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中国の脱炭素化戦略:脱炭素化の基礎知識3

脱炭素化の基礎知識

更新日:2021年7月27日(初回投稿)
著者:東京大学 教養学部 環境エネルギー科学特別部門 客員准教授 松本 真由美

前回は、脱炭素化への戦略をいち早く打ち出したヨーロッパの動向を紹介しました。今回は、中国の脱炭素化戦略について解説します。地球規模で脱炭素化を進めるには、中国の取り組みが不可欠です。

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1. 2060年カーボンニュートラルを目指す

近年、中国は急速な経済発展を遂げており、現在ではアメリカに次ぐ世界第2位の国内総生産(GDP)大国です。国内総生産のうち名目国内総生産とは、実際に市場で取り引されている価格に基づいて推計された値です。中国国家統計局は2021年2月28日、中国の名目国内総生産が、前年比3.0%増の14兆7300億ドルとなったと発表しました。グローバル企業におけるサプライチェーンの生産拠点として世界の工場と呼ばれた中国は、世界最大の二酸化炭素(CO2)排出国となり、その排出量は世界全体の約3割を占めています(図1)。

図1:世界の二酸化炭素排出量(引用:経済産業省、資源エネルギー庁、エネルギー基本計画の見直しに向けて、P.81)

習近平国家主席は、2020年9月の国連総会で「2030年までにCO2排出を減少に転じさせ、2060年までにカーボンニュートラルを達成するよう努める」と表明し、各国が国連に提出する国別削減目標(NDC:Nationally Determined Contribution)を引き上げる意向を示しました。

そして、同年12月にイギリス・フランス・国連の共催で行われた気候野心サミットにおいて、習近平主席は「2030年に、GDP当たりのCO2排出量を65%以上(2005年比)削減する」ことを表明しました。中国が温暖化対策に長期的な数値目標を表明したのは、初めてのことです。

中国政府は、2015年5月に発表した経済施策「中国製造2025」で、2049年(中国建国100周年)までにイノベーション主導型国家を建設し、製造大国から製造強国への転換を目指すことを表明しました。中国製造2025では、インターネットと製造業の融合を積極的に推進していく方針で、次世代情報技術、省エネ・新エネルギー車、電力設備など10の重点分野を掲げています。これらの技術は、脱炭素化につながるものが多くあります。

また、国家エネルギー局が中心となり、再生可能エネルギー(以下、再エネ)の導入を着実に拡大していく計画を立てています。2010年までは、再エネの大半は水力発電でした。しかし、中国経済の中期目標などを定める、「第12次5カ年計画」(2011~15年)の再エネ関連では風力発電と太陽光発電が大幅に増加しており、「第13次5カ年計画」(2016年~20年)でも引き続き大幅に増加しました。2019年末の太陽光発電の累積設備容量は、204.7GW(2億470万kW)、同年末の風力発電(陸上・洋上)の累積設備容量は、210GW(2億1005万kW)となりました。2021年4月7日には「第14次5カ年計画」(2021年~2025年)が発表され、2025年には再エネによる発電設備容量が全体に占める割合が50%を超える試算などを示しています。(2020年末時点の中国の再エネ発電設備容量が全体に占める割合は42.4%)

2. 非化石エネルギーの導入拡大

中国における脱炭素化戦略の柱の1つは、再エネです。世界各国の再エネ導入容量・太陽光導入容量と比べても、他国の追随を許さない勢いで、2018年実績でも国内の太陽光発電と風力発電(陸上・洋上)の導入容量は世界一となっています(図2)。また、太陽光パネルの製造量も世界一、さらに風力発電タービンの製造もヨーロッパと肩を並べるようになり、世界における再エネ産業の盤石な基盤を築いています。

図2:各国の再エネ導入容量と太陽光導入容量(参考:経済産業省、資源エネルギー庁、2020年11月)

中国は、非化石エネルギーである原子力発電についても、積極的に導入拡大を図る考えです。中国は、フランスやロシア、アメリカ、日本など海外の原子力技術を導入しながら、国内の原子力機器メーカーの技術力を高めてきました。2020年末時点で、運転中の原子力発電所は48基、設備容量は4,988万kW(約50GW)となり、アメリカ・フランスに次ぐ世界3位です。国内の発電設備容量に占める原子力の割合は2.7%となっています(2021年4月16日/中国原子力産業協会発表)。現在、原子力発電所の新設(計約1,000万kW)を進めており、第14次5カ年計画では、2025年に原子力発電所は7,000万kW(70GW)に達する見通しです。また、海外展開も積極的に推進しており、パキスタンやイギリス、アルゼンチンなどへの輸出計画も進めています。

3. 新エネルギー車(NEV)の推進

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