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DXに向けた企業内組織体制の変革:デジタルトランスフォーメーション(DX)の基礎知識5

デジタルトランスフォーメーション(DX)の基礎知識

更新日:2021年6月18日(初回投稿)
著者:一橋大学 イノベーション研究センター 教授 市川 類

前回は、2回にわたり、DXの3分類、新サービス・市場創出型、事業プロセス改革型DX、組織・業務改革型DXの概要とシステム開発の方向性を紹介しました。今回は、これまで説明してきたDXを推進するための組織体制について解説します。

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1. 企業内組織体制改革の基本的な考え方

企業はDXを推進するために、どのような組織体制を構築し、推進に取り組む必要があるのでしょうか。そもそもDXの目的は、デジタル技術を利用することによるイノベーションの創出です。DXを推進する組織体制としては、イノベーティブな組織であること、またデジタルな組織であることの2つが重要になります(図1)。

図1:DX推進に向けた組織体制のあり方

図1:DX推進に向けた組織体制のあり方

・イノベーティブな組織の構築
企業は収益を確保・維持するために、自らのオペレーショナルな運用を確実に行い、同時に、現場における改善活動を、日々継続しています。一方、DXはイノベーションの一種です。DXを推進するには、オペレーショナルな組織体制に加え、常に革新していくための組織体制が必要になります。これは、以前から多くの企業で議論されている組織の問題、すなわち、イノベーティブな組織にするのはどうすればいいか、また新規事業を起こせる組織にするにはどうすればいいか、という問題にも近いといえます。

・デジタルの時代に対応した組織の構築
一般的に、企業は自社の中核(コア)とする事業分野の専門家を、自社のコアな人材として採用し、雇用しています。今後、企業が積極的にDXを推進するということは、デジタル技術を自社の中核(コア)分野の一つとする企業に変革することを意味します。そのため、デジタル人材を育成・採用していくことが不可欠になります。また、DXにおいては、デジタル技術とビジネスプロセスの融合も重要です。そこでは、デジタル人材と事業系人材との連携体制の構築が不可欠です。

また、企業をイノベーティブな組織、デジタルな組織に改革するには、経営者トップからの判断・コミットメントに基づき、戦略的に改革を推進する必要があります。

2. DXに向けた具体的な組織改革体制の方向

企業におけるDXを推進するためには、どのように組織改革が必要でしょうか。大きくは、企業トップのコミットメントと意識改革、DX本部などの組織体制と制度・権限の整備、基盤となるデジタル系人材の採用整備が重要になります(図2)。

図2:DX推進に向けた企業の組織体制整備の方向

図2:DX推進に向けた企業の組織体制整備の方向

1:経営トップのコミットメントと社内の意識改革
DXの推進には、これまでのビジネスモデルや組織体制などについて、企業としての大きな改革が伴います。そのため、社長や役員を含む経営トップが、企業としてDXの取り組みに関してコミットメントし、意思決定を行い、その実施に向けて戦略的に進めていくことが必要です。

DXの推進には、多様な部門が関連します。そのため、社内の各部門の協力・理解が不可欠です。また、一部の部署だけが特権的にDXの推進活動を行っているとの反発を出さないためにも、会社全体の意識改革を進め、全従業員にその必要性・方向性を理解してもらうことが重要になります。

2:会社内の組織体制作りと制度・権限の整備
経営トップのコミットメントと、組織全体の意思決定の下、会社は、DXの中核となる組織(DX推進部門など)を設置します。その際、この組織は、新規事業・イノベーションに関わる組織であること、ただし、事業を確実に遂行するためのオペレーショナルな既存組織とは運営方法が異なることに留意しながら、その両立を図る必要があります。具体的には、新規事業・イノベーションに関わる組織運営として、以下のような運用が考えられます。

DX推進部門の位置付け:
DX推進部門を管轄するとともに、会社全体でDXを推進し、役員会などでの責任ある対応を図るためにも、CDXO(最高DX責任者)といった専任の担当役員を任命することが重要です。また、設置するDX推進部門は、会社全体の変革を企画するという位置付けになります。従来のITシステム部門のような、事業部を支援する組織という認識では不十分であることに留意する必要があります。

DXに関わる制度整備・権限付与:
DX部門は、イノベーションを推進する組織です。そのため、事業部門などオペレーショナルな部門とは異なった予算配分や、意思決定プロセスを明確化する必要があります。特にイノベーションの性質を踏まえると、一つ一つの意思決定を積み上げていくプロセスではなく、包括的な委任を与え、試行錯誤と、スピード感のある意思決定を可能とする制度・権限を付与することが重要になります。

部門内の組織体制:
イノベーションを推進する観点から、CDXOなどの下で、DXをやり抜くことができる中核となるマネージャーを配置し権限を付与・委任すること、また、その下に、柔軟性やデジタルリテラシーが高く、やる気のある若手人材を配置・活用することが効果的です。また、DXはデジタルと事業の連携だけでなく、多様な連携によるイノベーションが求められます。そのため、社内の各事業部・営業部・企画部など多様なメンバーを巻き込み、部門横断的なチームを結成することが望まれます。

このようなDX推進部門については、まずはスモールスタートで開始し、成功事例を作り、社内の理解を得ながら、全社的に拡大していくというパターンで進めていくことが望ましいと考えられます。

3:デジタル人材の採用・育成と連携に関しては、以下から説明します。

3. DXの基盤となるデジタル人材の採用・育成

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