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二元配置法:実験計画法の基礎知識3

実験計画法の基礎知識

更新日:2021年9月24日(初回投稿)
著者:大阪大学 大学院 情報科学研究科 教授 森田 浩

前回は、一元配置法を紹介しました。今回は、2つの因子を同時に取り上げる二元配置法を解説します。二元配置法では、因子を1つずつ考える一元配置法よりも、効率的に実験を行うことができます。ただし、2つの因子間にある関係に注意が必要です。因子が特性に及ぼす要因として、因子による主効果だけでなく、因子間の交互作用を考慮して解析をしなければなりません。

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1. 二元配置実験のしくみ

二元配置実験とは、2つの因子を組み合わせて同時に変化させて実験することをいいます。ある樹脂の粘着力を調べるために、処理温度と加工方法の2つを因子に取り上げ、樹脂の試作品について、粘着力の測定実験を行うことにしました。処理温度に加えて、加工方法を因子としたのは、加工方法の違いが粘着力に影響することが考えられるためです。処理温度は3水準を設定しています。また、加工方法には、従来法と新工法の2通りが考えられています。

それぞれの因子単独の効果を、主効果といいます。最適な処理温度は、加工方法によって違うかもしれません。つまり、従来法では120℃が最適でも、新工法では130℃が最適かもしれません。これが交互作用と呼ばれるものです。二元配置実験では、処理温度と加工方法の2つの主効果と、それらの交互作用、および誤差の4つの要因効果を調べます。

実験は、2つの因子の水準を組み合わせて行います。ただし、交互作用を調べるためには、それぞれの組み合わせにおいて繰り返し実験を行わなければなりません。6通りの組み合わせに対して、3回の繰り返しをすると、全部で18回の実験が必要になります。ここでも無作為化の原則は重要で、18回の実験はランダムな順序で行う必要があります。このとき得られたデータを、表1に示します。

表1:3通りの処理温度と2通りの加工方法における試作品の粘着力
  B1(従来法) B2(新工法) 合計 平均
A1(120℃) 42 43 41 41 42 40 TA1=249 xA1=41.5
A2(130℃) 39 39 42 45 43 44 TA2=252 xA2=42.0
A3(140℃) 39 38 40 39 39 42 TA3=237 xA3=39.5
合計 TB1=363 TB2=375 T=738  
平均 xB1=40.3 xB2=41.7   x=41.0

グラフを描いて考察してみましょう(図1)。B1(従来法)では、温度が高くなると粘着力が下がっています。一方、B2(新工法)では、A2(130℃)のときに粘着力が高くなり、120℃と140℃では下がっています。温度と工法の間には関連がありそうです。

図1:試作品の粘着力実験のグラフ

図1:試作品の粘着力実験のグラフ

データを解析してみましょう。総平方和STは全ての18個のデータから計算して、これを4つの要因平方和に分解します。まず、処理温度(A)によるばらつきを表す要因平方和SAは繰り返し6回の3水準の一元配置法、加工方法(B)によるばらつきを表す要因平方和SBは繰り返し9回の2水準の一元配置法として求めます。

ABの組み合わせは6通りあるため、ABによるばらつきを表す要因平方和SABは、繰り返し3回の6水準の一元配置法として求めます。この平方和SABには、AとBの2つの因子によってもたらされるばらつき、すなわち主効果Aと主効果Bと交互作用ABが含まれ、下式のように表されます。

SAB=SA+SB+SA×B

これより、交互作用の平方和は、

SA×B=SAB-SA-SB

によって求められます。総平方和から全ての要因平方和を引いたものが誤差平方和SEになるため、

SE=ST-(SA+SB+SA×B)

と表されます。この数値例では、次の式のように計算されます。

主効果の自由度は、水準数から1を引いたものです。交互作用の自由度は、主効果の自由度の積で求められます。

ϕA×BA×ϕB

誤差自由度は、ϕET-(ϕABA×B)から求めます。以上の計算結果を分散分析表にまとめます(表2)。3つの要因を一度に検定することになります。

表2:分散分析表
要因 平方和 自由度 平均平方 F値 P値 F境界値
A 21.0 2 10.5 6.30 0.013 3.89
B 8.0 1 8.0 4.80 0.049 4.74
A×B 19.0 2 9.5 5.70 0.018 3.89
E 20.0 12 1.67      
T 68.0 17 4.27      

処理温度の主効果A、加工方法の主効果B、処理温度と加工方法の交互作用A×Bはいずれも有意となり、粘着力に影響を及ぼしていることが分かります。

ここまでの計算をExcelでやってみましょう(図2)。分析ツールで「分散分析:繰り返しのある二元配置」を選びます。また、入力範囲でデータを指定します。繰り返しデータは縦方向に入れ、「1標本あたりの行数」で繰り返し数を入力します。最後に「出力先」を指定して「OK」をクリックすれば完了です。

図2:Excelによる二元配置の分散分析

図2:Excelによる二元配置の分散分析

ここでは、A列と1行にラベル、B2:C10にデータを入れています。概要には、各処理温度と加工方法におけるデータ数、合計、平均、分散が計算されています。また、分散分析表も得られます。用語が少し異なっていることに注意してください。標本は行方向の因子のことで処理温度を指します。列は列方向の因子のことで加工方法を指します。交互作用は2因子間の交互作用、繰り返し誤差は誤差です。変動は平方和、分散は平均平方、観測された分散比はF値のことです。

2. 最適水準における推定と予測

続きは、保管用PDFに掲載中。演習問題もご用意。
ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

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