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政府におけるDXの取り組み:デジタルトランスフォーメーション(DX)の基礎知識6

デジタルトランスフォーメーション(DX)の基礎知識

更新日:2021年7月2日(初回投稿)
著者:一橋大学 イノベーション研究センター 教授 市川 類

前回は、DXを推進するための組織体制について解説しました。今回は、最終回です。政府における民間企業のDX推進に関する政策や、政府や公的機関自らのDXに向けた取り組みを紹介します。

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1. 経済産業省の民間企業のDX推進政策

DXへの関心の高まりに伴い、政府は経済産業省を中心に、民間企業におけるDXの推進策の検討に取り組んでいます。経済産業省は、2014年頃から、攻めのIT投資としてDX推進に類似する政策を進め、2018年頃からは、DXと銘打った政策を開始しています。具体的には、経済産業省のデジタルトランスフォーメーションに向けた研究会が、2018年9月にDXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~という報告書を取りまとめました。同報告書では、既存システムの仕分けをしつつ、DXを実現するための指標やガイドラインの策定を推進すべきとしています。

同報告書を踏まえて、経済産業省は同年12月に、DX推進ガイドラインを発表しました。このガイドラインは、DXの実現やその基盤となるITシステムの構築を行う上で、経営者が押さえるべき事項を明確にすることを目的としています。また、2019年7月には、DX推進指標を策定しています。この指標は、経営者や社内の関係者が自己診断を行うことで、DXの推進に向けた現状や課題に対する認識を共有し、アクションにつなげるための気付きの機会を提供するものと位置付けられています。定性指標は35項目から成り、企業が直面する課題や、それを解決するために押さえるべき事項を中心に項目を選定しています。

経済産業省によるDX推進指標を踏まえ、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)は、民間企業が自らDXに関わる自己診断を行い、その結果をIPAに提出するためのウェブサイトを設置しました(結果提出の一部は経済産業省経由)。IPAは、提出された企業の自己診断結果を約300件収集し、2020年5月に、その分析レポートを作成・公開しています。レポートでは、以下の分析を行っています。

・全社戦略に基づくDX推進の変革を実施する段階への移行は、これから始まるとみられる
・成熟度を向上させるためには、企業文化や人事評価制度の変革が必要
・先行企業においては、危機感共有の成熟度が高い
・先行企業はレガシー問題への対応力が表出している可能性がある

経済産業省は、デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会を開催し、2020年12月に、DXレポート2(中間取りまとめ)を発表しました。中間取りまとめでは、上記自己診断結果の分析結果を踏まえつつ、超短期、短期、中長期に取り組むべき企業のアクションと、政府の政策についてまとめています。

図1:経済産業省における民間企業DX推進に向けた取り組み(政策面)

図1:経済産業省における民間企業DX推進に向けた取り組み(政策面)

2. DX銘柄など先進的にDXに取り組む企業の選定

経済産業省は、DXが話題になる以前から、DXに類似する政策として、攻めのIT投資に関わる政策を推進しています。具体的には、2014年6月の日本再興戦略において、守りから攻めへIT投資の質の転換が求められたことを踏まえ、攻めのIT経営について評価する指標を策定しました。また、2015年5月には、東京証券取引所と合同で、IT活用に戦略的に取り組む企業を、攻めのIT経営銘柄として選定、公表しました。この銘柄の策定は、攻めのIT経営に取り組む企業を積極的に投資家などへ紹介するとともに、目標となる企業モデルを広く波及させました。また、IT活用の重要性に関する経営者の意識変革を促すことも目的としています。その後、毎年約30前後の企業を、攻めのIT経営銘柄として選定してきました。

経済産業省は、同じく2015年に、こうした攻めのIT経営を中小企業にも促進させることを目的に、中小企業における生産性向上に向けたIT導入、およびその活用の方向性を示す、攻めのIT活用指針を策定、公表しています。また、それに基づき、2015年から3年間をかけ、攻めのIT経営中小企業百選を公表しています。

そのような中、経済産業省は2020年から、攻めのIT経営銘柄をDX銘柄に改称しました。

また、2019年の情報処理促進法の改正(2020年5月施行)では、IPAによるDX認定制度が設けられました。この認定制度は、DX-Ready(DX推進の準備が整っている)の事業者を幅広に認定するものです。これに伴い、2021年のDX銘柄においては、当該DX認定がなされている企業の中から選定されることになりました。2021年6月には、DX銘柄2021の28社、DX注目企業2021の20社に加えて、銘柄選定企業の中からデジタル時代を先導する企業として2社をDXグランプリとして選定しました。また、2021年度からは、DX認定を受け、データ共有やクラウド技術を活用しているといった要件を満たす企業に対してDX投資促進税制が創設されました。

図2:経済産業省における民間企業DX推進に向けた取り組み(DX銘柄、認定制度など)

図2:経済産業省における民間企業DX推進に向けた取り組み(DX銘柄、認定制度など)

3. 政府・公的機関におけるDXに関わる取り組み

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