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環境の腐食性と耐食材料:腐食の基礎知識3

腐食の基礎知識

更新日:2017年11月21日(初回投稿)
著者:化学工学会SCE・Net 装置材料研究会 鈴木 紹夫

前回は、アルミニウム、ステンレス鋼、銅の腐食を解説しました。今回は、耐食について解説します。金属材料は、淡水、海水など、さまざまな環境で使用されます。それぞれの環境で生じる腐食現象と耐食材料について学びましょう。

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1. 腐食環境の種類

腐食環境には、淡水・海水・大気・土壌・酸・アルカリ・高温などがあり、腐食の要因はそれぞれ異なります。図1に主な腐食環境と腐食要因をまとめました。それぞれの環境の詳細を見ていきましょう。

図1:主な腐食環境と腐食要因

図1:主な腐食環境と腐食要因

2. 淡水環境

淡水は、硬水と軟水に分けられます。カルシウムやマグネシウムなどの硬度成分を多く含むのが硬水、少ないのが軟水です。硬水中では、鋼の表面に硬度成分が析出して、防食性の皮膜を形成します。これにより、腐食性は低下します。軟水中では防食性皮膜が形成されず、腐食性は高くなります。

淡水中の炭素鋼には、安定したさび層(酸化物皮膜)が形成されるため、腐食性は低く、腐食速度は0.2~0.3mm/年です。腐食速度は、淡水中に溶け込んだ酸素(溶存酸素)の供給速度によって変化します。水の流れる速さが増すと、鋼表面に触れる溶存酸素量も増え、腐食速度も増大します。

代表的な淡水である水道水には、衛生面から塩素(次亜塩素酸塩)が添加されています。水道水に添加される殺菌剤の塩素は酸化性が強く、金属材料の腐食性は高くなります。そのため、配管材料には塩素に強い鋳鉄(ちゅうてつ)や亜鉛めっき鋼、樹脂ライニング鋼ステンレス鋼などが使用され、炭素鋼がむき出しで使用されることはほとんどありません。塩素は揮発性なので、気相部(水面より上の気体部分)に濃縮されます。そのため、液相部(水面より下の液体部分)よりも気相部の方が、腐食性が高くなります。例えば、オーステナイトステンレス鋼(SUS304など)製の貯水槽は、液相部では耐食性を示しても、気相部に孔食や発錆(せい)が多く生じるため、注意が必要です。高純度フェライトステンレス鋼(SUS444など)は、塩素系に対して優れた耐食性を示すため、貯水槽の素材に適しています。

3. 海水環境

海水は塩化ナトリウム NaClなどの塩類を約3.5%含むpH8の弱アルカリ性水溶液です。海水中での腐食速度は溶存酸素の供給速度に依存し、平均腐食速度は淡水と同程度です。しかし、塩分の影響によりさびこぶ腐食などの局部腐食が生じます。さびこぶ腐食とは、さびが盛り上がってこぶのようになる腐食のことです。そのため、炭素鋼を使用するには塗装や電気防食が必要となります。鉄鋼各社では、ニッケル Niやクロム Cr、銅 Cuなどの合金成分を数パーセント添加した耐海水鋼を開発し、供給を開始しています。

海水腐食は、海中部、干満帯、飛沫帯、および海上大気部など、位置と場所によって必要な対策が変わります。最も腐食性が高いのは飛沫帯です。飛沫帯には酸素が十分にあり、濡れと乾きの繰り返し頻度が高く、電気防食が効かないなど、腐食しやすい条件がそろっています。この条件下で完全な防食を実現するには、チタン Ti(使用例:東京湾横断道路の橋脚など)や、高ニッケル Ni、高モリブデン Moを含むスーパーステンレス鋼SUS312L(使用例:羽田空港D滑走路など)など、高級耐食材料を使用する必要があります。

図2:東京湾アクアラインの橋梁部(写真提供:東日本高速道路株式会社)

図2:東京湾アクアラインの橋梁部(写真提供:東日本高速道路株式会社)

4. 大気環境

大気中の金属表面は、一見乾いているようでも、吸着水分子の薄い水膜が存在しています。水膜には、大気中の酸素や二酸化炭素、大気汚染物質の硫黄酸化物 SOxや窒素酸化物 NOxなどが溶けています。そのため、大気環境にある金属の腐食性は、湿度、気温、降雨量などの気象因子と、大気汚染物質や海塩粒子など腐食促進物質の種類と量で変化します。

腐食促進物質が少ない清浄な大気中では、気象条件によって金属の腐食性が決まります。結露と降雨が多いと腐食しやすくなります。炭素鋼は結露・降雨条件に強く、腐食速度は0.01~0.03mm/年と速くありません。一方、臨海部の工業地帯のような大気汚染物質が多い大気環境で炭素鋼を使用すると、安定なさび層が形成されないため腐食性が高く、腐食速度は1桁以上増大します。このような大気環境でも腐食に耐えられるように、銅 Cu、クロム Cr 、ニッケルNi、リン Pなどを添加した耐候性鋼(SMA材、SPA材など)が開発され、使用されています。

5. 土壌環境

土壌環境における金属の腐食性は、土壌に含まれる水分(含水率)や通気性、共存する塩類の種類と濃度、電気伝導性、pHなどによって決まります。土壌中には、硫酸塩還元菌などの微生物が生息しているため、微生物腐食も考慮します。

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

6. 酸環境

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7. アルカリ環境

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8. 高温環境

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9. 耐食材料のまとめ

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