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コンクリートのひび割れ:コンクリートの基礎知識7

コンクリートの基礎知識

更新日:2017年1月25日(初回投稿)
著者:広島工業大学 工学部 環境土木工学科 教授 十河 茂幸

一口に、コンクリートのひび割れといっても、原因や発生時期、対策方法はさまざまです。また、コンクリートのひび割れは、全て問題となるわけではありません。ただし、コンクリートの性質上、回避できないひび割れもあります。今回は、さまざまな原因で生じるひび割れと、その対策について解説します。

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1. コンクリートに生じるひび割れの分類

ひび割れを分類する方法はいろいろあります。原因別では、材料、配合、施工、構造などに分けることができます。しかし、ひび割れは発生時期で分類する方が分かりやすく、対策も立てやすいです。表1に、発生時期によるひび割れの分類を示しています。

表1:発生時期によるひび割れの分類(引用:十河茂幸、河野広隆、和泉意登志、地頭薗博、牧保峯、コンクリートのひび割れがわかる本、セメントジャーナル社、2003年、P.69)
ひび割れのパターン推定されるひび割れの原因
発生時期規則性形態
数時間

1日
網状長時間の練混ぜ、ポンプ圧送時の配合の変更
表層コンクリートの沈下・ブリーディング、長時間の練混ぜ、ポンプ圧送時の配合の変更、急速な打込み、漏水、支保工の沈下
貫通長時間の練混ぜ、ポンプ圧送時の配合の変更、不適当な打込み順序、不適当な打継ぎ処理、支保工の沈下
網状初期養生中の急激な乾燥
表層セメントの異常凝結、急速な打込み、効果前の振動や載荷、初期養生中の急激な乾燥、型枠のはらみ
貫通不適当な打込み順序、不適当な打継ぎ処理
数日網状
表層セメントの水和熱、型枠の早期撤去、断面・鉄筋量不足
貫通セメントの水和熱、支保工の沈下
網状骨材に含まれている泥分、初期凍害
表層効果前の振動や載荷、初期凍害
貫通
数十日
以上
網状コンクリートの乾燥収縮、長時間の練混ぜ、ポンプ圧送時の配合の変更
表層コンクリート中の塩化物、コンクリートの乾燥収縮、長時間の練混ぜ、ポンプ圧送時の配合の変更、配筋の乱れ、かぶり厚さの不足、環境温度・湿度の変化、部材両面の温度・湿度の差、中性化による内部鉄筋のさび、侵入塩化物による内部鉄筋のさび、永久荷重・長期荷重(設計荷重内)、動的荷重・短期荷重(設計荷重内)、断面・鉄筋量不足
貫通コンクリートの乾燥収縮、長時間の練混ぜ、ポンプ圧送時の配合の変更、不適当な打込み順序、不適当な打継ぎ処理、環境温度・湿度の変化、永久荷重、長期荷重(設計荷重超)、動的荷重・短期荷重(設計荷重超)、断面・鉄筋量不足、構造物の不(同)等沈下
網状セメントの異常膨張、骨材に含まれている泥分、反応性骨材、混和剤量の不均一な分散、初期凍害、凍結融解の繰り返し、火災、表面化熱、酸・塩類の化学作用
表層セメントの異常膨張、骨材に含まれている泥分、低品質な骨材、反応性骨材、不十分な締固め、初期凍害、凍結融解の繰り返し、火災、表面化熱、酸・塩類の化学作用、凍上
貫通不適当な打込み順序、不適当な打継ぎ処理

近年では、レディーミクストコンクリート(生コン)を使用する建設工事がほとんどです。沈下ひび割れや、初期収縮ひび割れは、打設前に問題が発生していると考えられます。この問題を防ぐのは、主に設計者と製造者です。施工者が原因を作る場合もあります。誰がどの程度責任を負うかは、判断が困難です。図1に、沈下ひび割れ(沈降ひび割れとも呼ぶ)の事例を示します。

図1:沈下ひび割れ

図1:沈下ひび割れ

沈下ひび割れの発生する仕組みは後述します。沈下ひび割れの原因には、設計時にブリーディング水(コンクリート打設後に発生する浮き水)の出やすいコンクリートを指定する点が挙げられます。製造時にブリーディング水の発生しやすい材料を選定し、配合することに起因します。しかし、ひび割れは施工後に発生するため、施工者に問題があったとされる場合が多くあります。

図2に、コンクリートの打設後すぐに発生する初期ひび割れの事例を示します。

図2:収縮ひび割れ

図2:収縮ひび割れ

初期ひび割れの発生する仕組みも後述します。初期ひび割れの原因は、材料自体が収縮する特性を持っていることと、施工時の対応です。このひび割れも、施工者の問題とされがちです。しかし、設計時の材料選択によっては、ひび割れの発生を防げないこともあります。初期ひび割れを防ぐためには、ひび割れの発生するメカニズムを理解し、事前に対策することが必要です。

供用期間中(コンクリートの耐久期間)に生じるひび割れは、ほとんどがコンクリート中の鋼材の腐食か、コンクリート自体の劣化によって生じます。劣化に伴い生じたひび割れは、一旦発生すると進行するので、早期の補修対策が必要です。供用期間中のコンクリートについては、次回解説します。

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2. ひび割れの発生メカニズム

コンクリートには、さまざまな原因でひび割れが生じます。コンクリート構造物に外部から力が作用すると、部材に曲げ応力が作用し、引張応力に対抗する力が弱いコンクリートには簡単にひび割れが生じます。そのために鉄筋で補強して、じん性を付与します。

外部から力が作用しなくても、ひび割れが生じる場合もあります。コンクリートは収縮する性質を持っています。この収縮を拘束すると、コンクリートには引張応力が生じます。引張応力に抵抗できないコンクリートは、容易にひび割れを生じます。このようなひび割れは、初期ひび割れと呼ばれます。乾燥収縮が原因であれば乾燥収縮ひび割れ、コンクリートの硬化により発生した自己収縮が原因であれば自己収縮ひび割れ、セメントの水和発熱が主な原因であれば温度ひび割れと呼びます。

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

3. 初期ひび割れの対策技術

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

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