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事業プロセス改革型DXと組織・業務改革型DX:デジタルトランスフォーメーション(DX)の基礎知識4

デジタルトランスフォーメーション(DX)の基礎知識

更新日:2021年6月3日(初回投稿)
著者:一橋大学 イノベーション研究センター 教授 市川 類

前回は、DXのうち、新サービス・市場創出型DXの基本的方向とその具体的な進め方、システム構築に当たっての留意点を解説しました。今回は、事業プロセス改革型DX、および組織・業務改革型DXの概要を説明します。

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1. デジタルによる事業プロセス全体の改革

事業プロセス改革型DXは、新たなデジタル技術を利用して、既存の社内外の事業プロセス(バックエンド)全体の改革・効率化を行うパターンのDXです(参照:第2回 表2第3回 図3)。対象となる事業プロセスは産業分野によって大きく異なります。また、各産業分野によって、デジタル化の進展の状況も異なります。例えば、金融業界の決済システム、製造業界の生産管理システム、流通業界のPOSシステムなどは、比較的進んでいるといえます。

これまで多くの人手に頼っていた事業プロセスにおいても、近年、IoT、AI、ロボットなどのデジタル技術の進展により、根本的なデジタル化が可能になりつつあります。また、従来、比較的デジタル化が進んでいた産業分野では、さらに進んだデジタル技術の利用が可能となりました。また、建設・土木業界、医療業界など、これまでデジタルが進んでいなかった産業分野においても、事業プロセスのデジタル化が可能となりました。表1に、各産業分野における、事業プロセス改革型DX導入後の方向性を示します。

表1:事業プロセス改革型DX(ビジネストランスフォーメーション)の方向性

表1:事業プロセス改革型DX(ビジネストランスフォーメーション)の方向性

事業プロセスにおけるデジタル機器などの導入(デジタイゼーション)や、個々のプロセスを既存の延長でのデジタル化(デジタライゼーション)は、もちろん重要です。しかし、これだけでは、十分なDXとはいえません。

事業プロセス改革型DXとしては、個々の事業プロセスのデジタル化に加えて、スマート工場、スマート金融、スマート医療などといわれるような事業プロセス全体のデジタル化(スマート化)に向けて取り組むことが期待されます。また、このような抜本的な改革(ビジネストランスフォーメーション)を行うことによって、さらに効率的な、新しい製品やサービス、あるいはビジネスモデルの構築につなげ、顧客に対する新たな付加価値の提供が可能になります。

2. ビジネストランスフォーメーションの取り組みの方向

・ビジネスプロセス全体のデジタル化
このような事業プロセス全体のスマート化に向けた取り組みは、どのように進めていけばよいのでしょうか。デジタル化の状況は産業によって大きく異なるものの、基本的には、リアルの事業プロセスのデジタル化・データ化を進めることでサイバー・フィジカル・システム(CPS)を構築し、サイバー上のビジネスプロセス全体の改革(BPR)を行います。具体的には、デジタイゼーション、デジタライゼーション、DX(事業プロセス改革型)の3つの取り組みが考えられます(図1)。

図1:CPS構築に向けた事業プロセスのデジタル化とスマート化

図1:CPS構築に向けた事業プロセスのデジタル化とスマート化

デジタイゼーション:
IoT機器やデジタル機器の導入による、個々のプロセスにおける物理的(フィジカルな)状況のデジタル化(サイバー化)

デジタライゼーション:
クラウド上のサイバー化によるデータ共有を通じた、事業プロセスの効率化を図るサイバーフィジカルシステム(CPS)の構築

DX(事業プロセス改革型):
サイバー上のデータについて、特にAI技術を活用した、事業プロセス全体の自動化・効率化

もちろん、現時点のデジタル技術で、全ての事業プロセスのデジタル化が可能になるわけではありません。技術の発展を見据えた上での取り組みが必要になります。

なお、このようなビジネスプロセスの見直しを行うに当たっては、クラウド、プラットフォームを活用することにより、自社内だけでなく、関連企業を含むサプライチェーンにわたっての事業プロセスの改革に関わる取り組みも重要になります。

・新サービス・市場創出型DXとの連携
バックエンドとフロントエンド(第2回参照)は、そもそも一連のプロセスです。そのため、事業プロセス改革DXと、前回取り上げた新サービス・市場創出型DXは、一連の流れで検討することにより、より効率的で効果的なDXとして推進することが可能となります。

実際に、表1に記載したような製品・サービスのデジタル化は、事業プロセス全体のデジタル化(スマート化)とそれぞれ関連しているため、セットで検討することが求められます。例えば、製品のIoT化や、オンラインサービスで得られた顧客データなどを活用して、差異のある製品・サービスを効率的に提供するには、既存のビジネスプロセスの抜本的な見直しが必要になります。逆に、既存製品・サービスに関わる事業プロセスのスマート化により、少量多品種の生産や、顧客に応じた迅速なサービスの提供などが可能となれば、それを元に新たなビジネスモデルの構築や、顧客サービスの提供が可能となります。

3. 働き方改革と組織・業務改革型DX

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

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