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特殊ダイカスト技術:ダイカストの基礎知識10

ダイカストの基礎知識

更新日:2018年9月18日(初回投稿)
著者:ものつくり大学 技能工芸学部 総合機械学科 教授 西 直美

前回は、製品品質を左右するダイカスト特有の欠陥とその特性を解説しました。最終回となる今回は、特殊なダイカスト技術とダイカスト合金を紹介します。これらを用いることで、従来のダイカスト技術では難しかったT6熱処理や溶接が必要な部品にも、ダイカストを適用できるようになります。まずは、特殊なダイカスト技術から見ていきましょう。

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1. 低速充填するダイカスト

低速で溶湯をキャビティに充填することで、空気やガスを金型の外に排出し、製品内に巻き込むことを防止できます。この手法は発生するガス量が少なく、熱処理や溶接が可能です。しかし、充填時間が長くなるために薄肉製品には不向きです。そのため、主に厚肉で高品質が要求される部品の生産に適用されます。低速充填するダイカストには、スクイズダイカスト法、NI法(New Injection Die Casting Process)、セミソリッドダイカスト法があります。それぞれ見ていきましょう。

1:スクイズダイカスト法

スクイズダイカスト法は、縦型の射出スリーブを傾けて溶湯を注湯した後に、スリーブを金型部に連結し、厚いゲートから金型キャビティ内へ、溶湯を静かに充填する方法です(図1)。50~110MPaの高圧力で加圧することで、ひけ巣が少なく微細な凝固組織を得ることができます。また、ガスの含有量も1mL/100gAl以下と少ないことから、T6熱処理や溶接が可能です。自動車のホイールやエンジンマウントなど、高強度・高延性を必要とする製品に適用されています。現在では、横型締め・縦射出のスクイズダイカストマシンが主流です。

図1:スクイズダイカスト法

図1:スクイズダイカスト法(引用:安達充、鋳造工学 Vol.71、日本鋳造工学会、1999年、P.131)

2:NI法(New Injection Die Casting Process)

NI法は、エア加圧により直接金型キャビティ内へ溶湯を充填し、加圧子により加圧する手法です(図2)。ランナーやキャビティ表面に粉体離型剤を塗布し、充填過程での溶湯の冷却を防止することで破断チル層の発生を抑えます。層流で金型キャビティに溶湯を充填するため、空気の巻き込みが少なく、T6熱処理を行うことができます。図3に示すナックルアームのような機械的性質に優れた鋳物の生産に用いられます。

図2:NI法

図2:NI法(引用:青山俊三、型技術1997年12月号、日刊工業新聞社、P.4)

図3:NI法で生産したナックルアーム

図3:NI法で生産したナックルアーム(写真提供:株式会社アーレスティ)

3:セミソリッドダイカスト法

セミソリッドダイカスト法は、初晶を粒状化することにより、固液共存状態で鋳造できる方法です。長所は、凝固収縮量が少なくひけ巣が発生しにくい、粘性流動のためガスの巻き込みが少ない、潜熱量が少なく金型寿命が長いなどです。セミソリッドダイカスト法の事例として、ナノキャスト法を示します(図4)。この方法は、電磁撹拌装置内のステンレス製カップに溶湯を注湯し、急速に冷却することで核生成数を多くして、極めて短時間に溶湯をセミソリッド状態にする方法です。特徴は、初晶α晶の粒径が50μm程度と小さいことです。これまでのセミソリッドダイカスト法では、初晶α晶の粒径は100μm以上でした。セミソリッドダイカスト法は、二輪自動車のアームサスペンション(図5)の製造などに用いられています。

図4:ナノキャスト法

図4:ナノキャスト法(引用:渡邉一彦、土屋金雄、小林英二、花田和直、板村正行、金宰民、洪俊杓、2004日本ダイカスト会議論文集 JD04-38、日本ダイカスト協会、2004年、P.229)

図5:ナノキャスト法で生産したアームサスペンション

図5:ナノキャスト法で生産したアームサスペンション(写真提供:株式会社東京理化工業所(現・株式会社川金ダイカスト工業))

2. 高速充填するダイカスト

高速充填するダイカストには、高真空ダイカスト法、PF(Pore Free)法、局部加圧ダイカスト法があります。それぞれ見ていきましょう。

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3. 新しいダイカスト材料

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