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結露対策の基礎知識

更新日:2021年11月10日(初回投稿)
著者:大阪工業大学 元准教授 佐藤 眞奈美

さまざまな分野で、結露対策の必要性が伝えられています。本連載は、2021年3月に改訂版が刊行された「建物における湿害の診断と対策に関する規準・同解説」(日本建築学会環境規準)に基づき、なぜ結露対策が必要かを解説します。各回において結露発生のしくみ(メカニズム)や結露が引き起こす種々現象、さらには人体への影響などを取り上げます。今回は、結露の分類について説明します。結露の対策を示す前に、工学的な現象としての結露を知ることから始めましょう。

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1. 表面結露

初めに、結露の工学的分類を説明します。結露の典型的なものに、表面結露があります。これは、室内や外気に接する材料表面に、目視可能な水滴が発生するものです。柱や壁、窓サッシ、扉、床など、露点温度以下の部位に、空気中に含まれる水蒸気が触れることで、水蒸気が凝縮し、液水が発生する現象です。

図1は、人工気候室に設置した、実物大の窓の様子です。窓サッシとガラス周囲は断熱しており、サッシとガラス部位のみ熱が移動します。室内側は20℃、相対湿度40~50%の環境を維持しました。

図1:人工気候室に設置した窓

図1:人工気候室に設置した窓

ガラスもサッシ素材のアルミも、熱の良導体です。そのため、室内側の窓表面は、ほぼ外気温相当となります。実験の結果、図2のように、室内側ガラス表面に水滴が発生し、落下結露水を吸水テープが吸っている様子が観察できました。

図2:吸水テープ付き窓の表面結露

図2:吸水テープ付き窓の表面結露

材料表面で水滴が発生する表面結露と区別するために、建物外皮(建物の内と外を分ける境界のさまざまな部位)に水蒸気を含む空気(湿り空気)が侵入し、目視できない外皮内材料表面で水蒸気が凝縮し、液水になる現象を、壁体内結露と呼ぶ場合もあります。ただし、発生部位の違いのみで、発生メカニズムは表面結露と同じです。

2. 内部結露

内部結露は、多くの場合、時間遅れで被害が生じます。簡単に目視できず、実害が明らかになって初めてその発生を認識することになります。

ガラス、樹脂、金属材など非透湿材料を除き、建築材料は100nmから数mm径の毛細管や空隙(くうげき)を有する多孔質材料です。内部結露は、この毛細管や空隙の内部で、水蒸気が凝縮して液水となる現象です。この現象が発生すると、材料の含水率が高くなります。

3. 冬型結露、夏型結露、放湿型結露

気候条件によって発生する結露には、冬型結露、夏型結露があります。また、夏型結露と似たものに、放湿型結露があります。

・冬型結露

冬型結露は、建物外皮が低温になる時期に、室内の空気中に含まれる水蒸気が露点温度以下の部位に触れると、水蒸気が凝縮し、液水が発生する現象です。発生原因による分類では、冬型結露といいます。

・夏型結露

夏型結露は、春から夏にかけて、高温で多量の水蒸気を含む外気が屋内や建物外皮に侵入すると、外気より低温の部位で水蒸気が凝縮し、液水が発生する現象です。発生原因による分類では、夏型結露といいます。熱容量の大きな材料ほど、外気よりも低温の部位は生じやすくなります。

・放湿型結露

放湿型結露は、よく夏型結露と混同されます。水蒸気を吸いまたは吐き出す、いわゆる「呼吸する」と表現されるのは、多孔質材料の吸放湿性能です。吸放湿性がある材料では、日射などによる急激な加熱で、内部に蓄積していた水分が隣接空間に放出されます。この水蒸気が空間内に拡散し、空間内の低温箇所で液水が発生します。これを、放湿型結露といいます。放湿型結露の直接的な原因は、日射や、外気温度の上昇による材料からの放湿です。夏型結露と似ているものの、前述のように発生要因は異なります。

~Tech Note編集部からのコメント~

いかがでしたか? 今回は、工学的な現象としての結露の基礎知識を紹介しました。次回は、結露発生の仕組みを取り上げます。お楽しみに!

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