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コンクリートの長所と短所:コンクリートの基礎知識1

コンクリートの基礎知識

更新日:2019年1月8日(第2版)
著者:広島工業大学 工学部 環境土木工学科 教授 十河 茂幸

コンクリートは、インフラストラクチャーの主要材料として、防災や減災、安全・安心・快適な社会づくりに貢献しています。しかし、正しい使い方をしないと、早期の劣化を生じ、崩落やはく落により、市民生活に被害を与えかねません。本連載では9回にわたり、コンクリートの基礎知識を解説します。第1回は、コンクリートの長所と短所、強度特性、物理的性質を紹介します。コンクリートには、優れた性質の反面、弱点もあります。弱点を補うことで、長寿命のコンクリート構造物を実現できます。

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1. コンクリートの長所と短所

砂と砂利を、セメントと水を混ぜた結合材で固めた石のようなかたまりをコンクリートといいます。コンクリートは、さまざまな用途に用いられます。例えば、道路や鉄道、海岸などにみられる護岸、防波堤、土砂崩れを防止する砂防ダムや治山ダム、エネルギー施設、上下水道などの水処理施設、さらに集合住宅や工場などの建築物に使用され、災害に強いインフラが形成されています。これらのインフラは、トンネルや橋りょう、立体構造物などの形状を有し、その用途に応じてコンクリートの長所が生かされています。

ダムの型式の一つに、重力式があります。これは、コンクリートの重さを生かした構造です。ダムに貯まる水の圧力に耐えるだけの重いコンクリートの山を、築いていると考えると分かりやすいでしょう。軽いコンクリートでは水圧によってダムが滑動、転倒する恐れがあります。また、組織が緻密でなければ水が漏れてしまい、貯水の役目を果たしません。

一方、橋りょうでは、コンクリートの重さが欠点になります。軽くて強い材料が望ましいのです。橋りょうの支点(支える箇所)と支点の距離をスパンと呼び、スパンが長い橋りょうは、材料に鋼製が用いられます。例えば明石海峡大橋などの長大橋には、鋼製のトラス構造を用います。しかし、鋼製材料は腐食の懸念があり、防食の塗装を施すなど維持管理が必要となります。維持管理を軽減することを考えるとコンクリート構造が望ましく、スパンが短い橋りょうにはコンクリート構造が選択されます。

図1は橋りょうにコンクリートを用いた場合の概念を示しています。自動車などが荷重となり、コンクリートを下方に変形させると、はりの下の部分は荷重の増加に伴い引張応力が増大します。コンクリートは引張強度が小さいという弱点があり、引張応力が増大するとひび割れが生じます。ひび割れが生じても橋りょうが落下しないのは、引張強度の小さいコンクリートの欠点を鉄筋が補っているからです。すなわち、コンクリートは鉄筋に支えられて構造物の機能を確保しています。同時にコンクリートは、鉄筋をさびから守っています。

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図1:鉄筋コンクリートの概念

コンクリートの長所と短所を表1にまとめています。なお、コンクリートのひび割れについては第7回で解説します。

表1:コンクリートの長所と短所
項目長所短所
強度特性圧縮強度が高い。水セメント比(W/C)が小さいほど強度増大。引張強度が低い。鉄筋がこの弱点を補って構造物とされる。
物理的性質重い。重力式構造物では、これが長所となる。水密性が高い。水を通しにくい。重い。橋りょうでは重いことは弱点となる。透水性を要求されると強度は得難い。
耐久性耐火性がある。劣化しにくい。劣化環境に抵抗できるように設計される。内部の鉄筋が腐食すると劣化する。鉄筋はセメントのアルカリで保護されている。
その他安価な材料。純国産の材料で構成される。任意の形状にできる(造形性)。解体に費用が掛かる。設計者、製造者、施工者の技量や管理状態で品質が左右される。

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2. コンクリートの強度特性

ダムに使われるコンクリートは、重さと水密性が求められる一方、一般的な鉄筋コンクリート構造(プレストレストコンクリート構造も含む)には、強度が求められます。強度といってもさまざまな種類があり、通常、コンクリートの強度は圧縮強度で示されます。その他の強度はどうでしょう。引張強度は、コンクリートの弱点でもあるのでそもそも期待されていません。また、圧縮強度を把握することにより、引張強度、曲げ強度、せん断強度、支圧強度などは類推が可能です。表2に、圧縮強度とその他の強度の関係を示しました。

表2:コンクリートの各種強度と圧縮強度との関係
各種強度算定式圧縮強度との関係など
圧縮強度(Fc)Fc = A + B (C / W)セメント水比(W/Cの逆数)との関係式。A、Bは実験で得られる定数
引張強度(Ft)Ft = 0.23・Fc2/3圧縮強度の1/10~1/13程度。高強度ほど比は小。0.23、2/3は普通コンクリートの定数
曲げ強度(Fb)Fb = 0.42・Fc2/3圧縮強度の1/5~1/8程度、割裂引張強度の1.5倍程度
せん断強度(Fs)Fs=√(Fc/Ft) /2圧縮強度の1/4~1/6程度、引張強度の2倍程度
支圧強度(Fa)Fa=η/Fc  η=√(A/A') ≦2A:支圧分布面積、A’:支圧面積、圧縮強度より高い

コンクリートの構成材料にはセメント、水および骨材(砕石や砂など)があり、骨材が容積の約7割を占めます。コンクリートの強度は、約3割のセメントペーストが支配します。セメントペーストを構成するセメント量に対する水の量(W/C)が小さいほど、コンクリートの圧縮強度を高くできます。図2はセメント水比(C/W)と圧縮強度の関係の一例を示しています。

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図2:セメント水比と圧縮強度の関係の一例

なお、水セメント比を小さくすると、コンクリートが粘りを持ち、扱いにくくなるため、強度には限界が生じます。現在の技術では300N/mm2が可能とされています。ただしこの場合も、使用する骨材の強さに支配されるため、特殊な骨材が必要です。したがって、現場で一般的に使える圧縮強度は、せいぜい60~80N/mm2程度です。

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3. コンクリートの物理的性質

コンクリートの弱点を補うために鉄筋を用いると、大きな温度変化が生じた際に、鉄筋とコンクリートの伸縮の差が大きくなり、一体性に影響を及ぼすことが懸念されます。構造物の温度変化は、一年を通して上下で50℃程度の変化が想定されます。この場合、コンクリートと鉄筋が、同等の伸縮をすることが理想的です。

コンクリートの熱膨張係数は、容積の約7割を占める骨材の熱的性質に左右されます。この値は、骨材の種類によって変動し、7~13×10-6/℃程度とされています。一方、鉄筋の熱膨張係数は、11×10-6/℃程度です。両者の差が小さいことから、夏季から冬季にかけて温度変化が生じても、鉄筋コンクリートは内部に大きな応力が生じることなく、構造の安全性が確保されているといえます。

コンクリートの熱的性質を、表3に示します。このうち、コンクリートの比熱、熱伝導率などは、セメントの水和発熱により生じる温度応力の算出時に使用されます。温度応力の算出については、第7回のひび割れの解説で紹介します。

表3:コンクリートの熱的性質
熱的性質概略値備考
熱膨張係数7×10-6~13×10-6 / ℃骨材種類の影響を受け、石灰石骨材を用いるとやや小さくなる
比熱1.00~1.25 J / g℃水セメント比、骨材品質の影響を受ける
熱伝導率2.6~2.8 W / m℃熱的性質は、約8割の質量を占める骨材の品質に支配される

いかがでしたか? 今回は、コンクリートの長所と短所、強度特性、物理的性質を解説しました。次回は、コンクリートの配合設計を取り上げます。お楽しみに!

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