は低くなります。どのライナを使用するかは、コストや段ボール箱に要求される性能に合わせて決めます。国内で一般に使用されているライナの坪量(1平方メートル当たりの紙の質量、単位g/m2)は、160~280g/m2です。

・中芯

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2. 製紙工程

・原料調成工程

製紙工程には、原料調成工程と抄紙(しょうし)工程があります。最初の原料調成工程には、(1)離解(りかい)、(2)除塵(じょじん)、(3)叩解(こうかい)の3工程があり、主原料である古紙にさまざまな処理を施します。

(1)離解
段ボール原紙には多くの段ボール古紙が使用されるので、製紙工場には原料である古紙の塊が山積みにされています(図2)。それをコンベヤで工場内に運び込み、最初の工程である離解を行います。

図2:古紙ヤードから搬入される古紙(レンゴー株式会社 金津工場)

図2:古紙ヤードから搬入される古紙(レンゴー株式会社 金津工場)

離解工程では、パルパと呼ばれる巨大なミキサーのような装置(図3)を使い、古紙とともに水を入れて回転させることで繊維をバラバラにほぐし、かゆ状にします(図4)。プラスチックフィルムなど浮遊する大きな異物は、パルパにつり下げたラガーと呼ばれるワイヤに巻き付きます。いったん巻き付いた異物は別の異物と絡み合うので、これを徐々に引き出せば、次々と浮遊異物が除去されていきます。また、比重の大きい金属片や小石などの異物は、パルパの底に沈めて分離します。

図3:パルパの概念図

図3:パルパの概念図

図4:パルパ内部

図4:パルパ内部

(2)除塵
パルパで除去しきれなかった細かい異物(砂、金属片、プラスチック片、粘着剤など)を除去する工程を除塵といいます。除塵には、比重差で分離する方法と、細かい隙間を通して分離する方法があり、これらをいくつも組み合わせて異物を除去します。

比重差を利用して除塵を行う装置を、クリーナといいます(図5)。コーン型のサイクロンに、水で希釈した原料を圧入すると、中で渦が生じます。このとき、水に分散した紙の繊維よりも比重の大きなものは、その回転によって速く沈みます。このように、比重差によって細かい異物を除去します。

図5:クリーナの概念図

図5:クリーナの概念図

強制的に細孔やスリットを通過させて異物を除去する装置を、スクリーンといいます(図6)。直径約2mmの丸孔や1mm以下のスリットなどが開いたバスケット(図7)に、水に希釈した原料を注入し通過させて、細かい異物を除去します。

図6:スクリーンの概念図

図6:スクリーンの概念図

図7:丸孔スクリーンとスリットスクリーン

図7:丸孔スクリーンとスリットスクリーン

(3)叩解

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3. 段ボール原紙の試験方法

JISには、ライナ、中芯ともに坪量と圧縮強さが定められており、さらに、ライナには破裂強さ、中芯には引張強さが規定されています。規定を満たしていないと、規格外の原紙となりますので、これらの物性は段ボール原紙において特に重要です。そして、さまざまな試験方法によって、この物性を評価します。

・坪量

板紙の、1平方メートル当たりの質量を坪量といい、測定方法はJIS P 8124に記載されています。通常、標準状態である23℃、50%RHで試験片を調湿し、1m2当たりの質量(単位g/m2)を求めます。

・圧縮強さ(リングクラッシュ法)

ライナと中芯の圧縮強さが、JIS P 3902とJIS P 3904にそれぞれ規定されています(単位kN/m)。試験方法はJIS P 8126に記載されており、板紙を垂直に固定台に立て、上から荷重を加えてつぶしたときの最大荷重を測定します(図23)。この方法は、リング状にした試験片を使って試験を行うことから、リングクラッシュ法と呼ばれます。

図23:リングクラッシュ法圧縮試験

図23:リングクラッシュ法圧縮試験

・破裂強さ

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第2回:段ボール・段ボール箱

前回は、段ボール原紙について、分類や製造工程、試験方法などを解説しました。今回は、その段ボール原紙を使って製造される、実際の段ボール製品について解説します。

1. 段ボールの種類

段ボールはJIS Z 0104にその定義があり、「波形に成形した中芯の片面または両面にライナを貼ったもの。種類によって片面段ボール、両面段ボール、複両面段ボール、複々両面段ボールがある。また、用途によって外装用、内装用、個装用段ボールに分類する」と示されています(図1)。

図1:段ボールの種類

図1:段ボールの種類

中芯の段のことを、フルートと呼びます。日本ではA、B、Cフルートにおける各段の数が、JIS Z 1516で規定されています。段の種類を、表1に示します。段繰率とは、ライナの長さと、それに対して中芯に必要とされる長さとの比のことです。また、段高とは、中芯の段の高さのことで、段ボールの厚さに対応します。Aフルートは約5mm、Cフルートは約4mm、Bフルートは約3mmとなります。厚さの順にA、B、Cとなっていないのは、開発された順にアルファベットを割り当てたためです。

表1:段の種類
記号段の数/30cm段高(mm)段繰率
AフルートAF34±24.5~4.81.5~1.6
CフルートCF40±23.4~3.71.4~1.5
BフルートBF50±22.4~2.71.3~1.4
EフルートEF95±51.1~1.51.2~1.3

また、複両面段ボールの場合は、……

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2. 段ボール箱の形式

段ボール箱の形式はJIS Z 1507で規定されており、表2のように分類されます。形式は、4桁のコード番号で示され、上2桁は基本形式、下2桁は個別形式を表しています。01形と08形はありません。

表2:段ボール箱の形式の分類(参照:JIS Z 1507 形式の種類、2013年、P.1)
分類形式の名称(英語表記)個別形式数合計
02形溝切り形(Slotted-type boxes)13種類50 種類
03形テレスコープ形(Telescope-type boxes)7種類
04形組み立て形(Folder-type boxes)12種類
05形差し込み形(Slide-type boxes)5種類
06形ブリス形(Bliss-type boxes)1種類
07形のり付け簡易組み立て形
(Ready-glued type boxes)
4種類
09形代表的な附属類(Interior fitments)8種類

最も基本的な形式は、0201形です。0201形の展開図と各部の名称を図2に、また、02形から09形までの代表的な形式を表3~9に示します。

図2:0201形の展開図および罫線、各部の名称

図2:0201形の展開図および罫線、各部の名称
表3:02形-溝切り形(参照:JIS Z 1507 溝切り形の形式、2013年、P.3-5)

表3:02形-溝切り形(参照:JIS Z 1507 溝切り形の形式、2013年、P.3-5)

02形は、原則としてワンピースであり、フラップと継ぎしろを持つタイプです。

表4:03形-テレスコープ形(参照:JIS Z 1507 テレスコープ形の形式、2013年、P.3-6)

表4:03形-テレスコープ形(参照:JIS Z 1507 テレスコープ形の形式、2013年、P.3-6)

03形は、ツーピース以上で構成されるタイプであり、身箱・ふた形式とも呼ばれます。

表5:04形-組み立て形(参照:JIS Z 1507 組み立て形の形式、2013年、P.7-8)

表5:04形-組み立て形(参照:JIS Z 1507 組み立て形の形式、2013年、P.7-8)

04形は、ワンピースで、継ぎしろなしで組み立てられるタイプです。特に0406と0407は、ラップアラウンド形式と呼ばれます。

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3. 段ボールの評価方法

段ボールの評価方法として、段ボールの圧縮強さと接着力に対する試験方法があります。段ボールの圧縮強さには、平面圧縮強さと垂直圧縮強さがあります。どちらも、段ボール箱の圧縮強さに影響する基本物性であり、JISにはそれぞれに対する試験方法の規格があります。また、中芯とライナの接着部分を引き剥がす際の抵抗値を測定する接着力試験方法も、JISで示されています。

平面圧縮強さ(JIS Z 0403-1)は、圧縮試験機によって12.5±2.5(mm/分)で中芯をつぶしたときの、最大荷重となる圧力で求めます。単位はkPaです。片面段ボールと両面段ボールに適用され、直径90.6±0.5(mm)、直径112.8±0.5(mm)、直径 64.0±±0.5(mm)のいずれかの寸法の、円形の試験片を使います(図9)。中芯が強いと平面圧縮強さは強くなり、弱いと平面圧縮強さは弱くなります。

図9:平面圧縮試験片

図9:平面圧縮試験片

また、保管中の荷重や製造条件によっては、段ボールの段がつぶれたり、流れたりすることがあります(図10、11)。これらの変形が生じると、平面圧縮強さが低下するだけでなく、段ボール箱の圧縮強さも弱くなります。段つぶれや段流れの有無を目視で判断できないとき、この試験がよく活用されます。

図10:段つぶれ

図10:段つぶれ

図11:段流れ

図11:段流れ

垂直圧縮強さ(JIS Z 0403-2)は、……

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第3回:段ボールの製造工程

前回は、段ボール製品のさまざまな種類について解説しました。今回は、実際に段ボール製品を製造していくための印刷や加工の工程を紹介します。

1. 貼合工程

段ボールの製造工程には、ライナと段成形した中芯を貼り合わせて段ボールシートを製造する貼合工程と、段ボール箱を製造する製箱工程があります。図に、製造工程全体のフローを示します。

図1:段ボール箱の主な製造フロー

図1:段ボール箱の主な製造フロー

貼合工程では、コルゲータが使用されます。コルゲータとは、貼合工程で使用されるさまざまな装置が連なった、機械全体の総称です。コルゲータ前半部分では、ライナと段成形した中芯を貼り合わせ、コルゲータ後半部分では、段ボールシートを必要な寸法に切断します。

コルゲータの前半部分は、ミルロールスタンド、スプライサ、シングルフェーサ、グルーマシン、ダブルフェーサから構成されています。図2にコルゲータ前半部分の外観を、図3に各装置の標準的な配列を示します。

図2:コルゲータ前半部分(レンゴー株式会社 新名古屋工場)

図2:コルゲータ前半部分(レンゴー株式会社 新名古屋工場)

図3:前半部分のユニットの配列

図3:前半部分のユニットの配列

1:ミルロールスタンド

ミルロールスタンドは、ライナや中芯の巻き取り原紙を巻き出す装置です。紙幅、坪量、生産速度に応じて、紙の張力を一定に保つよう制御します。そして、巻き出された中芯は加熱され、シングルフェーサという装置に送られます。

2:スプライサ

スプライサは、自動的に原紙をつなぎ替える装置で、ミルロールスタンドのすぐ近くに設置されています。原紙を使い切ったときや、異なる種類の原紙に切り替えるときに、コルゲータの速度を下げることなく、新しい原紙に切り替えることができます。

3:シングルフェーサ

シングルフェーサは、ライナと中芯から片面段ボールを作る装置であり、コルゲータの中で最も重要な部分です。約180℃に加熱された2本の段ロールが歯車のように組み合わされており、その間に中芯を通して段成形し、段頂に澱粉糊(でんぷんのり)を塗布して裏ライナを貼り合わせます(図4)。段ロールの種類を入れ替えることで、さまざまなフルート(中芯の段)を作り分けることができます。澱粉糊の原料として、日本では主にコーンスターチが使用されます。最近では、加熱すると糊化しやすいタピオカ澱粉なども使われています。

図4:シングルフェーサの仕組み

図4:シングルフェーサの仕組み

4:グルーマシン

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2. 製箱工程-印刷-

製箱工程(製函工程ともいいます)は、抜き加工や接合などを行って段ボール箱を製造する工程であり、印刷もその一部と見なしています。

段ボールの印刷は、版の形状から凸版印刷、凹版印刷(グラビア印刷)、平版印刷(オフセット印刷)の3つに大別され、その中でも凸版印刷が主流となっています。凸版の素材には、比較的軟らかい樹脂が使用されます。通常、インキは水性(水で希釈できる)タイプであり、フレキシブルな素材の印版を使うことから、水性フレキソ印刷と呼ばれます。

印刷方式には、ダイレクト印刷方式とプレプリント方式があります。ダイレクト印刷とは、段ボールシートに直接印刷する方式で、通常、段ボール工場では2 ~ 3色を使ったフレキソ印刷を行っています。対してプレプリント方式は、巻き取り原紙の段階で、ライナにフレキソ印刷やグラビア印刷を行う方式であり、美粧性や精度が要求される場合に用いられます。その他に、断裁した板紙にあらかじめグラビア印刷やオフセット印刷を行い、1枚ずつ片面段ボールに貼り合わせる、枚葉方式と呼ばれる方法があります。

ここでは、段ボール印刷で主流となっているフレキソ印刷について解説します。フレキソ印刷には、通常、感光性樹脂で製版した凸版を使用します。フレキソ印刷の原理と印刷機を、それぞれ図11、図12に示します。

図11:フレキソ印刷の原理

図11:フレキソ印刷の原理

図12:フレキソ印刷機(プリンタースロッタ)

図12:フレキソ印刷機(プリンタースロッタ)

次に、印版と印刷ユニットの機構を、……

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3. 製箱工程-加工-

段ボールシートを所定の寸法に切断し、罫線加工と溝切りを行えば、段ボール箱にすることができます。製箱には、フレキソフォルダグルアで行う方法と、木型を使用してダイカッタで行う方法の2通りがあります。フレキソフォルダグルアは最も基本的な 0201形の箱で、ダイカッタは組み立て形式の箱などで使用されます。

1:フレキソフォルダグルア

0201形のほとんどは、コルゲータで横罫線(フラップ罫線)を入れた段ボールシートを使い、フレキソフォルダグルアによって製造されます。フレキソフォルダグルアの概要を、図15に示します。段ボールシートを送り込んだ後、まず印刷工程があり、次に縦罫線を入れてからの溝切り(図16)や、必要に応じて手穴など部分的な打ち抜きを行います。さらに、継ぎしろの糊塗布、フォールディング(折りたたんで継ぎしろ部を圧着)、スタッキングまでがこの機械1台で行えるため、フレキソフォルダグルアは最も生産効率の良い製箱機といえます。

図15:フレキソフォルダグルア

図15:フレキソフォルダグルア

図16:溝切りの仕組み

図16:溝切りの仕組み

2:ダイカッタによる打ち抜き工程

ダイカッタとは、ラップアラウンドケース、ワンタッチケース、トレイなど、さまざまな箱形式を、段ボールシートから打ち抜き加工する機械です。ダイカッタには、平板状の木型を上下運動させてシートを打ち抜くプラテン方式と、円弧状の木型を回転運動させシートを打ち抜くロータリー方式の2方式があります。

・プラテン方式
プラテン方式のダイカッタは、平盤方式とも呼ばれます。図17に示すように、切断刃と罫線刃を埋め込んだ平板状の木型を上下させながら、シートを打ち抜きます。生産速度は70 ~ 110枚/分で、ロータリー方式の180 ~ 200枚/分に比べ生産性は劣るものの寸法精度が高く、品質面で優れています。

図17:プラテン方式

図17:プラテン方式

・ロータリー方式

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第4回:段ボール包装設計

前回は、貼り合わせや印刷、加工など、段ボール製品の製造工程について説明しました。今回は、梱包した内容品の保護などに、大切な役割を果たす段ボールの包装設計を解説します。

1. 寸法設計

段ボール包装は、多くの場合、輸送包装として使用されます。輸送、保管、荷役中のさまざまな障害から内容品を保護するため、包装設計の際には適切な寸法、形式、材料を決める必要があります。また同時に、包装や開封の作業性、荷扱いのしやすさ、販売促進効果、コストなども考え合わせる必要があります。段ボール箱の設計は、まず内容品と箱の形式に応じた内寸法を決め、次に物流条件などを考慮して材質を選定します。さらに、必要な場合には、包装貨物試験や実輸送試験を行って、包装としての適正を確認します。その中で最初に行う作業が寸法設計です。

・段ボール包装設計の手順

段ボール包装設計は、一般に図1に示す手順で行います。緩衝材、固定材、仕切り、胴枠などを検討した上で、内寸法を決めます。必要なのが荷扱いの衝撃に耐える強度か、保管時の荷重に耐える強度か、内容品によって重視する点が異なるので、求められる要件を考慮しながら設計を進めます。

・内寸法の決め方

段ボール箱の内寸法は、長さ×幅×深さの順にmm単位で表記します。内寸法を決める際、内容品の寸法だけでなく、出し入れのしやすさや箱の形式なども考慮する必要があります。代表的な形式である0201形の内寸法を決める際の、一般的な注意点を以下に示します。

1:個装箱を入れる場合、出し入れの作業性を考慮して、個装箱の寸法に2~5mmの余裕寸法を加算した内寸法の検討が必要です。

2:荷重を支えることができる缶詰やビン製品などを入れる場合、深さ寸法における余裕寸法は不要とします。

3:スペーサや緩衝材などを使用する場合、それらが容易にずれたり外れたりしない内寸法の検討が必要です。

4:製品などを入れた袋が外気圧の低下で膨らむ場合は、それを考慮して内寸法を決めます。

図1:段ボール包装設計の手順

図1:段ボール包装設計の手順

・罫間寸法

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2. 圧縮強さの推定方法

段ボール箱の材質を選定する上で、荷重に耐えるために必要な圧縮強さを、あらかじめ推定する必要があります。そこで、0201形の箱の圧縮強さの推定式として、ケリカット式、マッキー式、ウルフ式などが提案されています。中でもケリカット式は、段ボールを構成する原紙の圧縮強さから推定できるため、日本では特に好まれ、それを簡素化した式が広く活用されています。段ボール用ライナと段ボール用中芯原紙の圧縮強さが、JIS P 3902とJIS P 3904でそれぞれ規定されているため、実測値がなくてもJISの規格値を参考に推定ができることから、日本で普及したと考えられます。

・ケリカット式

1:ケリカット式(オリジナル)

1950年代、アメリカの農務省・林産研究所のKeith.Q.KellicuttとEugene.F.Landtは、0201 形の箱の圧縮強さと構成原紙の間に関係があることを見いだしました。そして、合板に適用されていた薄板の理論を応用し、1960年代にAフルート、Bフルート、Cフルートの0201形の推定式(式1)を発表しました。なお、ここではリングクラッシュ値をRC値と示します。

 

P段ボール箱の圧縮強さ(lb)
Px構成原紙の総合RC値(lb/in)
=表ライナのRC値+中芯のRC値×α+裏ライナのRC値
J箱の定数(Aフルート=0.59、BフルートとCフルート=0.68)
Ax2フルート定数(Aフルート=8.36、Bフルート=5.00、Cフルート=6.10)
Z箱の周辺長=(箱の長さ+幅)×2(in)

2:ケリカット簡易式

オリジナル式には定数が2種類あり、単位もインチやポンドが使用されているため、そのままだと日本では一般に使いにくいものとなります。そこで、2つの定数を1つに統合し、単位もN、cmにしたものを、ケリカット簡易式(式2)として活用しています。また、オリジナルにはなかった複両面段ボールのフルート定数については、日本で独自に検討し追加されました。

P = β × Rx × Z1/3…式2

P段ボール箱の圧縮強さ(kN)
βフルート定数
Aフルート=0.114
Bフルート=0.093
Cフルート=0.107
ABフルート=0.145
BCフルート=0.135
Rx総合RC値(kN/m)
Z1/3段ボール箱の周辺長=(箱の長さ)+幅×2(cm)

 

3:リングクラッシュ値

紙、板紙の圧縮強さをリングクラッシュ強さといい、その試験方法が、圧縮強さ試験方法-リングクラッシュ法-としてJIS P 8126に記載されています。図5に試験片を測定機(リングクラッシュテスタ)に設置したときの様子を示します。このとき、試験片の紙目方向には注意が必要です。紙目方向(繊維が配向している方向)と、段ボールの段目方向(段筋の方向)は90°異なります。これは、段ボールの貼合工程から必然的に決まります。0201形などの箱は、横にすると圧縮強さを十分に発揮しないので、縦にして荷重を支えることが前提となります。段ボール原紙で考えると、紙幅方向に荷重が加わることになるため、紙目方向を横にしたときの圧縮強さが重要です。紙目が縦方向の圧縮強さは、箱の圧縮強さを考える上ではほとんど必要ありません(図6)。

なお、ライナと中芯のRC規格値(ISO圧縮強さkN/m)は、JIS P 3902とJIS P 3904にそれぞれ記載されています(表4、表5)。

図5:リングクラッシュテスタ

図5:リングクラッシュテスタ

図6:試験片と紙目方向

図6:試験片と紙目方向
表4:ライナ(参照:JIS P 3902ライナの性能、2011、P.2)
表示坪量
g/m2
ISO圧縮強さ
(横)kN/m
LA1701.56以上
1801.77以上
2102.14以上
2202.31以上
2803.31以上
LB1701.51以上
1801.59以上
2102.07以上
2202.17以上
2803.03以上
LC1601.21以上
1701.29以上
表5:中芯(参照:JIS P 3904中芯原紙の性能、2011、P.2)
表示坪量
g/m2
ISO圧縮強さ
(横)kN/m
MA1802.01以上
2002.43以上
MB1200.91以上
1250.94以上
1601.42以上
1801.59以上
2001.97以上
MC1150.72以上
1200.75以上
1601.21以上
4:総合 RC(リングクラッシュ)値と段繰り率

総合RC値とは、構成する原紙の圧縮強さの総和のことです。ただし、ライナと中芯では、段ボールに使用されている長さが異なることから、中芯には段繰り率を掛けます。段繰り率は、フルートごとに近い値に集約されます。圧縮強さを推定する上では、表6に示す代表値を使用できます。

表6:中芯の段繰り率(代表値)
Aフルート1.55
Bフルート1.35
Cフルート1.55
5:ケリカット簡易式による圧縮強さの推定方法

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3. 材質設定

段ボール箱の材質設定には、

  • 総質量と箱の内寸法から、必要な破裂強さを求めて設定
  • 積載荷重と強度安全率から、必要な圧縮強さ求めて設定

という、2 種類の方法があります。

破裂強さから設定する方法

破裂強さは、段ボール箱のライナを決める際に重要となります。破裂強さから材質設定する場合は、一般にJISの基準を満たすよう検討します。JIS Z 1506に段ボール箱の総質量と内寸法の制限が、また、JIS Z 1516に段ボールの種類と破裂強さが記載されています(表8)。総質量と内寸法が分かれば、表8より段ボールの破裂強さが決まります。破裂強さは、基本的に実測で求めます。実測値が得られない場合には、JIS P 3902を参考にします(表9)。段ボールの破裂強さは、構成するライナの破裂強さの合算値とほぼ等しいことから、ライナの破裂強さの合計が表8の基準を満たすようにライナを検討します。なお、中芯には破裂強さのJIS規格値はなく、段繰りされているため、段ボールの破裂強さにほとんど寄与しません。

表8:段ボール箱の総質量・寸法の制限と破裂強さ(参照:JIS Z 1506 種類と破裂強さ、2003 年、P.1/JIS Z 1516種類、2003年、P.2)
JIS Z 1506
段ボール箱の種類
JIS Z 1516
段ボールの種類と破裂強さ
両面
段ボール箱
種類記号最大総質量※1
kg
最大寸法※2
cm
種類記号破裂強さ
kPa
1種CS-1101201種S-1640以上
2種CS-2201502種S-2785以上
3種CS-3301753種S-31180以上
4種CS-4402004種S-41570以上
複両面
段ボール箱
1種CD-1201501種D-1785以上
2種CD-2301752種D-2980以上
3種CD-3402003種D-31380以上
4種CD-4502504種D-41770以上

※1 最大総質量とは、内容品質量+包装材料質量
※2 最大寸法とは、内寸法の長さ+幅+深さ

表9:ライナの破裂強さ(参照:JIS P 3902ライナの性能、2011年、P.2)
LALBLC
坪量
g/m2
破裂強さ
kPa
坪量
g/m2
破裂強さ
kPa
坪量
g/m2
破裂強さ
kPa
170493以上170442以上160228以上
180522以上180468以上170306以上
210588以上210525以上
220616以上220550以上
280756以上280672以上

【ライナの選定例】

総質量25kg、寸法148cmの両面段ボール箱のライナを選定するとします。寸法は150cmを満たしませんが、総質量は20kg以上30kg未満なので、段ボール箱の種類はCS-3、これに使用する段ボールはS-3で、破裂強さは1,180kPa以上必要となります。表と裏ライナを同材質とすると、ライナの必要破裂強さは590kPaとなります。表9より、該当するライナは、LA220、LA280、LB280となります。そこで、コストや調達のしやすさを考慮してこれらの中から最適なもの(この場合、通常はLB280)を選びます。

W最下段荷重 (kg)
Wc段ボール箱の総質量 (kg)
Ns段ボール箱の総積み上げ数
Wpパレットの質量(kg)
Np段ボール箱のパレットへの平面積み付け数
L積み上げパレット数

 

・必要圧縮強さから設定する方法

1:必要圧縮強さ

必要圧縮強さから材質設定する場合は、積載された最下段の段ボール箱に加わる荷重(最下段荷重)と、箱の圧縮強さの安全率が重要となります。この必要圧縮強さが求められれば、前述のケリカット簡易式などを使って材質の選定が可能となります。このため、設計において圧縮強さを重視する場合は、まず必要圧縮強さを求めます。必要圧縮強さは、式12で得られます。

P=W×9.81×S……式 12

P必要圧縮強さ(N)
W最下段荷重(kg)
S安全率

 

2:最下段荷重

内容品を入れた段ボール箱は、多くの場合、パレットなどの上に段積みして保管されます。そこで、最下段荷重を求める場合、箱の積み段数やパレットの積み段数など、保管時の積載条件を知る必要があります。仮に、総質量10kgの段ボール箱を10個、まっすぐに積み重ねるとすれば、最下段荷重は(10-1)個×10kg=90(kg)となります。パレットに積み付ける場合も、これと同様な考え方で、最下段荷重を計算します(式13)。

W=Wc×(Ns-1)+(Wp/Np)×(L-1)……式 13

W最下段荷重(kg)(N)
Wc段ボール箱の総質量(kg)
Ns段ボール箱の総積み上げ数
Wpパレットの質量(kg)
Np段ボール箱のパレットへの平面積み付け数
L積み上げパレット数

 

【計算例】

……

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第5回:段ボール箱の特性

前回は、段ボールの包装設計を説明しました。段ボールに対する含水率、荷重が加わる期間、積み方は、段ボール箱の特性、とりわけ圧縮強さに大きく影響を及ぼします。今回は、これらの段ボール箱の特性に関する影響について解説します。

1. 含水率の影響

・環境条件と含水率

段ボール箱の含水率は、環境条件によって異なります。例えば、高湿度状態で段積み保管していると、吸湿して相対湿度が上昇し、含水率は高くなります。相対湿度ごとの温度と含水率の関係を、図1に示します。温度上昇に伴って、含水率はやや右下がりのグラフとなります。同じ温度の場合、例えば50%RHに対し、80%RH、90%RHのときでは、それぞれ約4%、約7%の含水率差があります。一方、同じ相対湿度の場合、10℃と40℃のときの含水率差は約1%です。このように、段ボールの含水率はほぼ相対湿度によって決まり、温度に比べて相対湿度の影響を受けやすいといえます。

図1:環境条件と含水率

図1:環境条件と含水率

JIS P 8111に紙、板紙、パルプにおける標準状態が記載されており、これに合わせて、段ボールの標準状態も23℃±1℃、(50±2%)RHとしています。なお、標準状態において、段ボールの含水率は約7%です。

・含水率の測定方法

乾燥器による含水率の測定方法がJIS P 8203に記載されており、一般的に段ボールもこの方法で含水率を求めます。その場合、105℃±2℃で加熱乾燥したときの質量減少分を水分と見なし、乾燥前の段ボールの質量に対するその比率を含水率(%)としています。105℃±2℃で恒量(乾燥による変化がなくなった時の質量)が得られるまでの乾燥処理を「絶乾」、絶乾して求めた含水率を「絶乾率」、また、絶乾して含水率を求める方法を「絶乾法」と呼んでいます。絶乾法では、段ボール箱そのもの、あるいは段ボール箱から切り出した試験片を絶乾する必要があります(図2)。この他に、含水率で電気抵抗値が変わることを利用した、水分計による測定方法があります(図3)。この方法で把握できるのは、段ボール表面の含水率に限られます。しかし、試験片を切り取る必要もなくすぐに測定値が得られるため、簡易的な測定方法として便利に活用されています。

図2:絶乾のための切り出し

図2:絶乾のための切り出し

図3:水分計による測定

図3:水分計による測定

・段ボール箱の含水率と圧縮強さ

含水率が高くなると、段ボール箱の圧縮強さが低下します。段ボール箱の含水率と圧縮強さの関係の例を、図4に示します。

図4:含水率と圧縮強さの関係

図4:含水率と圧縮強さの関係

グラフから、含水率が1%上昇すると、圧縮強さが約10%低下することが分かります。例えば、……

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2. 保管期間の影響

段ボール箱に荷重を加え続けると、その箱はやがて座屈(荷重によって、つぶれなどが生じること)します。荷重比が大きいほど、座屈するまでの期間が短くなります。荷重比とは、段ボール箱の圧縮強さに対する上載荷重の比です(式3)。

R=9.81×W/S……式 3

R荷重比
W上載荷重(kg)
S圧縮強さ(N)

 

ここで、ケリカットの論文(第4回参照)を引用して、段ボール箱の荷重比と保管可能期間の関係を説明します(図5)。横軸は対数で表示されており、荷重比が大きくなると保管可能期間が短くなり、また、保管期間が長くなるにつれて耐荷重が低下することを示しています。データのばらつきが大きいため、あらゆる段ボール箱が必ず図5の近似線で座屈するとは限りません。それでも、荷重比と箱がつぶれるまでの時間の関係を知る上で参考になります。

図5:荷重比と保管可能期間の関係

図5:荷重比と保管可能期間の関係(引用:K.Q.Kellicutt、E.F.Land、Forest Product Lab、No.D1911、1968)

0.1日前後で近似線の傾きが異なるため、図5の0.1~1,000日の部分をグラフにした、図6で説明します。荷重比が50%だと、……

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3. 積み方の影響

・段ボール箱の積み方と圧縮強さ

0201形段ボール箱の角は、パネルの中央部よりも強いため(図7)、角と中央部を上下に重ね合わせて荷重を加えると、中央部が先につぶれます(図8)。

図7:段ボール箱の圧縮荷重に対する強度分布

図7:段ボール箱の圧縮荷重に対する強度分布(引用:R.C.McKee、J.W.Gander & J.R.Wa-chuta、PaperboardPackaging, August、1963、P.149-159)

図8:下段の角によりつぶれた段ボール箱

図8:下段の角によりつぶれた段ボール箱)

このことから、段ボール箱をパレットに積み付けたときの全体の圧縮強さは、積み付け方(パレットパターン)によって異なります。8箱×3段の棒積みからレンガ積みで交差積みにした場合、また、同じく風車積みで交差積みにした場合の事例を、図9に示します。また、……

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第6回:主な包装貨物試験方法

前回は、段ボール箱の特性を説明しました。段ボールの包装設計は、形式、材質、寸法を決めて終わりではありません。輸送包装として問題がないことを、包装貨物試験などによって検証する必要があります。本連載の最終回は、段ボール包装においてよく行われる包装貨物試験について、JISの方法を中心に解説します。

1. 圧縮試験

段ボール箱の圧縮試験は、一般に、JIS Z 0212 包装貨物および容器-圧縮試験方法に準じて行います。圧縮試験には、圧縮試験機を用いた方法と、所定時間、静的な積み重ね荷重を加える方法があります。

・圧縮試験機を用いた試験方法

試験機、段ボール箱の圧縮試験の様子、段ボール箱が座屈した状態を、図1、2、3に示します。また、JIS Z 0212では、方法A、方法Bの2つの試験方法を規定しています(表1)。いずれも圧縮速度は10±3mmで、供試品の数は、方法Aでは3個以上、方法Bでは5個以上が望ましいとされています。

図1:圧縮試験機

図1:圧縮試験機

図2:圧縮試験

図2:圧縮試験

図3:座屈

図3:座屈
表1:試験方法(参考:JIS Z 0212 試験方法、1998年、P.2)
内容
方法A主として圧縮荷重による内容品の損傷を調べるために、
包装貨物の圧縮試験を行う
方法B容器自体の圧縮強さを知るために、空容器の圧縮試験を行う

方法Aでは、圧縮試験機で所定荷重を加えた後、直ちに包装貨物を取り外して、内容品の破損などを調べます。方法Bでは、最大圧縮荷重(N)や圧縮量(mm)を測定します。段ボール箱では、特に空箱の圧縮強さを知ることが重要なので、方法Bを行うことが多くなります。また、静的な荷重を所定時間加える積み重ね荷重試験(後述)を行って、内容品や段ボール箱の状態も調べます。

・初期荷重

圧縮試験では、圧縮量の起点(初期荷重)を定めておくことが必要です。圧縮量とは、圧縮荷重-変位曲線における初期荷重からピークトップ(最大圧縮荷重)までの変位を意味します(図4)。初期荷重は、方法Aでは、適用荷重の範囲によってそれぞれ決められており(表2)、方法Bでは、両面段ボール箱と複両面段ボール箱でそれぞれ決められています(表3)。その他については、当事者間で決めるとされています。

図4:圧縮荷重-変位曲線の例

図4:圧縮荷重-変位曲線の例
表2:方法Aにおける段ボール箱の初期荷重(参考:JIS Z 0212 初期荷重、1998年、P.3)
(単位N)
適用荷重の範囲初期荷重
100以上200未満10
200以上1,000未満25
1,000以上2,000未満100
2,000以上10,000未満250
10,000以上20,000未満1,000
20,000以上100,000未満2,500
表3:方法Bにおける段ボール箱の初期荷重(参考:JIS Z 0212 初期荷重、1998年、P.3)
(単位N)
段ボール箱の種類初期荷重
両面段ボール箱196
複両面段ボール箱392

・方法Aにおける負荷係数

方法Aでは、所定の圧縮荷重が必要です。JIS Z 0200 包装貨物-性能試験方法一般通則の圧縮試験のページには、圧縮荷重を求めるために必要な負荷係数が記載されています(表4)。なお、この負荷係数は、……

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2. 衝撃試験

段ボール包装の衝撃試験のうち、落下試験は、一般にJIS Z 0202包装貨物-落下試験方法を参考にします。落下試験には、自由落下試験方法、片支持りょう落下試験方法、衝撃試験装置による等価落下試験方法があります。人力で荷扱いされる場合は垂直自由落下試験を、また、機械で荷扱いされる場合は片支持りょう落下試験を行います。もともと製品衝撃強さ試験のために開発された衝撃試験装置は、自由落下と等価な落下試験の再現が可能なため、等価落下試験方法として包装貨物落下試験に採り入れられています。

JIS Z 0200包装貨物-性能試験一般通則の衝撃試験のページには、人力による荷扱いの場合は自由落下試験を、機械による荷扱いの場合は方法Aか方法Bのいずれかを選択して行うとされています(表6)。JISZ 0205記載の、方法Bにおける水平衝撃試験方法では、包装貨物に水平速度を与えて、衝突面との衝突によって水平衝撃を加える試験機を使用します。試験機には傾斜面試験機、水平面試験機、振り子試験があります。

表6:機械による荷扱いの場合の衝撃試験
内容
方法A片支持りょう落下試験
方法B水平衝撃試験および落下試験

・自由落下試験

1:試験方法

自由落下試験機には、昇降できるテーブルが備わっています。そのテーブルに供試品を載せ、任意の落下高さに容易に調整できるようになっています(図8)。テーブルは自由落下速度よりも速く傾くようになっているため、載せたときの姿勢のまま供試品を落下させることができます(図9)。供試品を手で支えることが困難な場合、冶具を使います(図10)。

図8:自由落下試験機

図8:自由落下試験機

図9:面落下

図9:面落下

図10:角落下

図10:角落下

また、寸法の大きい包装や重量のある包装の場合には、つり下げ式自由落下試験機を使用します(図11)。落下試験後、内容品の破損や配列乱れ、さらに内容品の飛び出しや液漏れなどがないかを調べます(図12、図13)。また、必要に応じて衝撃加速度センサを内容品に取り付け、衝撃値が許容される基準以内に収まるかどうかを調べたりもします。

図11:つり下げ式自由落下試験機

図11:つり下げ式自由落下試験機

図12:試験後の内容品(機械部品の事例)

図12:試験後の内容品(機械部品の事例)

図13:試験後の内容品(液体用容器の事例)

図13:試験後の内容品(液体用容器の事例)
2:落下高さ

自由落下試験の落下高さは、JIS Z 0200 記載の衝撃試験の区分(表7)と総質量によって決まります(表8)。

表7:衝撃試験の区分 (参考:JIS Z 0200衝撃試験の区分、2013年、P.6)
区分区分の目安
レベル1転送積み替え回数が多く、非常に大きな外力が加わる恐れがある
レベル2転送積み替え回数が多く、比較的大きな外力が加わる恐れがある
レベル3転送積み替え、および外力の大きさが、通常想定される程度である
レベル4転送積み替え回数が少なく、大きな外力が加わる恐れがない
表8:自由落下試験の落下高さ(参考:JIS Z0200落下高さ(自由落下試験)、2013年、P.7)
総質量(kg)落下高さ(cm)
レベル1レベル2レベル3レベル4
10未満80604030
10以上20未満60553525
20以上30未満50453020
30以上40未満40352515
40以上50未満30252010
50以上100未満25201510
3:落下順序と回数

直方体容器におけるJIS Z 0200の落下順序と回数を、表9に示します。なお、受け渡し当事者間の協定により、……

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3. 振動試験

JIS Z 0232包装貨物-振動試験方法には、ランダム振動試験方法と正弦波掃引試験方法の規定があります。ランダム振動試験方法は、実際の輸送振動環境をより的確に再現する方法と考えられているため、試験装置が利用できる場合には優先して適用することが望ましいとされています。また、JIS Z 020の振動試験のページには、輸送振動試験(通常試験)と跳ね上がり振動試験が記載されています。

・試験方法

振動試験機には、加振器と振動台が備えられています。JIS Z 0232には、垂直振動に対する内容品や包装の耐振性を評価する試験方法として規定されているため、通常、振動方向は垂直のみで行います。JIS Z 0200では、受け渡し当事者間で必要と判断した場合には水平方向も行うとされているため、加振器を垂直用と水平用の2台備えた二軸振動試験機なども利用されています。二軸振動試験機と試験機外観を、それぞれ図20、21に示します。

図20:二軸振動試験機の例

図20:二軸振動試験機の例

図21:試験機外観

図21:試験機外観
1:通常試験

通常試験では、実際の固定や積載の状態を模擬した条件で、振動台に供試品を搭載します。しかし、輸送中の積み付け方向が予測できない場合は、通常輸送状態と、縦置き、横置きそれぞれの姿勢で試験を行います。

2:跳ね上がり振動試験

包装貨物が固定されない可能性がある場合に、通常の輸送振動試験に追加して行う試験です。供試品は、振動台に固定せずに搭載します。跳ね上がり振動試験も、輸送中の積み付け方法が予測できない場合は、通常輸送状態と、縦置き、横置きそれぞれの姿勢で試験を行います。なお、振動方向は垂直のみです。

3:振動試験の区分

JIS Z 0200の振動試験のページには、振動試験の区分(レベル1~3)が記載されています(表12)。これによって、振動試験時間が決まります。

表12:振動試験の区分(参考:JIS Z 0200振動試験の区分、2013年、P.4)
区分区分の目安
レベル1非常に長い運搬距離(2,500km 以上)
または、輸送基盤が劣悪な条件であることが予想される
レベル2長距離の国内または国際輸送で、温帯気候における適切な輸送が行われる
レベル3短距離の国内輸送(200km 以下)で、特定のハザードがない

・試験条件

JIS Z 0200 には、ランダム振動試験と正弦波掃引振動試験に対する試験条件が、それぞれ記載されています。

1:ランダム振動試験条件

……

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