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ドローンとヘリコプターの違い:ドローンの基礎知識(構造編)1

ドローンの基礎知識(構造編)

更新日:2021年2月24日(初回投稿)
著者:フリーエンジニア&ライター 高橋 隆雄

ドローンは、昨今では目にする機会も増え、すっかり馴染み深いものとなりました。本連載では、全6回にわたりドローンの構造について解説します。第1回は、ヘリコプターとの違いを中心に紹介します。ヘリコプターとドローンは全く違うものという認識を持たれがちです。しかし、実はそうではありません。本稿でいうドローンとは、複数のロータ(回転翼)を持つ、いわゆるマルチコプターのことを指します。航空機における広義のドローンは、どのような形式であれ、無人航空機全般を指します。本稿ではマルチコプターに限定して、ドローンという用語を用いることにします。

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1. ヘリコプターの構造

ヘリコプターは、ロータの羽の傾きを制御することで、飛行を制御しています。一般的なヘリコプターというと、図1のようなものを思い浮かべるでしょう。代表的な構造部分としては、目立つ大きな羽と、後ろの小さな羽があり、いずれも回転します。大きい方をメインロータ、小さい方をテールロータと呼びます。メインロータは、上昇と移動(推進)の役割を持ち、テールロータは、メインロータによって機体が振り回されることを防ぐ役割と、機体の推進方向を制御する役割を兼ね備えています。

図1:一般的なヘリコプターの例

図1:一般的なヘリコプターの例(筆者が所有するラジコンヘリコプターのうちの1機)

ヘリコプターの操縦が難しいとされる理由は、機械的な制御構造にあります。図2は、その機械的な複雑さを表すロータ部分です。この部分は、メインロータの羽の角度を制御しています。なぜこれほど複雑なのかというと、ヘリコプターの羽は回転する位置によって、その傾きを変える必要があるからです。メインロータが1回転する間に、その位置によって傾きを変えることで、ヘリコプターが移動する方向を制御するため、このように複雑な構造となっています。しかも、回転する物体に力を加えた場合、その力は90°ずれて作用する(これをジャイロスコピック・プリセッションと呼びます)ため、目的の方向に移動させるには90°ずれた位置で羽を傾かせる必要があります。こうした構造の複雑さが、ヘリコプターや、ヘリコプター型のドローンがあまり好まれない理由の1つと考えられます。

図2:ヘリコプターのロータ部分(ラジコンの3丁式ロータ・スタビライザーレスの例)

図2:ヘリコプターのロータ部分(ラジコンの3丁式ロータ・スタビライザーレスの例)

2. ドローンの構造

ヘリコプターの場合、メインロータが、回転する位置によって羽の傾きを変化させることで、移動を制御しています。それに対してドローンは、ヘリコプターとは異なり、羽の回転数を制御します。図3は一般的なドローンです。この羽を4枚持つタイプは、クワッド・ロータ型マルチコプターと呼ばれます。

図3:ドローンの例(DJI/Ryze Tech. Tello)

図3:ドローンの例(DJI/Ryze Tech. Tello)

ヘリコプターと同じように、ロータ部分の構造を見てみましょう。図4に示すように、実に簡単な構造になっています。ドローンの場合は、複数のロータを使用し、移動したい方向、あるいはその反対側のロータの力を制御することで飛行するため、このように構造が簡単になります。力の制御は、モータの回転数を制御することのみで行っています。

図4:ドローンのロータ部分(モータとロータが直結されている)

図4:ドローンのロータ部分(モータとロータが直結されている)

ただし、単純に簡単になっているわけではありません。ヘリコプターでは、ロータが1回転ごとに羽の傾きを変えるため、機械的な構造が複雑です。一方、ロータを4枚持つタイプのドローンは、モータとプロペラが4セットになったことで、回転する部分の数が4倍になっています。このうちのどれか1つでも欠けると墜落してしまうため、故障が発生する箇所が4倍になったともいえます。機械的複雑さを解消するために構成要素が増え、かえって故障確率は上がります。このことは、ドローンを扱う上で忘れてはならないことの1つです。機械的な部品は、摩耗や劣化などの確認によって故障するであろう時期を判断できる一方、電子部品はその限りではありません。電子部品は、その見た目だけで故障するかどうかを判断するのが困難だからです。

3. ヘリコプターとドローンの比較

ヘリコプターとドローンは、ロータを使って飛行します。ドローンは、機械的複雑さをなくすために複数のロータを用います。ロータは、揚力と推進力を提供します。羽を回転させて飛行することから、ヘリコプターやドローンのような航空機は、回転翼機と呼ばれています。対して、普通の飛行機は、固定翼機と呼ばれます。

回転翼機の特長は、羽を回転させることによって、その場に留(とど)まることができる点です。回転させることで翼に常時空気が当たっている状態を作り出し、持ち上げる力、すなわち揚力を得ています。この点において、ヘリコプターとドローンの間に大きな違いはありません。

ドローンでは、その制御を簡単にするために複数のロータを搭載し、モータを電子的に制御することで操作しやすくしています。電子制御によって、扱いが簡単になったのがドローンだともいえます。

ところで、図1に示したラジコンヘリコプターは、メインロータの直径が25cmほどの、とても小さなものです。かつて、小さなサイズのヘリコプターといえば操縦に困難を極めたものでした。しかし、今では電子制御による安定化の仕組みにより、少しの練習で飛ばすことができます。マルチコプター型のドローンにばかり目がいってしまうものの、ヘリコプター型の機体も、実は進化しているのです。

いかがでしたか? 今回は、簡単にマルチコプター型(ドローン)とヘリコプター型の構造の違いを、主にロータに注目して説明しました。次回は、ドローンを構成するさまざまな要素について解説します。お楽しみに!

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