切削油剤の種類と作業目的に沿った選び方とは?
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切削油剤の種類と選び方:切削加工の基礎知識6

切削加工の基礎知識

更新日:2016年10月13日(初回投稿)
著者:基盤加工技術研究所代表 工学博士 海野 邦昭

前回は、切削工具の種類と選び方を解説しました。今回は切削油剤について取り上げます。

自動車のエンジンはエンジンオイルが不足すると、走行時に焼き付きが生じます。切削加工も同様です。切削時には工具の刃先が高温・高圧になるので、焼き付きを防止し、切れ味を良好に保つために、切削油剤を供給します。切削油剤にはエンジンオイルと同じような不水溶性切削油剤や、牛乳や石けん液のような水溶性切削油剤があります。切削油剤にはさまざまな働きがあり、潤滑効果と冷却効果のどちらを主にするかによって、その選択が異なります。また、切削油剤の給油方法にも種類があり、作業目的に沿って選ぶことが大切です。

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1. 切削油剤の種類

切削油剤には多くの種類があり、不水溶性と、水溶性に大きく分類されます。また不水溶性の切削油剤は、油性形(N1種)、不活性極圧形(N2、N3種)および活性極圧形(N4種)に分類されます(図1)。

図1:切削油剤の分類

図1:切削油剤の分類(引用:JIS K 2241切削油剤)

不水溶性切削油剤は、基油(ベースオイル)、油性剤(油脂類、脂肪酸など)、極圧剤(硫黄など)およびその他の防錆(せい)剤や酸化防止剤などから成ります。油性形は、硫黄などの極圧添加剤(切削時における摩擦局部の焼き付き抑制や、切削性の向上を図るために基油に添加する物質)を含まない不水溶性切削油剤です。極圧形は、極圧添加剤を含み、銅板の腐食の程度により、不活性極圧形N2、N3、活性極圧形N4種に分類されます(図2)。

図2:不水溶性切削油剤の種類

図2:不水溶性切削油剤の種類(引用:JIS K 2241切削油剤)

水溶性切削油剤には、水に溶かすと乳白色になるエマルションA1種、半透明になるソリューブルA2種、油を含まない透明な外観を示すソリューションA3種があります(図3)。

図3:水溶性切削油剤の種類

図3:水溶性切削油剤の種類(引用:JIS K 2241切削油剤)

エマルションは、水、油および界面活性剤から成り、油の粒子が大きいのが特徴です。牛乳がこのタイプです。ソリューブルは、水、油、界面活性剤、水溶性添加物、溶解物質から成り、エマルションと比べて油の粒子が小さく、石けん液のように光が透過する透明な液です。ソリューションは、油を全く含まず、水と溶解物質から成り、粒子が非常に小さいのが特徴です。

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2. 切削油剤の働き

切削油剤にはさまざまな種類があり、主な働きは潤滑作用、冷却作用、浸透作用、抗溶着作用、さび止め作用、洗浄作用です。

  • 潤滑作用:摩擦を減らし、工具摩耗や切削抵抗を低減します。
  • 冷却作用:切れ刃の温度を下げて、工具摩耗を低減します。また工作物の熱膨張を抑制し、良好な加工精度を維持します(図4)。
  • 浸透作用:切削工具の切削点近傍に、切削油剤を到達させます。
  • 抗溶着作用:構成刃先の発生を抑制します。
  • 洗浄作用:切りくずや汚れを洗い流します。
  • さび止め作用:工作物の切削面を保護し、さびの発生を抑制します。

 図4:切削加工と切削油剤の効果

 図4:切削加工と切削油剤の効果(引用:切削油剤基礎のきそ)

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3. 切削油剤の選び方

切削油剤の選び方は、重視するものが、切削工具の切れ味を良好にする潤滑性か、あるいは高能率加工時の温度上昇を低減するための冷却性かによって異なります(図5)。作業目的に応じて適切な切削油剤を選択することが大切です。

図5:旋削加工と切削油剤

図5:旋削加工と切削油剤(引用:切削油剤基礎のきそ)

一般的に、潤滑性を重視する場合は、不水溶性の切削油剤を選択します。一方、冷却性を重視する場合は、水溶性の切削油剤を選びます。また、切削直後の工作物の新生面は活性でさびやすく、防錆(せい)性を重視する場合は、不水溶性切削油剤を選択し、切削時の油煙やオイルミストなどの作業性が問題になる場合は、水溶性の切削油剤を選びます。

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

4. 給油方法の種類

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

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