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非酸化物セラミックス:セラミックスの基礎知識6

セラミックスの基礎知識

更新日:2020年11月20日(初回投稿)
著者:東海大学 工学部 材料科学科 教授 松下 純一

前回は、1種類の金属元素、あるいは非金属元素と酸素との化合物である酸化物セラミックスを取り上げました。今回は、炭素、窒素、およびホウ素などの非酸素元素との化合物である非酸化物セラミックスについて、炭化チタン、炭化ホウ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素、窒化ケイ素、ホウ化チタンなどを例に解説します。

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1. 非酸化物セラミックス

非酸化物セラミックス(Nonoxide Ceramics)は、1種類の金属元素、あるいは非金属元素と、炭素、窒素、ホウ素、ケイ素、リン、ヒ素など酸素以外の元素が化学結合した化合物です。本稿では、炭化物セラミックス(Carbide Ceramics)、窒化物セラミックス(Nitride Ceramics)、およびホウ化物セラミックス(Boride Ceramics)などの非酸化物セラミックスを取り上げます。また、2種類以上の金属元素、あるいは非金属元素と非酸素元素との化合物である多成分系の非酸化物セラミックスについても解説します(表1)。

表1:セラミックスの分類

表1:セラミックスの分類

2. 炭化物セラミックス

1種類の金属元素、あるいは非金属元素が炭素と化学結合している単一化合物を、炭化物(カーバイド)と呼びます。チタンTiと炭素Cの化合物、ホウ素Bと炭素Cの化合物、ケイ素Siと炭素Cの化合物などが炭化物セラミックスです。

炭化チタン(TiC)は、炭素欠陥(Carbon Defect)により不定比(Nonstoichiometri)な組成領域(C/Ti=0.55~0.96)をとる化合物です(不定比化合物:Nonstoichiometric Compound)。そのため、TiCの性質は、組成に強く依存する傾向があります。高融点、高硬度などの特徴を有し、金属に近い熱膨張係数があるため、コバルト添加の炭化タングステンWC-Coや、高速度鋼(ハイス)などの切削工具材の耐摩耗コーティング用などに利用され、その耐用を飛躍的に向上させています。

さらに、ニッケルNiやモリブデンMoなどの金属基サーメット(Cermet)の主成分としても用いられます。サーメットは、金属とセラミックスの混合粉末を焼結して得られる複合材料です。耐クレータ摩耗に優れ、仕上げ切削時などに有用です。また、大気圧下室温で、導電性があるため、導電性付与物質などとしての研究開発も行われています。

ホウ素の炭化物は、B4C、B8C、B10C、B13C2、およびB25Cなどの化学組成の存在が報告されています。しかし、一般的に炭化ホウ素といえばB4Cを指します。B4C粉末の用途としては、硬質材料の研磨材があります。また、緻密質焼結体の用途としては、サンドブラスト用ノズル、および線引きダイスなどの耐摩耗部材や粉砕用乳鉢・乳棒があります。さらに、10Bは中性子の吸収能が大きいので、その化合物であり、耐熱性のあるB4Cは、原子炉の中性子吸収材料(コントロールロッドなど)の主成分として、工業的に広く実用化されています。

ケイ素の炭化物である炭化ケイ素SiCは、モアサナイトなどを除き、地殻中には存在しないと考えられる化学量論的化合物(定比化合物、ストイキオメトリ化合物:Stoichiometric Compound)です(モアサナイトについては後述します)。SiCの多形としては、立方晶のβ-SiCと六方晶、および三方晶菱面体型のα-SiCがあります。α型が高温相、β型が低温相で、大気圧、非酸化雰囲気下の1,800~2,000℃の温度域で不可逆にβ相からα相へ相転移をします。一般的にSiCはα相が高温相です。ただし、結晶によっては例外的に、β相が高温相で、α相が低温相のものもあります。

なお、SiCの結晶構造は、SiC4の四面体と、CSi4の四面体からなり、SiとCの原子配置は、それぞれ最密充填の形をとります。SiとCが交互に層状に積み重なり、200種を超えるさまざまな結晶構造をとります。これらの結晶構造は基本的に類似しているものの、層状(積層)構造が異なるため、これらの結晶構造をポリタイプ(Polytype)と呼びます。ポリタイプはあえて訳せば多型であり、多形(同質異像:Polymorph)ではありません。ポリタイプ(多型)の表示法としては、Ramsdell表示法、ABC表示法、およびZhdanov表示法などがあります。

現在、工業的に使用されているSiC粉末、およびSiC焼結体は、β相3C型(1,600℃以上では2H型以外のα相へ転移しやすい)、α相2H型(1,400℃以下で生成しやすい)、α相4H型(2,000℃付近で生成しやすい)、α相6H型(2,200℃以上で最も安定)、およびα相15H型(6H型同様に2,000℃以上で生成しやすい)があり、複数の結晶構造が共存しています。

SiC系の研磨剤などの代名詞にもなっているカーボランダムは、100年以上前にアメリカのカーボランダム社で製造されたSiC製品の商品名(固有名詞)です(現在は、フランスのサンゴバン社Saint-Gobain Corp.のCarborundum事業部)。BとCを焼結助剤として少量の同時添加をしたSiC焼結体は、耐熱性、耐酸化性、耐腐食性、高硬度などの特徴を生かした、エンジニアリングセラミックスとして有用な工業材料の一つです。近年では、半導体部材などとしても利用されています。また、SiCは、電気炉用の発熱体としても用いられています。セラミック発熱体については、次回、説明します。

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3. 窒化物セラミックス

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4. ホウ化物セラミックス

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5. その他の非酸化物

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