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リボン状切りくずの処理方法:切削加工の基礎知識3

切削加工の基礎知識
更新日:2016年9月1日(初回投稿)
著者:基盤加工技術研究所代表 工学博士 海野 邦昭

前回は、切削現象と理論の第1回として、切りくずの変形と切削温度について解説しました。今回は、第2回、切削時に排出されるリボン状切りくずや、鋼材切削時の表面粗さなどを解説します。

切削作業では、刃物に切削抵抗が作用します。切削抵抗が大きくならないように、工作機械の能力に応じて、適切な切削条件を設定する必要があります。また切削工具に作用する切削熱や切削抵抗により、切れ刃が摩耗します。切れ味が悪くなるので、研ぎ直しや工具交換が必要です。切削工具の研ぎ直しや、工具交換までのインターバルを「工具寿命」と呼びます。特に切削加工のオートメーション化においては、工具寿命の適切な管理が求められます。

鋼材などの旋削加工では、リボン状の流れ型の切りくずが排出されます。この切りくずが、工作物や切削工具に巻き付くと、作業のオートメーション化に支障が生じます。そのため所定の表面粗さを維持しながら、いかに切りくずを切断するか、いわゆる「切りくず処理」が問題となります。

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1. 切削抵抗と切削動力

切削工具で工作物を切削すると、切れ刃には切削抵抗が作用します。ここでは、旋削を行った場合の切削抵抗について考えてみましょう。図1を見てください。

図1:切削断面積と切削抵抗

図1:切削断面積と切削抵抗(引用:機械用語辞典)

切り込みt、送りfで切削した場合の切削断面積aの値は、tとfの積で表されます。(a=t×f)また、力を断面積で割れば応力σとなるので、f=a×σが成り立ちます。σは工作物の破壊応力です。切削時は、寸法効果(寸法が大きいほど、強度が低下する現象)によって、送りに反比例して強度が高くなるので、比切削抵抗Ksを用います。すなわちf=Ks×a=Ks×t×fです。このように、旋削時の工作物(被削材)の材質が既知で、切り込みと送りが分かれば、おおよその切削抵抗の算出が可能になります(表1)。

表1:旋削時の送りと比切削抵抗(引用:三菱マテリアル 旋削加工の所要動力計算式
被削材材質 引張り強さ
(MPa)
および硬さ
各送りに対する比切削抵抗Ks(N/mm2
0.1
(mm/rev)
0.2
(mm/rev)
0.3
(mm/rev
0.4
(mm/rev)
0.6
(mm/rev)
軟鋼 520 3610 3100 2720 2500 2280
中鋼 620 3080 2700 2570 2450 2300
硬鋼 720 4050 3600 3250 2950 2640
工具鋼 670 3040 2800 2630 2500 2400
工具鋼 770 3150 2850 2620 2450 2340
クロムマンガン鋼 770 3830 3250 2900 2650 2400
クロムマンガン鋼 630 4510 3900 3240 2900 2630
クロムモリブデン鋼 730 4500 3900 3400 3150 2850
クロムモリブデン鋼 600 3610 3200 2880 2700 2500
ニッケルクロムモリブデン鋼 900 3070 2650 2350 2200 1980
ニッケルクロムモリブデン鋼 352HB 3310 2900 2580 2400 2200
硬質鋳鉄 46HRC 3190 2800 2600 2450 2270
ミーハナイト鋳鉄 360 2300 1930 1730 1600 1450
ネズミ鋳鉄 200HB 2110 1800 1600 1400 1330

切削抵抗は、切削に必要とされる動力(所要動力)に影響します。旋盤には主軸を駆動するためのモータが装備されており、モータの定格馬力を超えて切削はできません。また旋盤を駆動すると、切削を行っていない場合でも、ベルトや歯車などでエネルギーの損失が生じます。旋盤に与えられたエネルギーのうち、有効に切削に使用されるエネルギー割合は、機械効率係数ηと呼ばれ、通常、約80~85%です。

そして、切削時における仕事は「切削抵抗×切削距離」、すなわち「切削抵抗×切削速度×単位時間」で表されます。切削抵抗は「比切削抵抗×切り込み×送り」なので、「切削仕事=比切削抵抗×切り込み×送り×切削速度×単位時間」となります。そのため切削に必要な動力は、比切削抵抗、切り込み、送り、切削速度および単位時間の全ての積を、機械効率係数で割った値となります。ただし、切削速度は通常、分単位なので、これを秒単位に変換します。またm単位はmm単位に変換します。そのため、60×1000で割ります(図2)。

図2:切削抵抗と所要切削動力

図2:切削抵抗と所要切削動力(引用:トコトンやさしい切削加工の本)
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2. 工具摩耗と工具寿命

切削時には切削工具に高温、高圧が作用します。そのため、切削開始時には鋭利だった切削工具が摩耗し、切削工具の再研削あるいは工具交換が必要になります。旋削の場合、切削工具(バイト)の逃げ面には「逃げ面摩耗(フランク摩耗)」が、すくい面には「すくい面摩耗(クレータ摩耗)」が生じ、これらが一定の値を超えると、再研削や工具交換が必要になります(図3)。

図3:逃げ面摩耗とすくい面摩耗

図3:逃げ面摩耗とすくい面摩耗(引用:トコトンやさしい切削加工の本)

超硬バイトを用いた鋼材切削の場合、切削速度が200m/minまでは逃げ面摩耗が支配的で、その値を超えるとすくい面摩耗が支配的になるといわれています。バイトが切削を開始してから、再研削(工具交換)が必要になるまでの時間、または切削長さを工具寿命と呼びます。また、工具寿命に達したと見なされるバイトの摩耗量を、寿命評価基準と呼びます。

鋼材切削時の逃げ面摩耗幅を測定し、時間との関連で示したのが逃げ面摩耗経過曲線です。逃げ面摩耗経過曲線には、切削開始の時点で摩耗が急激に進む初期摩耗域、切削時間の進行に比例して摩耗が直線的に大きくなる正常摩耗域、そして摩耗が急激に進行する急激摩耗域があります。

初期摩耗域における摩耗の原因には、切れ刃のマイクロチッピングなどが挙げられます。逃げ面摩耗幅が約0.4mmになると摩耗量が急激に増大するため、通常、鋼材の切削ではこの値をもって工具寿命と判断します。また、切削速度を上げると逃げ面摩耗は急激に増大し、工具寿命の0.4mmに早く達します。すなわち切削速度を高くすると、工具寿命は短くなります(図4)。

図4:切削速度と逃げ面摩耗経過曲線

図4:切削速度と逃げ面摩耗経過曲線(イラスト引用:切削加工基礎のきそ、グラフ引用:加工の工学)

続きは保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

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3. 切りくずの切断

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

4. コーナ半径と表面粗さ

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

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