切削加工の種類
メニュー

切削加工の種類:切削加工の基礎知識1

切削加工の基礎知識
更新日:2016年7月28日(初回投稿)
著者:基盤加工技術研究所代表 工学博士 海野 邦昭

切削加工技術は、日本の製造業を支える重要な基盤加工技術の一つです。以前は、板金や機械部品の切削加工技術者は「鍛冶屋さん」と呼ばれ、自分たちで刃物を作っていました。しかし分業が進んだ今日、自分たちで刃物を造ることはなくなりました。技術者は切削加工の知識を習得した上で、作業目的に合った刃物(切削工具)を選択しなければなりません。また、それらを最適な条件下で使用することが大切です。

今回から7回にわたり、切削加工について解説します。1回目は、さまざまな切削加工法を紹介しながら、切削加工の基本を解説します。

今すぐ、技術資料をダウンロードする!(ログイン)

1. 「切る」と「削る」の違い

一口に「切削」といっても、「切る」と「削る」には違いがあります。例えば、鋭利なナイフでリンゴの皮をむいた場合、切りくずをリンゴに巻き付けると、皮をむく前の形に戻ります(図1)。切りくずは変形していないことが分かります。このように、工作物を切削工具で切削したとき、切りくずが変形せず、またその組織が変化しない場合を「切る」といいます。

図1:切る 切りくずは変形せず、元の形に戻すことができる

図1:切る 切りくずは変形せず、元の形に戻すことができる(引用:加工の工学)

もしリンゴが硬い鋼材でできていたらどうでしょう。ナイフでは刃が破損してしまい、皮をむくことはできません。この場合は、バイトという切削工具を用います。バイトで鋼製のリンゴの皮むきをした場合、切りくずをリンゴに巻き付けても、元の形には戻りません(図2)。切りくずが大きく変形してしまっているからです。このように、切削時に切りくずが変形し、またその組織が変化する場合を「削る」といいます。

図2:削る 切りくずは変形してしまい、元の形に戻すことはできない

図2:削る 切りくずは変形してしまい、元の形に戻すことはできない(引用:加工の工学)

「削る」場合には、切りくずの変形に伴い、大きな発熱を生じ、エネルギーを消費します。そのため、切削加工を上手に行うには、できるだけ「切る」に近い状態で行う必要があります。

切削工具特集

2. さまざまな切削加工法

切削加工法には、多くの種類があります(図3)。

図3:さまざまな切削加工法

図3:さまざまな切削加工法(引用:工作機械入門)

切削加工法を大きく分類すると、単刃工具を用いる方法と多刃工具を用いる方法になります。単刃工具には、旋盤作業に用いる「バイト」や、平削りや形削り作業に用いる「腰折れバイト」があります。多刃工具には、穴あけに用いる「ドリル」や、溝削りや肩削りに用いる「エンドミル」、平面削りに用いる「正面フライス」、ねじ立て用の「タップ」などがあります。

通常、単刃工具を用いる切削方法は連続切削、多刃工具を用いる切削方法は断続切削です。断続切削の場合、切削工具に衝撃的な力が作用するので、刃先が欠けやすくなります。そのため、多刃工具には十分な耐衝撃性が求められます。

切削工具特集

3. 単刃工具を用いる切削加工

単刃工具を用いる代表的な切削加工は、旋盤作業です。旋盤は代表的な工作機械です。取り付け具(チャックなど)を用いて、工作物(円筒部品)を主軸に固定します。そして工作物を回転させ、往復台上の刃物台に取り付けたバイトを縦送り・横送りすることにより、円筒部品を所定の寸法、形状に加工します(図4)。

図4:旋盤

図4:旋盤(引用:初歩から学ぶ工作機械)

旋盤作業には、多くの種類のバイトが用いられます。バイトを用いて工作物の外周や端面を切削する方法には、「外丸削り(外径切削)」、「面削り」、「ねじ切り」、「テーパ削り」、「溝削り・突切り」、「曲面削り」などがあります。また工作物の内面をバイトで加工する方法には、「穴ぐり・中ぐり」、「めねじ切り」があります。バイトの他に、ドリルやローレットなどが用いられる場合もあります。ドリルを心押台に取り付けて穴を加工する「穴あけ」や、滑り止めを目的とした「ローレット切り」などの切削方法があります(図5)。

図5:汎用旋盤でできる切削加工

図5:汎用旋盤でできる切削加工(引用:初歩から学ぶ工作機械)
切削工具特集

4. 多刃工具を用いる切削加工

多刃工具を用いる代表的な切削加工は、フライス盤作業です。その代表的な工作機械は、立てフライス盤です(図6)。ニータイプと呼ばれる立てフライス盤はテーブル面に垂直な主軸を持ち、切削工具を回転させて工作物を加工します。

図6:ニータイプの立てフライス盤

図6:ニータイプの立てフライス盤(引用:初歩から学ぶ工作機械)

フライス盤による加工方法は、まず、バイス(機械万力)などを用いて、フライス盤のテーブル面に工作物を取り付けます。主軸には、正面フライスやエンドミル、ドリルなどを装着します。そしてハンドル操作によってテーブルを左右(X軸)、前後(Y軸)、上下(Z軸)方向に動かし、工作物の平面や溝、穴などを加工します。

立てフライス盤作業には、正面フライスを用いる「平面加工」、エンドミルを用いる「段差・側面加工」、「ポケット・溝加工」、「キー溝加工」、「曲面加工」などがあります。その他、T溝フライスを用いる「T溝加工」や、あり溝フライスを用いる「あり溝加工」などがあります(図7)。またフライス盤のテーブル面に割り出し台や円テーブルを装着することにより、「割り出し」、「ねじれ溝切削」、「偏心削り」などもできます。

図7::立てフライス盤でできる切削加工

図7::立てフライス盤でできる切削加工(引用:初歩から学ぶ工作機械)

いかがでしたか? 旋盤やフライス盤を用いた、さまざまな切削方法が分かったと思います。次回は、切りくずの変形と切削温度に関連する切削現象を解説します。お楽しみに!

参考文献
・篠崎襄、加工の工学、開発社、1982年
・福田力也、工作機械入門、理工学社、1992年、P.17
・福田力也、工作機械入門、理工学社、1992年、P.27
・清水伸二、初歩から学ぶ工作機械、大河出版、2011年、P.30

  • セミナー2月
  • 特集バナー0127_01
  • 特集バナー0127_02
  • 特集バナー0127_03
  • 特集バナー0127_04

ピックアップ記事

tags

  • 特集バナー0120_01
  • 特集バナー0120_02
  • 特集バナー0120_03