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酸化物セラミックス:セラミックスの基礎知識5

セラミックスの基礎知識

更新日:2020年10月28日(初回投稿)
著者:東海大学 工学部 材料科学科 教授 松下 純一

前回は、オールドセラミックス、ニューセラミックス、ファインセラミックスを紹介しました。今回は、1種類の金属元素、あるいは非金属元素と酸素が化学結合した単一の化学組成の化合物である単純酸化物について、工業的に広く利用されている代表的なセラミックスを例に解説します。さらに、同様に、2種類以上の複数の金属元素、あるいは非金属元素と酸素が化学結合した化合物である多成分系の酸化物(複酸化物)についても取り上げます。

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1. 酸化物セラミックス

化合物セラミックスを化学組成で区別すると、酸素と化学結合している酸化物セラミックス(Oxide Ceramics)と、酸素以外の元素(炭素、窒素、ホウ素、ケイ素、リン、ヒ素など)と化学結合している非酸化物セラミックス(Nonoxide Ceramics)に大別できます。本稿では、前者の酸化物セラミックスを詳しく解説し、後者の非酸化物セラミックスは、次回取り上げます。

酸化物セラミックスは、さらに、単純酸化物セラミックスと多成分系酸化物(複酸化物)セラミックスに分けられます。単純酸化物セラミックスは、ある1種類の金属元素、あるいは非金属元素(酸素よりも低電気陰性度)と酸素が化学結合した単一の化学組成の化合物です。一方、多成分系酸化物(複酸化物)セラミックスは、2種類以上の複数の金属元素、あるいは非金属元素と酸素が化学結合した化合物です。なお、複酸化物(Double Oxide)とは、オキソ酸(Oxo Acid)イオンを含まない2種類以上の酸化物が複合して生じた物質です。

単一化合物からなる単純酸化物セラミックスは、機能材料分野、および構造材料分野などの工業製品として、とても有用なセラミック材料です。まずは、4つの単純酸化物セラミックス、酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化チタン(チタニア)を取り上げます(図1)。これらの単純酸化物セラミックスは、結晶構造で規定される原子比と、実際の物質の原子比がほぼ同じ化学量論(Stoichiometry)にある、常圧室温下で安定なセラミックスの中でも、特に代表的なものと考えられます。

図1:酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタンを用いた製品の一例

図1:酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化チタン(TiO2)を用いた製品の一例

本稿では取り上げないものの、酸化マグネシウム(マグネシア)、酸化カルシウム(カルシア)、酸化鉄などの酸化物セラミックスも、非常に有用なセラミック材料です。なお、シリカ、アルミナなどの、かっこ内の呼称は、工業的に広く用いられている慣用名です。

・酸化ケイ素
酸化ケイ素(シリカ)SiO2の正式な化合物名は、二酸化ケイ素(Silicon Dioxide)です。ただし、ケイ素(Si)と酸素(O)の化合物で、常圧室温下において安定な化合物はSiO2だけで、他物質との混乱が生じないため、酸化ケイ素(Silicon Oxide)と略して呼びます。なお、炭素(C)と酸素(O)の化合物は、同条件下で一酸化炭素(CO、Carbon Monoxide)と二酸化炭素(CO2、Carbon Dioxide)が存在するため、両者の混同を避ける意味で、酸化炭素(Carbon Oxide)とは呼びません。非晶質(無定形)の酸化ケイ素は、一般にシリカ(Silica)と呼ばれます。

酸化ケイ素の結晶系には、以下のような多形(同質異像)が存在します。

・低温型(α-)石英(Quartz、三方晶(Trigonal))・高温型(β-)石英(六方晶(Hexagonal))

・低温型(α-)トリジマイト(Tridymite、単斜晶(Monoclinic))・高温型(β-)トリジマイト(六方晶)

・低温型(α-)クリストバライト(Cristobalite、正方晶(Tetragonal))・高温型(β-)クリストバライト(立方晶(Cubic))

ほぼ純粋なSiO2成分で産出される鉱石に、石英(Quartz)があります。無色透明の石英結晶を水晶(Rock Crystal)、砂(粒子)状の石英結晶をケイ砂(Silica Sand、Quartz Sand)と呼びます。天然に産出する非晶質二酸化ケイ素を主成分とする火山岩の一種に、黒曜石(Obsidian)があります。黒曜石は溶岩から生成され、黒曜石製の打製石器(尖頭器Projectile Point)が、数万年も前の旧石器時代の国内遺跡から発掘されています。また、縄文時代以降では、石鏃(せきぞく)の矢尻などの材料に用いられてきました。用いられていた理由は、黒曜石が、他の天然鉱石などに比べて、極めて鋭利な形状に容易に加工しやすかったためと思われます。

また、単細胞藻類のケイソウ(珪藻、Diatom)の死骸(遺骸)が堆積して作られる非晶質のケイソウ土(珪藻土、Diatomaceous Earth、Diatom Earth)は、現在、工業的にも利用されています。珪藻の殻は二酸化ケイ素SiO2でできており、珪藻土もこれを主成分としています。

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2. 多成分系酸化物セラミックス

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3. その他の多成分系酸化物(複酸化物)セラミックス

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