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コンクリート構造物の劣化:コンクリートの基礎知識8

コンクリートの基礎知識

更新日:2017年2月3日(初回投稿)
著者:広島工業大学 工学部 環境土木工学科 教授 十河 茂幸

コンクリート構造物の劣化は、さまざまな原因で進みます。コンクリート表面からの浸食や、内部組織のぜい弱化、さらには、コンクリートの弱点を補うために使用した鋼材の腐食などの原因があります。構造物が置かれる環境により、劣化因子が複雑に作用し、年数を経て劣化していきます。もちろん、丁寧に施工されたコンクリート構造物が、長い年月にわたって存在している場合も少なくありません。今回は、コンクリート構造物が劣化する現象について解説します。

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1. コンクリート構造物の劣化メカニズム

コンクリート構造物は、さまざまな原因で劣化していきます。劣化は原因別に、塩害、凍害、中性化に伴う鋼材の腐食、アルカリシリカ反応、化学的腐食、疲労などに分類されます。劣化のメカニズムはそれぞれ異なります。

塩害

塩害は、鉄筋の腐食膨張によりコンクリートにひび割れが生じ、構造安全性が損なわれる現象です。海岸から飛来した塩分がコンクリート内部に浸透し、鉄筋を腐食させます。寒冷地の山間部において、道路に凍結防止剤を散布する場合も塩害の影響を受けます。鋼材の腐食を守るための不動態被膜は、塩化物イオンが一定の濃度に達した段階で破壊されます。不動態被膜で覆われている部位との間で腐食電池を形成することにより、激しく鋼材腐食が進みます。図1にコンクリート中の鉄筋腐食進行の概念を示します。

図1:コンクリート中の鉄筋腐食の概念

図1:コンクリート中の鉄筋腐食の概念

中性化

中性化による鋼材腐食は、高アルカリ性であるコンクリートが、中性化することにより生じます。中性化は、硬化したセメント中の水酸化カルシウムへ、空気中の二酸化炭素が浸入し、炭酸カルシウムに変化する現象です。つまり、高アルカリである水酸化カルシウムが炭酸カルシウムに変質することで、pHは中性化し、鉄筋を腐食環境にします。中性化の概念を図2に示します。

図2:二酸化炭素による中性化の概念

図2:二酸化炭素による中性化の概念

中性化速度は、アルカリから中性に向かう速さを示す指標です。コンクリートの緻密さが影響し、水セメント比やセメントの種類により、速さが異なります。例えば、水セメント比が大きいと中性化が早く進み、水セメント比が小さくなるにつれて中性化しにくくなります。そして、普通ポルトランドセメントを使用したコンクリートでは、水セメント比が40%以下になると、中性化は生じません。混合材の置換率にもよりますが、高炉セメントやフライアッシュセメントなどの混合セメントは、普通ポルトランドセメントに対し、2~3倍の速度で中性化する場合もあります。

凍害

凍害は、コンクリート内部に含まれる水の凍結と融解の繰り返しにより起こる劣化現象です。コンクリート中の水の凍結膨張圧により、コンクリートの内部には圧力が生じます。氷が溶けて水に戻る段階では組織が緩みます。この現象の繰り返しにより、コンクリートの組織はぜい弱になります。水は氷になるときに9%体積が膨張し、氷が溶けると体積が減少します。コンクリート組織の凍結融解は、厳寒地では毎日繰り返されます。このときの凍結圧を緩和するのは、内部に連行したエントレインドエアと称される微細な気泡の量です。適切な空気量が存在すれば、凍害に抵抗できます。また、凍結圧を強めるのは内部の水であるため、乾燥条件下では劣化はあまり進みません。

ASR

ASR(Alkali Sillica Reaction:アルカリシリカ反応)による劣化は、セメント中のアルカリと、骨材中のある種のシリカが反応し、吸水膨張によりコンクリートがひび割れを生じて、性能が低下する現象です。ASRによる劣化の概念を図3に示します。吸水膨張した骨材は、コンクリートに比較的大きな幅のひび割れを生じさせます。そして、骨材自体は強度を失い、コンクリート組織はぜい弱化します。

図3:アルカリシリカ反応による劣化の概念

図3:アルカリシリカ反応による劣化の概念

化学的腐食

化学的腐食は、下水処理施設などから生じる硫酸塩や、めっき工場などで使用される強酸、温泉地などの酸性水などにより、コンクリート表面が徐々にぜい弱化する現象です。もともと高アルカリのセメントコンクリートは酸に弱いため、酸に触れる場合は耐酸性の材料で被覆するなどの対策が必要です。

疲労

疲労劣化とは、道路床版などで、破壊強度より小さな外力であっても、繰り返し作用することで、床版が徐々にひび割れ、ついには欠落する現象です。

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2. コンクリートをぜい弱化させる環境条件

コンクリート自体がぜい弱化する劣化現象は、凍害、アルカリシリカ反応、化学的腐食、そして疲労劣化です。図4図5に凍害による劣化事例を、図6にアルカリシリカ反応による劣化事例を示します。

図4:コンクリート構造物の凍害による劣化事例

図4:コンクリート構造物の凍害による劣化事例

図5:コンクリート二次製品の凍害事例

図5:コンクリート二次製品の凍害事例

図6:アルカリシリカ反応による劣化事例

図6:アルカリシリカ反応による劣化事例

寒冷地では、コンクリート表面の小さなひび割れの発生や、表面が徐々に剥がれるスケーリングと呼ばれる現象が起こる場合があります。これらの現象は、凍害による劣化とみられます。凍害は、コンクリート中の水が凍り発生する現象なので、寒冷地が凍害環境といえます。ただし、中国地方や四国の山間部、九州でも凍害は生じます。

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

3. 内部の鋼材を腐食させる環境条件

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

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