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コンクリートの長寿命化:コンクリートの基礎知識9

コンクリートの基礎知識

更新日:2017年2月17日(初回投稿)
著者:広島工業大学 工学部 環境土木工学科 教授 十河 茂幸

コンクリート構造物は本来、永久構造物であり、長寿命が期待されます。それは、古代ローマ時代に多くのコンクリート構造物が築かれ、現存していることからも立証されています。そう考えると、近年のコンクリート構造物は、早期に劣化しています。最終回の今回は、長寿命なコンクリート構造物の実例と、劣化の抑制技術、長寿命化するための技術を紹介します。

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1. 長寿命なコンクリート構造物

コンクリート構造物の歴史は古く、古代ローマ時代の帝政初期(紀元前27年~西暦193年)にさかのぼります。多くの構造物が構築され、維持管理費用が賄えなくなり、ローマ帝国が滅びたとする説もあります。コンクリート構造物は長寿命であるものの、その維持管理を怠ってはなりません。

数百年の歴史を刻んでいる木造構造物は、たくさん現存しています。居住用の木造建築は、住心地が悪くなると建て替えられます。一方で、歴史的な構造物はそのままの姿で保存されているので、私たちは目にすることができます。コンクリート構造物も同様で、設備の老朽化や住み心地の悪化から建て替えられます。ただし、適切な維持管理を行えば寿命を延ばすことができます。図1は、住民が退去し、維持管理をしなくなって廃墟と化した軍艦島(長崎県)の住居です。

図1:廃墟となった軍艦島の住居

図1:廃墟となった軍艦島の住居

一方、維持管理をしていなくても100年の歴史を刻んでいる構造物もあります。図2の小樽港北防波堤は北海道で1908年に完工、図3の本庄水源地は広島県呉市で1924年に完工しました。ともに劣化の原因となりやすい鉄筋の入らないコンクリート構造物です。鉄筋コンクリート構造物では、図4の琵琶湖疎水(水路)に架けられたメラン式アーチ型の日本最初の鉄筋コンクリート橋があります。この橋は、健全とはいえない状況で残されています。

図2:小樽港北防波堤

図2:小樽港北防波堤

図3:本庄水源地

図3:本庄水源地

図4:琵琶湖疎水にかけられた日本最初の鉄筋コンクリート橋

図4:琵琶湖疎水にかけられた日本最初の鉄筋コンクリート橋

近代セメントを使用したコンクリート構造物の寿命は、数百年程度です。古代コンクリートは永久構造物として期待できます。近代の鉄筋に頼る構造とそれを劣化させる環境が、コンクリート構造物の寿命を短くしています。今後は、劣化のメカニズムを理解して克服し、長寿命化の実績を重ねる必要があります。

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2. コンクリート構造物の劣化抑制技術

第8回で紹介したように、コンクリート構造物の劣化を早めるのは、内部の鋼材の腐食とコンクリート自体の老朽化です。コンクリート構造物の長寿命化には、コンクリート自体を劣化しにくい組織とすること、鋼材自体を腐食しにくい素材にすること、鉄筋を保護するコンクリートの性能を確保することが必要です。そして、維持管理を適切に行えば、コンクリート構造物の長寿命化は可能となります。

コンクリート自体の長寿命化には、劣化因子の浸入を抑制する技術が必要です。例えば、ASR(Alkali Silica Reaction:アルカリシリカ反応)に対しては、反応性の骨材を使わないに越したことはありません。しかし、反応性骨材を用いたとしても、水の供給を断つことで吸水膨張を抑制でき、コンクリート構造物への影響を小さくできます。凍害に対しては、コンクリート中に微細な気泡を連行することで凍結膨張圧を低減できます。コンクリート内部への水の浸入を抑制すれば、水の凍結膨張圧は生じないため、凍害を受ける可能性は極めて小さくなります。水の浸入を防ぐことが、コンクリート構造物の長寿命化に影響します。

鋼材の腐食を防ぐには、エポキシ樹脂塗装鉄筋、ステンレス製鉄筋の使用などが考えられます。しかし、数百年の寿命を保証するには十分な実績がありません。さびない補強材としては、合成繊維などを素材にした短繊維や長繊維もあります。ただし、これらの実績も歴史が浅いため保証されてはいません。補強材が構造物の安全性に影響を与えないようにするには、コンクリート自体の化学的安定、鋼材自体の耐久性、鋼材の腐食を遅らせる物質透過性の低減との連携が必要です。

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

3. コンクリート構造物の長寿命化技術

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