切削加工の総まとめ、切削条件の決め方を知ろう!
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切削条件の決め方:切削加工の基礎知識7

切削加工の基礎知識

更新日:2016年10月27日(初回投稿)
著者:基盤加工技術研究所代表 工学博士 海野 邦昭

前回は、切削油剤の種類とその働き、および選定方法について解説しました。今回は最終回です。総まとめとして、旋盤作業を例に切削条件の決め方を解説します。(一部、過去の回と内容が重複します。)

通常、作業者は加工図面を見て、どのような工作機械と切削工具を使用し、どのような工程で加工を行うのかを考えます。この場合、1つのポイントは、工作物(被削材)のどこを基準に加工を行うかです。面を基準にすることを面基準、穴を基準にすることを穴基準と呼びます。また、工作機械は、搭載モータの能力を上回る加工はできません。さまざまな種類の切削工具の中からどれを選び、どのような条件で使用するかを検討します。旋盤作業では、このような段取りが特に重要で、切削加工の自動化の基礎になっています。

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1. 材料記号と比切削抵抗

図1の加工図面を見てください。まず、工作物(被削材)の形状によって、丸物部品か角物部品かを判断できます。丸物部品なら旋盤を、角物部品ならフライス盤を使用します。この部品は丸物部品なので、旋盤を使用します。旋盤に搭載されているモータの能力を超えた加工はできないため、出力値を確認することが大切です。

図1:加工図面の例

図1:加工図面の例

加工図面には、材料記号や表面粗さの記号が記されています。この部品の材料記号は、S45Cです。炭素量0.45%を含む機械構造用炭素鋼であることが分かります(表1)。

表1:主な材料記号とその説明
記号 記号例 説明
S**C S45C 機械構造用炭素鋼(Steel Carbon、**は炭素含有量)
SCM*** SCM435 クロムモリブデン鋼(Steel Cr Mo)
SGP** SGP25A 配管用炭素鋼管(Steel Gas Pipe、**は大きさ)
SK*** SK120 炭素工具鋼(Steel Kougu、***は炭素含有量)
SKH** SKH51 高速度工具鋼(Steel Kougu High speed)
SS*** SS400 一般構造圧延鋼(Steel Structural、***は最低引張強さを示す)
SUS*** SUS304 ステンレス鋼(Steel Use Stainless)
FC*** FC200 ねずみ鋳鉄(Ferrum Casting、***は最低引張強さを示す)

この材料を、バイトを使い、所定の切り込みと送りで切削すると、切削断面積=切り込み×送りとなります。切削断面積に工作物の破壊強度を掛けることで、切削力を計算できます。ただし、切削加工では、寸法効果(寸法が大きいほど、強度が低下する現象)があるため、破壊強度の代わりに比切削抵抗を用います。切削力=比切削抵抗×切削断面積となります。したがって、工作物の材質と切り込み、送りが分かれば、比切削抵抗が分かり(表2)、おおよその切削力を予測できます。

表2:被削材材質と比切削抵抗(引用:三菱マテリアル 旋削加工の所要動力計算式
被削材材質 引張り強さ
(MPa)
および硬さ
各送りに対する比切削抵抗Ks(N/mm2
0.1
(mm/rev)
0.2
(mm/rev)
0.3
(mm/rev
0.4
(mm/rev)
0.6
(mm/rev)
軟鋼 520 3610 3100 2720 2500 2280
中鋼 620 3080 2700 2570 2450 2300
硬鋼 720 4050 3600 3250 2950 2640
工具鋼 670 3040 2800 2630 2500 2400
工具鋼 770 3150 2850 2620 2450 2340
クロムマンガン鋼 770 3830 3250 2900 2650 2400
クロムマンガン鋼 630 4510 3900 3240 2900 2630
クロムモリブデン鋼 730 4500 3900 3400 3150 2850
クロムモリブデン鋼 600 3610 3200 2880 2700 2500
ニッケルクロムモリブデン鋼 900 3070 2650 2350 2200 1980
ニッケルクロムモリブデン鋼 352HB 3310 2900 2580 2400 2200
硬質鋳鉄 46HRC 3190 2800 2600 2450 2270
ミーハナイト鋳鉄 360 2300 1930 1730 1600 1450
ネズミ鋳鉄 200HB 2110 1800 1600 1400 1330

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2. 工具材料と工具寿命

切削力に距離を掛けると、仕事量が求められます(仕事量=切削力×距離)。距離は、切削速度と切削時間を掛けた値です(距離=切削速度×時間)。また、切削時間には単位時間1を用いるため、仕事量=比切削抵抗×切り込み×送り×切削速度と表すことができます。したがって、切削に必要な所要切削動力は、仕事量(比切削抵抗×切り込み×送り×切削速度)を、60×1,000×機械効率で割った値となります(図2)。

図1:加工図面の例

図1:加工図面の例

加工図面を見て、工作物(被削材)の材質が分かれば、比切削抵抗も分かります。次に、使用するバイトの種類や、切削条件を考えます。バイトの材質は、超硬合金や高速度工具鋼などから選びます。また、バイトのコーナ(ノーズ)半径や、チップブレーカなどの工具情報を設定します。

加工を続けると、バイト刃先は摩耗し、切削の継続が困難になります。工具が寿命に達すると、スローアウェイバイトの場合はチップ交換、ろう付けバイトの場合は再研削が必要です。通常、バイト切れ刃の逃げ面摩耗幅が0.4mmに達すると、工具寿命と判断します。切削速度を高くすると工具寿命は短くなります(図3)。

図3:切削速度と工具寿命

図3:切削速度と工具寿命(引用:加工の工学)

切削速度と工具寿命との関連を実験式で示したのが、有名なテーラーの工具寿命方程式です(図4)。工具寿命方程式は、「VT<sup>n</sup>=C」で表されます(V:切削速度、T:工具寿命、n・C:定数)。

図4:工具寿命方程式

図4:工具寿命方程式(引用:加工の工学)

工作物と工具の材質が分かれば、工具寿命方程式の実験定数も決まります。

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続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

3. 切削速度の決め方

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

4. 送りと切り込みの決め方

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

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