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コンクリートの養生:コンクリートの基礎知識5

コンクリートの基礎知識

更新日:2016年12月22日(初回投稿)
著者:広島工業大学 工学部 環境土木工学科 教授 十河 茂幸

コンクリートの養生は、コンクリートの主要材料であるセメントの水和反応を、十分に発揮させるために行います。それは同時に、材齢初期(打設日からの経過日数があまり経っていない状態)の段階で、外部からの力に耐えることのできる強度を得るまで、保護することを意味します。養生という言葉の一般的な意味は、生を養うことであり、健康を増進すること、自然治癒を促すこと、対象物や周辺のものを守ることです。コンクリートの養生も特別な意味を持たず、強度を増すことや、コンクリート自体を守ることを意味します。今回は、コンクリートの養生の目的、養生方法などを紹介します。

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1. コンクリートの養生の目的

コンクリートが硬化し、強度を得るためには、適当な温度と水分が必要です。コンクリートの養生は、コンクリートに散水すればいいと考えている技術者が多くいます。しかし、ただ単に、水をかければコンクリートが凝結し、順調に硬化して、構造物が安全になるわけではありません。部材の厚さが大きい構造物では、表面から水をかけても、内部までは浸透しません。コンクリートは透水性が高くなく、緻密で水を通しにくい材料です。

では、なぜ養生が重要なのでしょうか? 養生には、コンクリートが凝結を始めてから硬化するまでの間、外部の影響から保護する意味があります。引っ越しの時に家具が、直接ぶつかり、損傷しないように保護することと同じです。示方書や仕様書に示される養生期間は、この保護に必要な期間です。

コンクリートの品質管理のために、供試体(強度や耐久性などを試験するために用いる試験体)を作製して強度試験を行います。その際に、水中で養生をするより、気中に放置して養生した供試体の強度が、15~30%程低くなる実験結果が、多く報告されています。実際の養生では、内部まで水が浸透しやすい供試体と、表面から水分が浸透しにくい実構造物の違いを考えなければなりません。実構造物に含まれる水分は、表面を除けば封かん(水の出入りがない)状態です。なお、表面付近は、外部からの水分と温度の影響を受けやすいので、養生の作業には十分な配慮が必要です。

『土木学会コンクリート標準示方書 施工編』に示される養生期間を表1表3に示します。温度が低いと、外部の影響に抵抗できるまでの強度発現に時間を要するため、長い養生期間が示されています。表2表3で、コンクリート構造物の養生期間は、水分の供給が十分にある条件下では、長く取られています。温度が低い状態で、コンクリートの表面が水で飽和されると、コンクリート中の水分が凍結し膨張する可能性が高くなり、ひび割れの原因である凍害発生のリスクも高まります。そのため、打設初期での凍害発生を抑えるとともに、凍害に耐えうる強度を得るために、通常より長い養生期間が必要とされています。水分の供給がない場合は強度が小さくてもよいため、これらの標準が示されています。つまり、養生期間は、外部の影響に抵抗できる強度を得るまでの期間とする考えに一致します。また、大雨などからシートなどで、打設直後のコンクリートを守ることも養生といえます。

表1:湿潤養生期間の標準
日平均気温普通
ポルトランドセメント
早強
ポルトランドセメント
混合セメントB 種
15℃以上5日3日7日
10℃以上7日4日9日
5℃以上9日5日12日
表2:寒中コンクリートにおける養生期間の標準
型枠の取り外し直後に
構造物がさらされる環境
養生
温度
(℃)
セメントの種類
普通
ポルトランド
セメント
早強
ポルトランド
セメント
混合セメント
B種
コンクリート表面が水で
飽和される頻度が高い場合
59日5日12日
107日4日9日
コンクリート表面が水で
飽和される頻度が低い場合
54日3日5日
103日2日4日
表3:初期凍害に抵抗できる強度の目安
型枠の取り外し直後に
構造物がさらされる環境
断面の大きさ(N/mm2)
薄い場合普通の場合厚い場合
コンクリート表面が水で
飽和される頻度が高い場合
151210
コンクリート表面が水で
飽和される頻度が低い場合
555

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2. コンクリートの養生方法

コンクリートの養生には、さまざまな方法があります。表4に各種の養生方法を示します。湿潤養生はコンクリートの水和を進める効果を期待するもので、直接水分を与えるたん水養生、散水養生、供試体で行われる水中養生などがあります。水分の逸散を防ぐのも養生の一つです。型枠養生(型枠を存置している間は養生期間とする方法)、シート養生などは封かん養生と考えるのが適切です。なお、気中養生という言葉がありますが、水分を与えないで空気中にさらしているだけであり、養生とは言えません。ただし、その間に外部の影響を加えないように配慮する意味では、水分を与えない状態で保護しているとも考えることができます。

表4:各種の養生方法
養生方法目的方法
たん水養生乾燥防止スラブなど周囲の型枠をあらかじめ高くして、コンクリートの表面に水を張る方法。非常に効果がある。水深は2~3cm。凍結の恐れがある場合は、水深を大きくする。
散水養生乾燥防止気象条件によって乾燥が激しく、散水の効果がムラになりやすい。人力による散水より、スプリンクラーなどによる自動的な常時散水がよい。コンクリートを冷やすと、温度ひび割れを誘発するので注意する。
被膜養生乾燥防止コンクリートの表面仕上げ終了後、できるだけ早い時期に膜養生剤を散布し、水分の蒸発を防ぐ。ごく初期の乾燥防止には有効である。気温が高い場合には効果が減退する。
保湿養生乾燥防止コンクリートに十分に散水し、その上から表面に密着するようシートをかぶせる。水の供給は状況に応じて1日1回以上する。保湿のためには、コンクリート露出面、開口部、型枠の外側をシート類で覆う。
保温養生保温コンクリート露出面、開口部、型枠の外側をシート類で覆う。外気温が0℃以下になる恐れのある場合に用いる。気温が著しく低い場合には、適温に保つことは不可能となる。
断熱養生保温、温度ひび割れ防止コンクリート表面に断熱マットを敷いたり、発泡ウレタンスチロールなどの断熱材を張り付けた型枠を用いる。外気温があまり低くない(0℃程度)場合、ある程度部材の寸法が大きい場合には有効である。
蒸気養生プレキャスト部材や2次製品の強度発現促進プレキャスト部材や2次製品の作成時に、蒸気を与えることにより、温度と湿度を供給し、強度発現を促進させる。湿潤状態が理想的である。ダクトで任意の場所に供給可能。装置が大きく、移動困難。生産性向上のために使用される。
高温高圧養生2次製品の強度発現促進次製品の作製時に高温と高圧を与え、強度発現を促進させる。生産性向上のために使用される。
参考標準養生供試体の養生20±3℃に保ちながら、水中または湿度100%に近い湿潤状態で行う養生。
封緘養生供試体の養生コンクリートから水分の逸散がない状態で行う養生。

温度養生は、早い段階でコンクリートを硬化させて、工事のサイクルを早めたい場合に行います。コンクリートの硬化を早めるために温度を高めに設定すると、長期的にはコンクリートの硬化の進みは持続しにくくなります。必要以上に温度を高めない方が、結果としてコンクリートの耐久性を高めます。

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

3. コンクリートの養生技術

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