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セラミックスの物理的特性評価(機械的特性~密度、強度、硬度~):セラミックスの基礎知識9

セラミックスの基礎知識

更新日:2021年2月10日(初回投稿)
著者:東海大学 工学部 材料科学科 教授 松下 純一

前回は、セラミックスの基本的な作製方法を紹介しました。今回から2回にわたり、セラミックスの特性評価について取り上げます。今回は、日本産業規格(JIS)の規定を付記しながら、セラミックス、特にファインセラミックスの特性評価(キャラクタリゼーション、Characterization)について解説します。

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1. セラミックスの特性評価

セラミックスの特性評価(キャラクタリゼーション、Characterization)は、物理的特性評価と化学的特性評価に大別できます(図1)。特性(Property/Properties)の評価(Evaluation)は、キャラクタリゼーション(外来語)と呼称する場合もあります。前者の物理的特性評価には、機械的特性、電磁気的特性、熱的特性、光学的特性などに基づく評価があります。後者の化学的特性評価は、化学反応を伴うセラミック材料の特性で、化学的安定性(反応性)の評価をはじめ、生体用セラミックス(バイオセラミックス)などの生体活性・生体不活性、有害性(毒性)の評価などがあります。なお、通常、化学的特性には、非酸化物セラミックスの耐酸化性、および触媒の性能(特性)なども含めます。

図1:セラミックスの特性評価

図1:セラミックスの特性評価

セラミックスの特性、特にファインセラミックスの特性に関する試験方法、および評価方法は、日本では日本産業規格JIS(旧 日本工業規格、Japanese Industrial Standards)により、国際的には国際標準化機構ISO(International Organization for Standardization)により、ある程度、規定されつつあります。近年では、できるだけISOの規格に準拠した方法で特性評価を行うのが望ましいとされています。ただし、得られた試料の試験片サイズが規定よりも小さすぎる場合などは、この限りではありません。

なお、JISは産業標準化法(旧 工業標準化法)に基づき制定された国家標準の規格です。これに対しISOは、非政府組織(世界的な標準化団体)による国際標準の規格です。また、ASTM International(旧 米国試験材料協会ASTM、American Society for Testing and Materials)は、アメリカを中心とした国際的な標準化団体です。

2. セラミックスの密度評価

セラミックスの密度(Density)と一言でいっても、かさ(嵩)密度(Bulk Density)、理論密度(Theoretical Density)、真密度(True Density)、見掛け密度(Appearance Density)、相対密度(Relative Density)など、多くの種類があります。ファインセラミックス粉末の粒子密度測定方法、およびファインセラミックス粉末のかさ密度測定方法は、それぞれJIS R 1620、および JIS R 1628に規定されています。また、ファインセラミックスの焼結体密度・開気孔率の測定方法は、JIS R 1634で規定されています。

焼結体のかさ密度をアルキメデス法(Archimedes’ Principle)を用いて測定する場合は、液体が被焼結体試料中の開気孔に十分に浸透するような条件を選ぶ必要があります。さらに、測定の誤差を少なくするために、かさ密度測定用の焼結体試料には、なるべく大きなものを用いることや、同一ロットの試料であれば、複数個の測定をすることが望ましいとされています。

試料の相対密度は、得られたかさ密度を理論密度で除し、100を乗じた数値です。単一組成の焼結体や単純複合体の理論密度は、各構成元素、あるいは構成化合物の理論密度から算出することが可能です。しかし、焼結時に固溶体や反応生成物が生じ、焼結体中の構成組成や量が不明の場合は、事前に焼結体を微粉砕し、測定装置を用いて真密度(理論密度)を求める場合もあります。ただし、相対比較をする場合や、固溶体や反応生成物量がごくわずかな場合などは、単純複合体の理論密度を使用して、緻密化の目安として相対密度を算出します。

3. セラミックスの強度評価

セラミックスの強度(Strength)の種類には、曲げ強さ(Bending Strength)を示す抗折強度(Flexural Strength、Transverse Rupture Strength)の他、圧縮強さ(Compressive Strength)、引張強さ(Tensile Strength)、衝撃強さ(Impact Strength)などがあります。

ファインセラミックスの室温曲げ強さ試験方法は、1981年に、JISにおいて最初に制定されたファインセラミックスの試験方法に関する規格です(JIS R 1601)。その他にも、JISには、以下のファインセラミックスの試験方法が規定されています。

・ファインセラミックスの高温曲げ強さ試験方法(JIS R 1604)
・ファインセラミックスの圧縮強さ試験方法(JIS R 1608)
・ファインセラミックスの室温および高温引張強さ試験方法(JIS R 1606)
・ファインセラミックス接合の曲げ強さ試験方法(JIS R 1624)
・ファインセラミックス接合の引張強さ試験方法(JIS R 1630)

図2に、強度試験機の一例を示します。ファインセラミックスの衝撃強さは、一般的に、強度特性に分類せずに、靭(じん)性の特性に分類するのが一般的です。衝撃強さの試験には、シャルピー試験機などが用いられます。ただし、JIS化はされていません。

図2:強度試験機

図2:強度試験機

図3に、シャルピー衝撃試験機(引張衝撃試験機)の一例を示します。なお、高分子材料などの衝撃強さの試験方法としては、アイゾット衝撃試験、およびシャルピー衝撃試験が、それぞれJIS K 7110、およびJIS K 7111-1に規定されています。

図3:シャルピー衝撃試験機(引張衝撃試験機)

図3:シャルピー衝撃試験機(引張衝撃試験機)

ファインセラミックスの強度評価は、曲げ強度試験が一般的です。その主な理由は、引張試験用試験片などに比べ、試験片の加工が容易であることが考えられます。特に、緻密な焼結体試料の強度を比較する場合は、同一サイズの試験片で評価することが望まれます。その理由は、試験片内に存在する既存亀裂や、破壊源となりうる偏析相や気孔の存在確率が同程度でない場合、小さいサイズの試験片での強度値の方が、大きいサイズの試験片での強度値よりも、大きな値になる傾向があるためです(計算式の理論上は、試験片寸法の大小にかかわらず強度値は同じになります)。

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4. セラミックスの硬度評価

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