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直交配列表実験の計画:実験計画法の基礎知識6

実験計画法の基礎知識

更新日:2021年12月23日(初回投稿)
著者:大阪大学 大学院 情報科学研究科 教授 森田 浩

前回は、乱塊法の考え方を紹介しました。多くの因子を取り上げると、水準組み合わせの数は膨大になってきます。直交配列表実験は、一部の水準組み合わせで実験することで、必要な要因効果を検証可能にします。今回は、全ての因子が2水準に設定された、2水準系直交配列表実験の仕組みを説明します。

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1. 部分配置実験の考え方

要因配置実験は、全ての水準組み合わせで実験するのに対し、部分配置実験では、一部の水準組み合わせで実験します。因子が多くなると、水準組み合わせの数も多くなります。例えば、5つの因子をそれぞれ2水準に設定したとき、水準組み合わせの数は25で32通りになります。一方で、5つの因子がある場合、主効果は5つ、ただし、2因子間の交互作用は10通りあります。さらに、3因子間が10個、4因子間が5個、5因子間が1個あるため、合計すると31個になります。従って、少なくとも32回の実験をしないと、全ての要因を検出できません。

しかし、本当に31個全ての要因を調べないといけないのでしょうか? 3因子間以上の交互作用は、技術的にも説明しにくく、存在しないと考えることが一般的です。2因子間の交互作用でも、互いに関連がなさそうなものもあります。仮に、2因子間交互作用のうち4つについて検証したいなら、全部で9つの要因を検証すればよいので、少なくとも10回の実験でよいことになります。このように、取り上げる要因を絞ることによって、実験回数を抑えられる可能性が出てきます。

まず、3つの因子A、B、Cで、交互作用は考えない場合で説明します。全て2水準を設定すると、23で8通りの水準組み合わせができます(表1)。

表1:8通りの水準組み合わせ
NO 水準組み合わせ データの構造
1 A1B1C1 x1=μ+a1+b1+c11
2 A1B1C2 x2=μ+a1+b1+c22
3 A1B2C1 x3=μ+a1+b2+c13
4 A1B2C2 x4=μ+a1+b2+c24
5 A2B1C1 x5=μ+a2+b1+c15
6 A2B1C2 x6=μ+a2+b1+c26
7 A2B2C1 x7=μ+a2+b2+c17
8 A2B2C2 x8=μ+a2+b2+c28

ここで、a1というのは、因子Aを第1水準に設定したときに、全体平均μよりどれだけ大きくなるかを表すものです。a2は第2水準のときなので、a1+a2=0となります。

同様に、b1+b2=0と、c1+c2=0も成り立ちます。No.1の実験ではA1B1C1水準なので、全体平均μにa1、b1、c1の効果と、誤差ϵ1が加わって観測されると考えます。

A1水準の合計とA2水準の合計を計算すると、b1+b2=0、c1+c2=0なので、以下のようになります。

T(A1) = x1+x2+x3+x4=4μ+4a1+(ϵ1234)

T(A2) = x5+x6+x7+x8=4μ+4a2+(ϵ5678)

ここで、因子Bと因子Cの効果は消えています。Aの各水準において、BとCの水準が等しく実験されているからです。ここで、Aの水準間の差を取ると、

T(A1)-T(A2) = 4(a1-a2)+(ϵ12345678)

となり、Aの効果に誤差が加わったものになっていて、他の因子の効果は影響していません。B1水準とB2水準、およびC1水準とC2水準に関しても同様です。

表2に示す4通りの水準組み合わせでも、他の因子の効果は影響していません。

表2:4通りの水準組み合わせの選択
NO 水準組み合わせ データの構造
1 A1B1C1 x1=μ+a1+b1+c11
2 A1B2C2 x2=μ+a1+b2+c22
3 A2B1C2 x3=μ+a2+b1+c23
4 A2B2C1 x4=μ+a2+b2+c14

A1水準の合計とA2水準の合計を計算すると、

T(A1) = x1+x2=2μ+2a1+(ϵ12)

T(A2) = x3+x4=2μ+2a2+(ϵ34)

となり、因子Bと因子Cの効果は消えています。水準間の差は、

T(A1)-T(A2) = 2(a1-a2)+(ϵ1234)

です。つまり、実験回数は半分になり、Aの効果に誤差が加わったものになっています。

この水準組み合わせは、表1にある8つのうちから4つを選んだものです、ただし、どの4つを選んでもよいわけではありません。Aの効果と他の因子の効果が交絡しないような水準組み合わせを選んでいます。このときに役立つのが、直交配列表です。

2. 直交配列表のしくみ

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

3. 直交配列表への割り付け

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

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